ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

バイク小説「Rider's Story」コミュのバイク短編小説「二人乗りで夕暮れの海へ」

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
二人乗りで夕暮れの海へ


 先日、居酒屋で知り合った女の子と出掛けることになった。自分はオートバイしか持っていないというと、彼女は、後ろに乗ってみたい、と言ってくれた。
 
 待ち合わせのコンビニに、彼女は赤いスニーカーに、タイトなデニムのパンツ、緑のチェックのシャツ、という格好で待っていた。僕が到着すると、手を振って近づいてきた。少し大きいと思うけど、と僕はヘルメットを彼女に渡した。初デートがバイクの二人乗りなんておかしいよね、なんて言いながら、彼女はタンデムシートに跨った。彼女の気さくな雰囲気が、僕をリラックスさせてくれた。僕たちは、海へ向かって走り出した。

 二人で海を眺めていた。夕方になろうとしている時刻で、涼しくなってきていた。
「孤独を感じることってある?」
 なんて質問をしてしまったのだろう。彼女が話しやすそうな雰囲気を持っているからといって、初デートでこれはなかったかもしれない。
「バイクが孤独な乗り物って言いたいの?」
 彼女は手に持っていた缶コーヒーを一口飲んだ。
「そうじゃなくて…僕は自分以外の人間が所詮他人なんだって思えてならないんだ」
 僕は、続けた。
「友達だって、お互い本当に理解し合えているかというと、果たしてどうだろう」
彼女は黙って聞いてくれている。僕は、止まらなくなっていた。
「そうなるとね、結婚して家族になるってことが、不思議に思えてね。他人同士が、家族になるんだからね。」
 まずいかな、しらけちゃうかな、と思いながら、僕は革ジャンの胸ポケットから煙草を取り出し、火をつけた。
「あの、そんな話を初デートでしたら、普通の女の子だったらひくよ」
 僕は笑ってごまかしながら、そうだよね、と言った。
「だったら、相手のことを隅から隅まで理解したいと思える女性と結婚したら」
 彼女の発言に僕は、今まで解決しなかった問題が解けたような気がした。
「他人とは思えないくらいに理解したら、結婚できるかもね」
 ベストアンサーかもしれない。僕の頭の中のもやもやがすっきりしたように感じた。そして、その彼女のことが今まで以上に魅力的に思えた。
「バイクってさ、一人で乗るときは孤独かもしれないけど、二人乗りの場合は、むしろ車よりも親密な乗り物だよね」
 彼女の言葉に、僕は思わず吹き出してしまった。
「ねえ、灯台の方に行こうよ」
 彼女はそう言って、石の階段を上って行った。僕は彼女の後ろを追いかけた。
僕はわくわくしてきた。彼女といると楽しい。
彼女といると自分は素直な気持ちを表現できる。
 
僕は、このバイクの後ろに乗ってくれた彼女のことを、もっともっと理解したくなっていた。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

バイク小説「Rider's Story」 更新情報

バイク小説「Rider's Story」のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。