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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 5-3

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「あれが・・・ボエラニア・・・か」

目的地が視認できると聞いて甲板に上がったTS隊のメンバー。大海原にぽつんと漂う島・・・それこそが彼らが育ったいわば



もうひとつの故郷



である。

「初めて来たときも、こんな風にみんなで見てましたよね」

初めて来た時・・・もう何年も前になる。傷ついた自分達を必死になって助けてくれた、当時のエルバート海軍海兵部隊の兵士達・・・。ロビンソン少将に代わって世話をしてくれたサカガミ大佐。彼は激しい市街戦でTS隊を救おうとして戦死した。墓は本人の意思で、生誕の地であるボエラニア諸島の戦争墓地にある。着いたら墓参りもしなくて・・・などとハスティーは考えていた。

「でもこんな艦隊が入れる港あったか?」

ボエラニア諸島はあくまでも秘密基地の扱いだ。少なくとも彼らが居た頃にはなかった。行き来はもっぱら潜水艦だった。艦隊は島に接近すると隊列を一列縦隊に変更され、ゆっくりとしたスピードで入り江に入っていく。そこはボエラニア諸島の中でも本島から離れたところだった。

錨を降ろしたあと、メンバーはシェリーらと共にヘリコプターで本島の基地に向かった。

司令部の建物の前に降りたメンバーを出迎えたのは、ある意味予想通りの人物だった。



まさかあなたがここまでするとは予想外でしたよ



キックスが最初に握手を求めてその御人の前に出た。彼は笑顔だった。御人はまずTS隊メンバーを無事ボエラニアまで連れてきたシェリーに御礼した。そしてメンバーに改めて自己紹介をしたのだ。



APRUG最高司令官、アルフレッド・ロビンソンだ。よく無事に来てくれた



「バカ言うなっての」

キックスは思わず笑ってしまった。最高司令官といえど、身なりはラフな感じだったので、いまいち締まりがなかった。キックスの笑いに頬を緩めるその司令官もつい数時間前に到着したばかりだという。それもあまりに大胆で思わず呆れてしまったくらいだったのだ。

「潜水艦まるごとパクることはないのでは?」

もはや苦笑いである。司令官はエルバート脱出の際、新造潜水艦のメンバーを彼に賛同する者で固め、慣熟訓練に出る時に一緒に乗り込みそのまま来たらしい。タイミングよく事が中央にバレて、追ってが来たというから恐ろしい話である。まさに紙一重の脱出劇だった・・・彼は高らかに笑っていたが、あまりネタにできる内容でもないような気がするようなしないような。

「さて、早速だかTS隊に仕事がある」

司令部建物内にある食堂に案内したロビンソンはそこで重大なニュースをもたらした。といっても少し前から小耳に挟む程度の情報は聞いていたのだが。

「PMUが勢いを増しているというのは聞いているな?」

ロビンソン自身も聞いて間もない話・・・PMU軍がエルバートの国境を突破したのだ。ハスティーの顔から血の気がみるみる引いていくのが見てとれた。

「今は補給待ちということで進撃は止まっている。が、動き出すのもそう遠い話ではないだろう」

そこでメンバーらは次にどんな言葉が出てくるのかが想像できた。エルバート国境に一番近い主要基地の攻略・・・それがオーガンシティーだということである。

「昨日、浮上した際に街の様子を伝えるメールが届いた。それもあざらしメールでだ」

あざらしメールとは、TS隊と今はなき第82特殊攻撃隊『STAR-ANGELS』のメンバーしか知らない暗号メールである。発信人は自ずと『メンフィス』からとわかった。メールの内容は実に切迫した様子が滲み出ていた。そしてできることならハスティーらに来てほしいと言っていたそうだ。そこでロビンソンはTS隊にエルバート行きを提案したのだ。

「遊撃活動をしろと?」

ラプターが聞き返す。そう解釈して構わないと返事する司令官。

「エルバートの味方でもPMUの味方でもない。あくまで無実の民衆の味方をする・・・と?」

珍しく神妙な顔つきをするフリッツ。出発は明後日、明日迎えの潜水艦を手配するそうだ。といっても潜水艦といえばロビンソンが乗ってきたやつしかないのだが。

「結局、何を盗ってきたんですか?」

周到な準備の末強奪に成功したその潜水艦はあまりに高価なものだった。



SSBX-1001 STAR-DOLPHINE



エルバート軍がひそかに建造していた巨大原子力潜水艦である。よりによってそんなものをあなたは・・・とでも言わんばかりに口を閉じることができないメンバー。前々からエルバート軍がとんでもない潜水艦を建造しているらしい、という風の噂を小耳に挟んではいたがまさか実在しているとは思ってなかった様子。

空母としても運用が可能だと聞いたときには一同会話ができなくなってしまっていた。たいしたものを盗って来たものである。しかも既に実践投入されていると、ここで付記しておこう。

「エルバート・・・か。昨日まで居たような感覚だな」

食後、メンバーはストライフに帰艦し、それぞれが乗ってきた機体を整備していた。その工程でハスティーがボソッと口にしたのだ。

「無線が声拾ってるぞ」

ハスティーの耳にラプターの声が聞こえた。彼はそこではじめて無線のスイッチがONになっていることに気付いた。彼にしては珍しいことだった。

「気にかかることでもあるのか?」

キックスが会話に加わる。

「気にかかることなんでひとつしかねぇだろ?」

ラプターが皮肉混じりに言う。ハスティーはオーガンシティーにいる仲間のことが気になってしかたなかったのだ。街を離れて半年ちょっとで危機が訪れようとは予想もしていなかった。もしPMUがオーガンシティーに進攻したら・・・間違いなくエルバート軍守備隊と交戦することは目に見えていた。オーガンシティーはエルバート共和国の主要都市に含まれる。ホッカサホロを凌ぐ市街戦が展開されるだろう。



・・・ひょっとしたら徴用されるかもしれない



「ハスティー、心配することはないぞ」

無線から聞こえてきたのはロビンソンの声だった。辺りを見回すと、フリッツのOCEAN-FeEのコクピットそばで機体のイヤホンを付けていた。フリッツのを取り上げたか借りたかはわからないが。



明日にでもメンフィスの元に私の使者が届く。彼ならオーガンシティーの様子を分析して、最善策を練ってくれるだろう



「おやじさんが使者を?」

一同「?」が頭の中に埋めつくされた。少しして思い出したかのようにフリッツがある人物の名前を出した。そこで彼らは初めて『もう1人メンバーがいる』ということを思い出したのだった。

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