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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 2-2

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「ゆか・・・ちゃん・・・」

3人ははねすけが所属するよさこいチームの練習場へやってきた。仲間の安否を確認したかったのだ。部屋の前で、扉に寄りかかるように座る女子学生がいた。ゆかだった。はねすけはゆかに近付いた。気付いたゆかは立ち上がってはねすけに抱き付いた。



お前もかよ・・・



キックスはそう呟いた。ゆかは爆発の時、広場の入口にいて、奇跡的に巻き込まれずに済んだという。彼女はひどいショックを受けていた。彼女自身当然ながらあんな光景ははじめて見る。

「お父さんも、あんな光景を見てたんだよね・・・」

3人は何も言わなかった。その後すぐに『WhiteWing』の他のメンバーの無事を確認して、3人ははねすけの家に向かった。帰り道はとても長かった。道行く人々に質問攻めにあったのだ。「大学から爆発音がしたが何があったんだ」とか「その血はどうしたのか」とかいろいろ。聞かれているうちに、3人は苛立っていた。他人にぶつけようのない怒り、悲しみが。彼らとて何がなんだかさっぱりわからなかったのだ。苛立ちが最高潮に達した時、3人の前に半泣きの少女が立っていた・・・ちひろだった。お互いに言葉も出なかった。

大学で起きた爆弾テロの話を聞いて、ちひろはすっかり落ち込んでしまった。近所で大量殺戮が行われたのだ、ショックは隠せないだろう。テレビをつけると、事件の報道が各局こぞってなされていた。政府も軍本部も口を揃えて、原理主義組織を支援するすべてを、この世界から排除すべきだと唱えている。戦争をしようと言ってるようなものだ。というか情報伝達速度が早すぎる・・・。

「5年前の教訓は活かされてないってことだ」

キックスは拳を床にぶつけた。ハスティーもラプターも気持ちはキックスと同じだった。戦争が始まれば人が死ぬ。無駄な死に方をするのだ。一部の考えでは無駄ではないのかもしれない。しかし戦争を望まない者から見れば、無駄な死であると見るのだ。

「戦争が始まったら、いなくなっちゃうの?」

ちひろの言葉に、再び無言になる。ハスティーはテレビを消した。戦争が始まればいなくなる、おそらく出かけなければならなくなるだろう。そして過酷な任務が彼らに与えられるはずだ。

「5年前にも戦ってたんだよね?」

そこで彼女の動きが止まった。5年前というと彼女が12歳、小学校六年生の時である。ハスティーとは4つ違うから逆算すると・・・。ちひろはそのあたりを3人に聞いてみた。あぁその通りだよ、彼らは答えた。それを聞き彼女はふと昔父親の知り合いから聞いた話を思い出した。かつての戦争で少年だけで組織された部隊の事を。まさかと思った。目の前にいる3人は、あの伝説とさえ言われる第81特務遊撃隊、コードネーム『TEAM-SEALION』のメンバーではないだろうか?彼女がいろいろと頭の中で考えていると、ラプターが顔を覗き込んできた。

「気分でも悪いの?」

ラプターの声に顔を上げるちひろ。悪くなるのも無理はないだろうとはねすけが言う。事実、彼女は不安でいっぱいだった。そして落ち着きを払っている彼らの態度が不思議であり、かつ驚きだった。

「しかし、悲しいもんだな。あんだけ傷ついた人間を見て、おびただしい血を見ているのに、こんなにも冷静でいられるんだからな」

普通の人間なら発狂し、手がつけられない状態に陥る。しかし3人はハスティーの言うように、驚くほど落ち着いている。その理由は実に簡単だった。

「俺らは幼い頃から戦場を駆け巡ってきたんだよ。だからいまさら驚けない人間になってしまったんだ」

昨日出会った『くにやま としたか』ことバックス・K・フリッツは、少年時代に戦争で親を失くした。ラプターに続きキックスも口を開く。3人とも幼い頃に『戦争孤児』となった人間なのだ。彼らだけでない。その時部隊に居たメンバーは皆そうなのだ。彼らは、厳重に隔離され護られた施設で教育・訓練を受けた。その際、彼らの教官を任されたのが当時海兵隊少将のロビンソンと彼の部下であったサカガミ大佐である。少年達は教官から戦術や航空機等の兵器操作を習う他、人としての道徳も習った。そして今から7年前、少年達が15のときに出撃命令が下った。攻撃目標は敵主要基地の破壊。ハスティー・キックス・ラプター・フリッツはそれぞれの武器を持ち、戦場に投入された。

「あの時ことを今でも夢に見るよ」

ラプターが思い出しつつ話す。彼らの担当した基地には、戦争捕虜の収容施設がありそこに捕われていた友軍兵士の解放も任務に含まれていたのだ。海兵隊一個師団と合同で行われたこの作戦は、予定通りに事が進み8時間で基地を奪還した。そしてもうひとつの任務を遂行しようと、収容施設に向かおうとしたとき、鼻をさす臭いが風にのってやってきた。全員が鼻を覆った。もしかしたら・・・彼らの脳裏に映る、統一された悪夢。足が進まない、体が動きたがらない。しかし行かなければならない。建物に近付くごとに、悪夢が現実に変わっていく。扉の前までたどり着く頃には、異臭を体内に入るのを防ぐことすらできなくなっていた。意を決して扉を開く。

「施設に居た頃、アウルターンの悲劇という資料映像をみたことある。刑務所兼収容所なんだけど、まさにそれだったよ」

ハスティーがトーンを落として言った。まだ高校生にもなっていない人間が、たくさんの腐敗しきった遺体を目の当たりにして、平静を維持できまい。戦場を走り始めた頃は、何度も逃げたくなったという。しかし人間どんなことでもいつかは慣れる。慣れない事もあるだろうが、彼らは慣れてしまった。自分に厳しくなったが故、少々冷酷な人間になってしまった。冷酷と聞いてちひろは顔を強張らせた。

「大丈夫だよ。今はだいぶ柔らかくなったほうだから」

笑顔で答える彼らがかえって恐かった。それから少しして、キックスの携帯が鳴った。電話に出る。受け答えは冷静だった。「そうですか、わかりました」そう言って電話を切ると向き直りこう言った・・・



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