ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 2-1

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2 DestinyDay



翌日、ハスティーは『はねだ ゆうすけ』という名でいつも通りに大学に向かう。ただ違う点が1つ、キックスとラプターが一緒だということだ。フリッツは朝方帰っていったが、キックスとラプターは暇だから1日案内してくれとはねすけに頼んだのだ。ちなみに2人は、共に軍本部で売店の売り子をしている傍ら、野球クラブで選手としても活躍しているとのこと。その際キックスは『せきど いちぞう』と名乗り、ラプターは『おぐら せいいち』と名乗っているらしい。いつも通りの道を歩き、いつも通りに正門をくぐり、いつも通りに授業を確認する。

「つまらん」

キックスの呟き。確かにつまらないかもしれない。じゃあ食堂で時間潰してたらいいんじゃないかと、はねすけが勧めておく。

「そうだな。まだ朝飯食べてないし」

ラプターが腹を押さえている。すきっ腹なのか、ならば決まりだ。2人を食堂に向かわせ、はねすけは教室に向かう。そして席につくと、机に突っ伏せる。2人が居る以外は通常の日課。やがて始業のチャイムが鳴る、そのチャイムを境にいつもの日課から、彼らのかつての生活に戻った・・・。



始業のチャイムがすべての始まりのスイッチだった



はねすけは突然の爆発音に飛び起きた。廊下のほうで「広場で爆発があった」と叫ぶ声が聞こえた。咄嗟に荷物を持ち外に飛び出した。そこで彼は息を飲んだ。あちこちから声が聞こえる・・・彼の手から荷物が離れ、ドサッと地に落ちた。彼は目の前に広がる絵図に言葉を失った。



頭から血を流し倒れる者

四腿の一部あるいはすべてがないと泣き叫ぶ者

『動』を失った友や愛する人を、半狂乱で抱き起こす者

地を這えずり助けを求める者



まさにそれは地獄絵図そのものだった。男が1人はねすけの元に這ってきた。



助けてくれ、痛い、死にたくない



必死にはねすけの足にしがみつこうとしている。しかし徐々にその力も弱くなり、やがて男は息絶えた。はねすけの目にはあの時の光景が写り、耳にはその時の音が聞こえていた。体の中から沸き立つ不安や恐怖が、彼から冷静さを奪っていく。

「マリちゃんが見つかった!?」

「・・・兵士に暴行されたらしい。しっかりその痕跡も・・・」

「お前・・・前にライフルの使い方習ったな?」

「・・・ユキは誰が守るんだ?」

「・・・ユキを守れるのはお前しかいないんだ」

「・・・虐殺」

「皆殺しだ・・・」

「今行ったら撃たれますよっ!」

「うるさいっ! ユキがっ! ユキがぁっ!」

「ユー・・・ちゃん・・・寒いよぉ・・・」

「いたぞ!」

「ギリギリまで近付いて手榴弾を投げる」

「イチゾウさんも撃たれるかもしれないでしょ!?」

「ユースケはユキから離れるなよ」

「あぁ・・・」

「こっちの女の子はすでに亡くなっているね」

「おい! ユキ! しっかりしろ!」

「わ・・・たし・・・ね・・・もう・・・だめかも・・・。だから・・・先に行く・・・ね?」



甦る記憶は、あのときの・・・



「向こうで・・・ユーちゃんがびっくりするくらい・・・女磨いとく・・・なんて・・・ね・・・」

「そんなこと言うなよ! 死んじゃうみたいじゃないか!」

「わ・・・私・・・ね・・・ユー・・・ちゃんに・・・言っておきたいことが・・・ある・・・んだ・・・」

「私・・・あな・・・たの・・・ことが・・・だ・・・いす・・・き・・・です・・・」



忘れたくても忘れられない・・・



「・・・ユー・・・ちゃん・・・ひとつ・・・お願い聞いても・・・らっても・・・いい?」

「へへっ・・・ファースト・・・キス・・・あげちゃ・・・っ・・・た・・・」

「ユースケくん・・・だったか。ユキちゃんは・・・たった今・・・」

「ユーちゃんと・・・大人になりたかっ・・・た・・・」



全身が震えるのがわかった。視界が噴水前の広場と被る・・・



「いやだ・・・」

遠くから誰かの声が聞こえた。

「生きるんだ・・・生きて、それを後世に伝えるのが・・・君の仕事だ」



かつての上官の遺言・・・



「ゆかを・・・たの・・・」

「うわぁぁぁぁぁぁっぁぁあーーーーー」

「・・・ィー・・・ハスティー!ハスティー!大丈夫か!」

誰かがボクを呼んでいる・・・ボクはここにいるよ、こにいる・・・。突然平手打ちを食らった。彼は我に返った。目の前にキックスとラプターがいた。2人ははねすけに怪我がないことを確認し安心した。

「どうやら爆弾積んだ車が広場に侵入して、ちょうどあそこで爆発したらしい。間違いない、無差別テロだ」

よく見ると辺りに少し大きな金属片やらタイヤやらが散乱している。それにしても一体誰がこんなことを・・・。

「一つ考えられるのは、かつてのピースメーカーの残党の仕業だな」

ピースメーカーとは、かつての戦争の首謀者とされている原理主義組織だ。最近ちまたではその組織の残党らしき者の仕業と思われるテロが相次いでいるのだという。フリッツのいる研究所は、一連のテロが戦争の始まりの引き金になりかねないと推測している、と昨夜言っていたが。

「これで情勢が変わった。一旦お前の家に戻ろう」

3人はハスティーの部屋に戻ることにした。が、なかなか足が言うことを聞いてくれない。広場のシンボルの噴水はめちゃくちゃになっていた。爆発の威力が伺える。

「・・・少し仕事しようぜ」

はねすけは近くに倒れていた女子を抱き上げた。左脇に金属辺が刺さっていた。

「たす・・・け、て・・・いや・・・」

左手が動く。ハスティーはその手を握った。

「それ以上喋るな。助かるからがんばれ」

「ありが・・・と・・・」

彼女はそう言い終わるが早いか、吐血し、全身を震わせた。そのまま身体から力が抜けた。

「・・・出血性ショックってところか?」

キックスがはねすけに尋ねる。ゆっくり頷く。刺さっていた金属辺を抜いた。一緒に腸が出てきた。それを押し戻し、地面に寝かせた。ハンカチで手を拭い、辺りを見回した。

「慌てて臓器を体内に戻してる・・・彼は助からんな」

ラプターは、散らばった男子学生の臓器をパニック状態でかき集める女子に声をかけた。その男子学生は目を見開いたまま、息絶えていた。下の名前で呼んでいるところを聞くと、彼氏のようだ。最初は聞く耳持たずだったが、ぴたっと動きが止まり・・・。

「あ、抱き付かれた」

号泣する女子をあやすラプター

あたりを見回すと、同じような光景が見られる。足元がふらついたまま、噴水に頭を突っ込み、そのまま動かなくなる者。両足を失い、手を天に突き上げてなにかを掴もうとする者、血だらけになりながらも、息絶えた友に話しかける者…3人はキリがなかったので、ある程度して、その場を後にした。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

あざらしの談話室2 更新情報

あざらしの談話室2のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。