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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 7-2

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同時刻、オーガンシティー沖上空―



ダガイを脱出した6機の戦闘機は大変まずいことになっていた。有ろう事か敵に見つかっていたのだ。それも先程STAR-DOLPHINE艦内で話題に挙がった艦隊に、である。脱出し順調に飛行していたものの、不運にも低気圧の低く垂れ込めた積乱雲に突っ込み、抜けたところで艦隊上空に出てしまった・・・これが6機の今までの経緯である。

「どうだ、動きはあるか?」

ハスティーがウイングに問い掛ける。ウイングの機体は索敵能力も備わっていた。その能力を最大限に発揮しているところだった。

「・・・まずいな。艦載機が舞い上がってきてる」

つまりは会敵も時間の問題というわけだ。選択肢は2つある。戦うか逃げるか・・・しかし戦える機体がなかった。ハスティー機にはちとせ、キックス機にはゆかが乗っている。サレンス機はハスティー・キックス機と違い、戦闘機の搭乗経験のあるメンフィスがいるもののすばやさが欠ける。ウイング機とバズファクト機は単独だが武器が不十分。それを考えるとまともに戦えるのはカサネ機のみとなるのだ。必然と選択肢は2つのうち『逃げる』しか取れなくなるわけだ。

「じゃあどこに逃げる? 会合点を変えてもらうにも・・・」

6機は洋上に待機している艦船に収容されることになっている。最終的にはそこに到達しなければならない。しかしそれが出来ないからと言って変更を通知すれば相手も危険にさらされる。迂回するほど燃料も十分ではない。完全に八方塞がりに陥ってしまっていた。ハスティーの頭は既に白い煙を上げていた。ヘルメットの存在で見えてはいないが・・・。



という冗談はさておき



6機は敵艦隊の縁を回るように迂回していた。その時、彼ら宛に暗号通信が届いた・・・暗号はあざらしだった。

「進路を西南西に変更せよ。別動隊が貴隊を収容する?」

どういうことだろうか? 彼にはさっぱりだったが、暗号が暗号だけに信じて行き先を変更するしかない。

「迷ってる暇ないぜ」

とウイング。

「敵機接近、後ろです!」

カサネの叫び声。十分に戦えない身分、逃げなければそこでおしまいだ。ハスティー機を先頭に、敵機を振り切るべく速度と高度を上げた。一般的に高速もしくは高高度飛行は燃料を食うと言われる。高速に関しては車も同じなのでわかりやすいだろう。何とか敵機を振り切り目的地を探すあざらし隊・・・。だが少し前から低くたれ込んだ雨雲に飛び込んでしまっていたため、視界がうまく利かない情況になっていた。加えて姿勢制御もままならない。ちとせ・ゆかにしてみれば『命のかかったレールレスのジェットコースター』に乗っている感覚だった。編隊は危険覚悟で高度をギリギリまで下げた。この場合味方を見つけられる確率は上がるが、敵に見つかる確率も上がる。一か八か、死活問題だった。その結果悪天候の中から脱出することに成功はしたが、彼らが出会ったのは・・・死神だった。オーガンシティー沖に向かうPMU艦隊、その陣容は戦艦3・空母1・巡洋艦6・駆逐艦22という立派なもの。先ほどの艦隊とは違う、実戦向きの攻撃的艦隊だった。

「まずいぞ、とにかく離れよう!」

慌てて離脱を図るあざらし隊・・・しかし隊は悪天候を抜ける直前にロックされていたようだ。すぐに空母から航空機の発進をサレンスが確認した。すぐに追いつかれるだろう。『かなり』を通り越して『すばらしく』やばい。

「下手に燃料を食うわけにもいかないが―」

ウイング・キックスも頭を抱えた。第一優先されるべきなのはちとせ・ゆかの安全を確保することである。しかしそれを優先させるほど燃料が残っていなかったのだ。会合点はここからさらに飛んだところにある海域を指していた。

「サレンス、暗号電文を作成してくれないか?」

「応援を呼ぶつもりだね。わかった。メンフィス、行くよ」

「了解!」

「通信体勢に入る、援護して!」

サレンスは操縦桿を引いた。ABBISSM-DAUPHINが群を抜いた。白い飛行機雲を引きながら高度を上げていく。カサネのVEAU-MARINとバズファクトのSuper-Rabbitがエスコートする形をとった。最初に飛び出したPMUの戦闘機はそっちに進路をとる。ハスティーのWingStriker、キックスのSonicAttacker、ウイングのWHITEWINGの前面に敵機の姿はなくなった。

「舞い上がってくる前にすり抜ける。キックス、ウイング行くぞ」

「オーライ! キックス、当たるなよ?」

「てめぇだ、くそボケっ!」

3機はエンジンを全開にした。こちらの後にも白い飛行機雲が引かれていた。洋上の敵艦船はあらゆる砲門を開き3機を叩き落そうと必死になってうなりをあげていた。空母からは1個飛行隊の戦闘機が発進中だった。

「ロックされた。カサネ!」

「了解です。任せてください!」

サレンスとキックスの中間空域にいたカサネのVEAU-MARINは艦隊上空でまっさかさまに急降下した。瞬時に複数の艦船をロックし小型マルチミサイルをぶっ放す。カサネがひそかに搭載した新式のものだ。放たれたミサイルは正確に目標の対象に体当たりした。

「よしっ! これで全火力の20%カット!」

カサネは海面すれすれ艦船の間をすり抜けて急上昇し離脱した。

「なかなかやるな。カサネって娘」

「そりゃそうだ。だってあいつは・・・」

キックスは至って冷静だ。

「元エルバート軍海兵隊の特務飛行隊員だ」

「!? あの部隊のか!?」

「待てよ! あの部隊はトサノコク航空戦の時に全・・・」

そこでハスティーが止めた。理由を悟りウイングが謝った。

「今はカサネが唯一の戦力だ。俺たちは今のうちに距離を稼ごう」

3機はそのまま飛行を続け、敵艦隊の防空圏外に出ることは出来た。その後に通信を行っていたサレンスとエスコートしていたバズファクトが防空圏外を抜けた。しかしその後ろを1個飛行隊が追跡していた。しかしそのことはすぐにサレンスが気付き、対策を考えた。

「では僕が引き付けておきましょう」

バズファクトはサレンスの返事を聞くが早いか、急上昇し旋回した。それを追い後続の戦闘機隊の半数が急上昇旋回した。サレンスは追いつかれまいと後続の敵機を振り切るべく全速で海原を駆け抜ける。

「どうするんだ、あの金魚の糞は」

「どうするって、どうにかなるのか?」

ハスティー・キックスは逃げながらも後続の敵戦闘機隊への対策を考えていた。ハスティーもキックスもこれ以上ちとせ・ゆかを戦闘に巻き込まないためにも、なるべく逃げ切りたいと考えていた。その間ウイングは1人黙っていた。何か考えているような、そんな雰囲気さえ感じた。だが2人の討論が終わりないものと判断してか―

「ちょっといいか?」

話に割って入った。

「方針はよくわかった。お前らはこのまま友軍艦のもとへ急げ」

いきなりの発言に戸惑う2人。

「ウイング、お前は何が言いたいんだ?」

キックスは少々苛立ちながらもウイングに聞き返した。ウイングは少し黙ったが―

「お前らには護るべきものがある・・・だからそれを最後まで護れって言ってんだ」

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