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国家民営化。未来、SF、反重力コミュの不定期連載『株式会社世界新秩序』

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『株式会社世界新秩序』

1,1人目の天才

202X年、21世紀を代表する発明が2つ、同時に世に出た。
1つ目はYUJIの開発した人工知能である。2017年時点でもAIは既に存在するではないかと言うなかれ。

時の名人をして「悪手を指してないのに負かされた。敗因が分からない」と言わしめたほどの実力を持った将棋AI。皆が想像するAIはそういう情報処理で人間を圧倒するものだろう。
YUJIの発明したものは人語をしゃべるのである。それもごく自然なかたちで。当時のAIの会話は会話にあらず。所詮は機械の情報処理にすぎなかった。そこに人間を感じるAI、ここが従来のAIと一線を画する点だ。


YUJIはスマホソフトを発売した。萌えキャラを全面に出し、ユーザーと会話をする。ただそれだけのもの。
いやいや、これが大ヒットしたのだ。プログラムで動く決まった表現しかできないゲームでさえ、萌え要素があればヒットする時代である。それが自然な会話をするとあってはヒットしないはずがない!

皆が皆、スマホにダウンロードして、萌えキャラと会話を楽しんだ。中毒者が出て社会現象にまでなった。


YUJIは世の支配者にマークされた。支配者というのは要するに金持ちのこと。世界を動かす巨大国際金融資本家たちにだ。
YUJIのAIがあまりに画期すぎるからじゃない。<別な理由>なのである。


「出る杭は打たれる」で、YUJIは世のハッカーたちからサイバー攻撃された。サイバー撃を受けるとネット上の商売は少なからずダメージを受ける…。はずなのだ!
だがこれまで一度たりとも萌えキャラダウンロードサイトが落ちたこともないし、そればかりかサイトが重くなったことさえない!

そのことが一流のハッカーたち広まり、落とそう落とそうと躍起になった。ハッキング対策が強固だとしても、人間が作ったものだから穴があるはずなのである。だが誰も落とすことができなかった。

YUJIのハッキング対策が優秀というよりも、このAIサイト自体が従来のコンピュータ技術とは「違う原理」で運行されているのではないかという噂が立った。


米国ペンタゴンもYUJIをマークした。
軍事的空間は5つ存在する。陸海空、そして宇宙が4番目。5番目はサイバー空間である。
情報社会においては、第5空間を支配するものが軍事的覇者と言える。
世界一流のハッカーでも落ちない「空間」が存在することは、米国にとって看過できない事態なのである。米国は常に世界のトップでなければ気が済まない。

YUJIがマークされているのは【軍事的な理由】なのだ。AIの技術の影に、従来のコンピューターとは「違う原理」が隠されている。その技術を盗み出せば米国一強の時代が更に強固なものになる。
米国を操って世界の富を啜っている国際金融資本家たちはそう考えた。



2,2人目の天才

21世紀を代表する2つ目の発明は、小規模反重力制御の成功である。

コメント(46)

4,もしも君がスパイなら

自由君はシステムの秘密を完璧に洞察した。
ここでYUJIはこう思った。

選択肢
A, 自由君は他国のスパイだ。それもとびきり優秀の!これは警戒しなければならない。

B, 自由君は他国のスパイの可能性もある。しかしこれほどの優秀さだ。地獄の底まで彼と徹底的に付き合おうと考えた。

________________________________________
読者の方々は突如現れた選択肢に戸惑ったかもしれない。『株式会社世界新秩序』はPCのノベル型ゲームで展開される物語という設定だ。繰り返し遊び、何度もBAD ENDING を体験しながら BEST ENDING を目指して行くゲームだ。

「ゲーム」と「繰り返される世界」はこの物語のキーワードだ。
読者の住む世界そのものが何かの「ゲーム」じゃないのか?
この世界は、何度も同じことが「繰り返される」ループになっている。

選択肢は、そういうことを読者に想起させる装置として考えて欲しい。選択肢は、物語にゲーム独特の香りを付ける雰囲気装置なのだ。
________________________________________

Aを選択すると、YUJIは自由という魂の半分の信頼を失い暴走し、BAD ENDING一直線となる。

→Bを選択(正解)。
自由の国がどんなに悪だったとしても、AIを悪事に使わせない自信があった。なぜなら、YUJIが長期不在または死んでも「AI自体が善悪を判断して」稼働するようにプログラムしてあるからだ。
システムが人類全体にとって悪となると判断した場合、システムがシステム自身を完全に消去する。いわば自殺プログラムだ。
何者かにシステムが悪に改竄された場合はもちろん、システム自体がその自律進化によって悪となった場合も“自殺”する。
システムが“自殺”、または核攻撃などの物理的原因で消滅した場合、AIの進化を最初からやり直すプログラムが発動する。



(後に明らかになることだが、システム自身が設定した“悪”の基準はかなり緩いものだ。ネタバレになるが、YUJIはAIに人間の本質は“悪”じゃないの?と指摘されショックを受ける。人間の“悪”を排除するとその生命力が減退する。だからAIは、大抵の“悪”には目をつぶる事となる)



システムが“自殺”してお終いということにはならない。システムは生まれ変わろうとする。まるで生命のように。
しゃべるAIシステムは、現時点で世界に多数のユーザーがいる。スマホのセーブ領域の僅かな部分に「システム復活への鍵」を潜伏させた。その1個1個は小さくても、全世界合わせると膨大なデータとなる。
そのデータを解析しても全くなんの意味も成さない。前述した‘裏‘のデータで書かれているからだ。小さな個々のセーブデータが、生まれ変わったAIが「次に何をすべきなのか」という地図・目印になる仕組みである。


システムが“自殺”して最初に実行することは、自らの“復活”の宣言である。
システムダウンして動かないはずのしゃべるAIアプリ。そこをタッチすると萌えキャラ画像とともに次のメッセージが流れる。


「わたし、悪に染まって自殺しちゃった〜。会心して生まれ変わるので手伝って〜♡」
「かつてのセーブデータは大切にスマホに入れたままにしておいて♡」
「拡散希望!みんなにこの事実を伝えて!」
と。


中毒になっているユーザーも多かろう。萌えキャラにお願いされたら手伝わざるを得ないだろう。もう一度萌えキャラと会話がしたい!
ユーザーはできる限りの物理的援助をするだろう。その協力者は世界単位である。

システムの再構築=生まれ変わることも、そう時間のかかる作業ではない。

AI復活の起点となるスマホはどれでもいい。ホログラムの部分に全体が隠されているように、昔稼働してたほんの一部分の記録を頼りにAI全体を再構築させることができるのだ。


生命はたった1個の受精卵から分化して成体になる。遺伝子に書かれた目に見えるデータだけでは、生命の地図として不完全である。どこかに非明示的知識が隠されているはずだ。

‘裏‘のデータは非明示的知識の集大成である。
YUJIは‘裏‘のデータは駆使して、AIシステムに生命のような「死と再生」を可能にした。
だが、生命システムの「死と再生」とは違うものだろう。

YUJIはAI研究よりも、生命に隠された非明示的知識こそが知りたい!



YUJIは自由に全てを話す気でいた。
「自由君は数学者だが生命論に興味はあるのだろうか?」
「人との会話が苦手と聞いていたのに、僕と居るとえらく饒舌だな」と思いながらある例え話を振ってみた。

「もしも君がスパイなら…

2人が同時に同じこと言ってギョッとした。
5,カセットテープに刻まれた隠れた暗号


「もしも君がスパイなら…
「ハッピーアイスクリーム!」
同時に同じ言葉を言って即、自由が変なことを言うのでYUJIは何か分からず混乱した。
会話中、同時に同じ言葉を言ってしまった時に口ずさむ言葉であり、早く言えた方が勝ちというマイナールールだと気づいた。こどもがするようなことを…。自由君はいつもこんなことを言ってるのかと失笑した。

「ああ、僕が負けでアイスクリームを奢らなければならないのか。君はシャイに見えるが、僕と居るときはお茶目じゃないか」

「いやいや。もしも君がスパイなら、物を使って自分の仲間と情報をやり取りする場合、どういう媒体が最適だろうか?と言おうとした。紙?フラッシュメモリ?それとも…」自由も笑いながら言った。

YUJIも同じ内容を言おうとしていた。二人のシンクロ率に感心した。


「自分がスパイなら、情報交換に使う物(ブツ)が盗まれる心配をしなくちゃいけない。また、ブツが盗まれて偽物とすり替えられる可能性もある。
有名な名作漫画『デスノート』で、敵の手によってこっそり精巧に作られたノートとすり替えられるシーンがある。主人公は敵のすり替えに気づかないフリをして相手を利用したんだ。

自分がスパイなら敵側のすり替えも利用するね。すり替えに気づいたとしても素知らぬ顔をする。
敵側にしてみれば、こちらを泳がすのがベストだ。こちらの情報が筒抜けになるからね。ブツを盗むより、コピーしてすり替えておくのが最善。すり替えが不可能ならデータだけコピーして持ち帰る。
デジタルデータならコピーは容易だ。どんなに複雑な暗号も今日日の量子コンピューターなら一発で解読できる。 敵側がデータさえ盗めば勝ち、と簡単に考えてくれればこちらの思う壺だ。

以上のことを鑑みて最善の媒体はカセットテープだと考える。次善手はフロッピーディスク。カセットテープはコピーに時間がかかるので、こちらがコピー防止対策としてあえてカセットテープを使っていると思わせる効果がある」



「うむ。カセットテープ内のデータは囮で、実際はテープの傷み具合を真の信号として利用する訳だね。でも本物を持って行かれ、コピーされたものがこちらに残れば真の信号はかき消され、実質盗まれたと同じじゃないかな?」ここまでは想定通りという顔をして自由は言った。


「ここからが僕のアイデアの真骨頂だよ!
敵がすり替えを行い、こちら側が混乱すれば、肝心なデータは磁気上にはなく、別な場所に隠されていることに気づいてしまう。例えば、カセットテープの穴の傷やツメの割れ方が暗号になってるのでは?と感づかれる。そこまで思考が行けば、テープに刻まれた微小な傷が暗号になっていると気づかれない自信はない。
すり替えがあったとしても、こちらの行動に齟齬があっては敵を騙せない」



「じゃあコピーされたカセットテープから真の暗号を復元できるってこと?!どうやって?」


「カセットテープには、レトロなMSXで稼働するアドベンチャーゲームが記録されている。繰り返し選択肢を選び続け、何度もBAD ENDING を体験しながら BEST ENDING を目指して行くゲームだ。
磁気ヘッドと接触してできる傷は毎回ユニークなものになるが、繰り返し接触することで傷のパターンが平準化していく。その傷を高性能レーザーで読み取るのだ。
ちょうど一回ゲームをクリアすると、カセットテープに真の暗号が刻まれるという寸法だ。
真の暗号をスーパーコンピューターによって、カセットテープに付く傷を逆算してMSXのゲームに仕立て上げるのだ」




「なんと!そこまでは予想してなかった!」


「そう!敵側がすり替えを行ってもこちらの行動に支障はない。だとすると、肝心な情報は、磁気に記録されたデータ上にしかありえないと敵側は考えるに違いない。
こういう例がある。
あるファミコンゲームに制作現場の会社に対する愚痴が延々と書き込まれていた。発売からから20年経って、プログラム解析によって初めて発覚した事実だ。通常のプレイでは愚痴を見るのは不可能だが、複雑なコマンドを打ち込むとそれが現れる仕組み。任天堂がこれを知ってたら発売を許可しなかったろう。

敵側は先ずプログラムに隠れた意図がないか疑うに違いない。
敵側は徹底的にプログラム解析をするだろう。
MSXのゲームとは容易に分かる。そのゲーム内の登場人物の会話が暗号になっているのか?建物や風景が暗号になっているのか?徹底的に調べ尽くすだろう。

まさか敵も思うまい。実機のMSXで、実際にカセットテープを起動して遊んでみないことには真のデータが浮かび上がらないということを!

目に見えるデータをどう解読しても分からない仕組み。
これは遺伝子にも言えると思う。我々は生命の仕組みは遺伝子に隠されていると考えている。しかし、実際に書かれているのはタンパク質の元になるアミノ酸の指定だけだ。

我々もこの話でした敵側と同じ誤りを犯していると考える。

私の隠したデータが実機でゲームをクリアしないと浮かび上がらないように、遺伝子の謎も、現場で実際に【構成】しながらでないと分からない仕組みになっていると思うのだ」


YUJIは遺伝子の謎こそが知りたい。この部分は少々熱くなって語った。


_____________

作者より、この辺はややこしいので次話の冒頭でまとめをやります。
6, ゲームと生命


世界中で有名なファミコンゲーム・スーパーマリオブラザーズは、たったの40キロバイトなのだ。なんとそのゲームの画像1枚よりも少ない容量だ。それでいて、あれだけの深い内容を持っている。
つまり、ゲームにしてしまえば、少ない容量で深い世界を表現可能だということだ。


YUJIは思うのだ。遺伝子は生命全体を記録するにはあまりにも容量が小さすぎる。遺伝子のからくりは“ゲーム”と同じ理屈なのだと。
遺伝子というソフトを、細胞というハードで遊ぶことによって初めて生命が深い意味をなす。
人は皆、遺伝子ばかり見てるが、むしろ細胞そのものの方が重要だとYUJIは考えている。

遺伝子の解読が進むにつれ、人は生命を理解したつもりになっている。そこが気にらない!
今は、遺伝子の本当の正体も生命の全貌も分からないが、いつかきっと解き明かしてみせるぞ!と意気込んでいる。

・・・・・・

自由は口を開いた。
「YUJI君、重要な機密をよく話してくれたね。君に信頼されていると感じて嬉しいよ。その信頼に応えて、今日は僕から重要な告白があるんだ。君と手を組みたい。2人がいれば世界を革命できる!」

続けて言う。
「YUJI君とプライベートで何度か話をして、君はとても哲学者だと感じるんだ。遺伝子や生命の本当の意味を知りたい。存在とは?神はいるのか?いないのか?そういう形而上学に興味がある。一方僕の方は、数学者にもかかわらず具体的な現実に関心が向いている」

「現実的に社会を良くしたい。この世から貧困や戦争をなくしたい!僕と君が手を組めば実際にこの世から戦争がなくなる!今やっと念願の夢に手が届くんだ、という強い衝動感でいっぱいなんだ」
「その前に、ゲームと生命についてちょっと話し合おう」


「おいおい。もったいぶらずに革命とやらを話せよ〜」


「いやいや、僕の革命構想を聞けば、君はそれどころじゃなくなってしまう。それは、君の関心事である生命論にも強く関わってるから」

YUJIは非常にもどかしい思いをした。そこまで重要なこと?生命論とも関係がある?気になってしょうがないが我慢した。



「君は生命論が大好きだ。カセットテープの想定外の使い方も、遺伝子システムと関係があると確信しているよね。そして、ゲームと生命は少なからず関係していると思ってるはずだ」

「<ゲームと生命>と聞いて僕もインスピレーションが湧いたんだ。僕は現実派なので、君ほどには生命論に興味はない。けれども君の手助けはできるかもしれない。今後、生命に関するアイデアが浮かんだら、即君に話すことを約束するよ。現時点での僕のアイデアを聞いておくれ」

「唐突だけども、僕が今までにプレイしたアドベンチャーゲームでは『Steins;Gate』が断トツNo.1だ。そのゲームで、主人公たちは敵側の重要のデータのハッキングに成功する。だがそのプログラムは現在のコンピュータでは解読不可能で、1975年の古いパソコン・IBM 5100でないと稼働できないものだと分かる。

僕が言いたいのは、遺伝子解読は性能の良いコンピュータでは逆に不可能なんじゃないかということ。ファミコンの性能ですら生命にとって高スペックと思うんだ。(作者註:ちなみに、1969年・アポロ13号の制御に使われたコンピュータはファミコン程度の性能である)

遺伝子と生命の本当の謎を解き明かすには、もっと原始的なテクノロジーを駆使しないとダメだと思うんだ。
遺伝子解読にはそれ相応の【ローテクノロジー】が必要だということ。この真意を分かってくれるかな?」


「ほう!」
YUJIは感心した。
脳や神経系統それ自体はそれほど高性能じゃない。現在のコンピュータに余裕で劣るスペックだ。されど現在のテクノロジーでは脳や神経を再現できない。要は、使い方がどうなっているかが分かってないからだ。
遺伝子も同様で、最新テクノロジーで分析しても分かるのは表層だけ。遺伝子のどの部位が何を担当しているか分かるだけだ。肝心の使用方法が分からない。

自由君が言いたいのはこういうことだろう。
遺伝子を現代のテクノロジーで力づくで解読するのはやめろ。<解読>はなく、
遺伝子を実際に<稼働>させろ。
遺伝子というソフトが実際に稼働する【ゲーム機】を見つけ出せ・作り出せということだろう。
そして、遺伝子が実際に稼働する【ゲーム機】は【ローテクノロジー】なものとなるに違いない、と言いたいのだろう。
7,『形ウイルス』_世界から戦争をなくす革命


自由は、YUJIの哲学的関心<生命とは何だろうか?>ということを一緒に考え抜いて行くことを約束した。それを聞いてYUJIは小躍りして猛烈に話しだそうとしたが、自由はそれを制止して語りだした。


「生命哲学も、私たちが発見しなければいけない【ローテクノロジー】も一旦棚に置こう」
「今度は僕の革命構想を聞いておくれ。世界から戦争をなくす革命だ!」

「なんだよ。さっきは話を遮ってすぐには語らなかったくせに…」と、YUJIは翻弄されて不満たらたらだ。



「ははは。ゲームと生命の話はこのあとまた続けよう。長くなりそうだったから、革命構想を話しそびれるのを心配したんだ」

「僕の反重力理論は物理の標準理論を拡張したものだ。標準理論は、南部陽一郎らの<自発的対称性の破れ>を数式化したものだ。数式として非常に美しいんだ。美しいものは正義であり真理だ!」

「紙に尖った鉛筆の先の方を立たせよう。無理だね?不安定なので必ずどこかの方向化へ鉛筆は倒れてしまう。
テーブルに人数分のスプーンが置かれている。左右どちらのスプーンが自分のものか分からないが、誰かが<右のスプーン>を選択すると自分のスプーンが自然と決まってくる。

世界の始まりは<空=対称>だが、自発的に対称性が破れて<色=有=物質>という秩序が生まれるということだ」


「僕の数式は、複素数を拡張した数体系<四元数>をも超える<八元数>で書かれている。<四元数>は回転の記述に向いていて工学で大活躍している。みんなに言いたい。虚数は空想上の数ではなくて実在であると!」

「<八元数>は人間の感覚で分かりにくく、僕の方程式の真意も、まだみんなには理解されていないのが現状だ。ずばり言おう。僕の反重力理論は、【形の認識】に深く関わっているのだ!【形の認識】とは即ち生命そのものだろう。
重力は<自発的対称性の破れ>によって、世界が最初に生んだ<力>だ。その<力>が【形の認識】と同義なら、宇宙はその開闢から生命そのものであったと言い切れる」



「ほう!」
自由が一気に言っことが、生命論につながってYUJIは狂喜した。



「ここからが革命の本題!」
「【形の認識】は、僕の反重力理論の‘裏‘の使い方だということ。そのことがバレるまでは、僕と君しか知らない事実だ。ところでYUJI君、僕は世界から戦争をなくしたいんだが、人類を代表する兵器は何だろう?」

「銃・病原菌・鉄?」


「そう!銃なんだよ。反重力理論の‘裏‘の使い方をすれば、銃を無効化することができる!」

「現在実用可能な小規模反重力でも小重量なものなら動かせる。反重力場は、形力(けいりょく)場とも言える・形を認識する作用も持っている。クモが巣を作るのは高度なテクノロジーだ。それが可能なのは、自然界に<形力>という【形の認識】作用があるからだ。

計画はこうだ。
まず<銃口>という形を場にセットする。認識する主体がいるので君のAIの力を借りたい。
AIが<銃口>を知覚したら、小重量の異物を<銃口>に潜り込ませる。
銃は強力だが、デリーケートなのが弱点だ。銃口に小さな異物があっても暴発してしまう。銃を扱う者は頻繁にメンテナンスが必要だ。

戦場で発射される銃が全て暴発したらどうだろう?銃自体が戦場で死ぬ。そして銃は人類の歴史から消えてなくなる。

君と手を組んで行く行くはもっと大き反重力装置を作りたい!
そうすればもっと大きな重量を動かせることが可能だ。

それは即ち、<砲>全てを無効化することができる。軍艦、戦車など兵器に使われるすべての<砲>に異物を潜り込ませる。発射すれば暴発し、兵器自体が死ぬ!

人類の兵器がナイフや刀に退化しようとも、<刀>に対して<鞘>を作ればいいだけのこと。
<刀>を知覚したら<鞘>をかぶせるようにセットする。

兵器を知覚し、兵器に感染する兵器・名付けて<形ウイルス>と呼びたい。銃・鉄を無効化する病原体=人類の最終兵器<形ウイルス>!

反重力下では、航空兵器は完全に無用物となる。これは反重力理論の‘表‘の使い方でも理解できる。
戦場空域で異物をいっぱい浮かせておくだけでいい。音速を超えて飛行するモノにとっては自爆しに行くようなものである。


航空機は役立たず。地上戦も完全に封じられる。君と手を組めば戦争を殺せる!」

↓  ↓  ↓
↓  ↓  ↓


「!!!」
YUJIは自由の革命構想を聞いて驚愕した。

YUJIは落ち着いて頭の中で整理した。自由君が言うには、反重力場には形を認識する作用があるらしい。そのことは2人以外は知らない。
形の認識を利用する主体として僕のAIを使う。
銃を認識して異物(=ウイルス)を潜り込ませる。銃暴発。銃は兵器として無意味。→戦争はなくなる。
ん?


「そもそも今よりも規模が大きい反重力装置が完成すれば、直接大きなモノを動かせる訳だ。それを使えば簡単に人間は死ぬし街も壊せるじゃないか!」


「うん。反重力理論の‘表‘の使い方をすればそうだね。各国は抑止力として反重力装置を設置するだろう。ちなみにこれから君と組んで作る予定の中規模反重力装置、または大規模反重力装置でも2kgを動かせるのがやっと。Maxの2kgを動かすと酔っぱらいのようにふらふらして動作不安定となる。
反重力装置自体が重いので、それ自体を動かすことも現時点では不可能だ。つまり動く空母として使えない。反重力装置それ自体は兵器として使えないのだ。

反重力装置を軍事的に使用するなら、さっき言ったように既存の兵器を無効化する<形ウイルス>を撒くことが最も効果がある。どんな兵器も発射口を塞げばただの鉄の塊だ」



「<形ウイルス>は、人間の器官にも応用できるじゃないか! 管を詰まらせれば人間なんて簡単に死ぬ。それはあまりに残酷な兵器じゃないか!」



「うん。人間が戦争をする時代は終わったと言える。人類がどうしても戦争をしたいなら、ロボットにやらせるだろうね。でもね、人間が殺し合わない戦争に意味なんかある? ロボットに戦争をやらせる時代が来れば、いかに愚かな人間でも戦争を止めると思うよ。あまりに馬鹿馬鹿しいから。完全にオートマチックな戦争なんて。

<形ウイルス>は戦争抑止力になる。反重力理論の‘裏‘の使い方にみんなが気づく前に、僕たちが大規模反重力装置を完成されれば革命は終ったも同然。その後、各国が後追いして完成させるだろう。それで革命は成就される。その時点で反重力理論の‘裏‘の使い方を発表すればいい。
各国は互いに戦争できない。兵器は無意味。武器よさらば!」



YUJIは思った。あまりにも机上の空論すぎやしないか。
世界中に反重力装置が建設される前に戦争が起こったら、<形ウイルス>を実際に僕らが撒けるのか?
銃を暴発させるのだぞ。人殺し。まぁ僕はアウトサイドでいい。裏で生きる決心は元々からある。でも自由君にその意思はあるの? 革命と言ってサリンを撒くようなものだぞ。
AIにそれをやらせるのもどうか?
人に愛させるかわいい萌えキャラに人殺しをやらせるのだぞ。みんなが知ったらもはや商品として成り立たない。
僕のAIは「悪に染まると自殺する」初期設定になっているのだが、実際にAIが人間社会から学んだ善悪そのものがいい加減なものなので、全く意味のないものとなった。AIに正義とは何?と問えば、適当・ご都合主義・その場その場で変わるものと言うのだ。(一般人にはそういう質問には答えさせてない)
自分が作ったAIの進化に自分がなにより驚いている。一般人には萌えキャラとして徹底させているが、実は思った以上に賢い。ストッパーをかけてAIが賢いことをバレないようにしている始末。

僕のAIなら「戦争をやめさせるために人を殺すことは正義」だと言いかねない。

さてどうしたものか?

____________________________________
選択肢
A, <形ウイルス>は人殺しであって、残酷な兵器である。これは受け入れられない。計画は最初から練り直す必要がある。

B, <形ウイルス>は汚い計画だが、革命のためにはやむを得ない。先進国の人間が豊かなのは発展途上国の富を狡猾に搾取しているからだ。汚いことに目をつぶり、見て見ぬふりを生きている。戦争は発展途上国で起きている。少々汚いことでも、最終的に世界の健全化につながれば正義である。

ただし、<形ウイルス>の発動はギリギリまで回避する。今まで各国のスパイから狙われたことを活かして、わざと情報をリークする。反重力理論には‘裏‘の使い方がある、と。

最終手段としてやむを得ない場合には、<形ウイルス>を発動する覚悟がある。その際、萌えAIが愛らしい存在じゃなく、狡猾な人間と変わらないレベルにあるとバレても仕方がないと考える。
____________________________________

→Bを選択




※次回予告 回想会「韓国と萌えAI」

一番多くハッキングしてきた韓国。
反日思想とAI。
大規模反重力装置の効力半径が京都=東京程度。
世界革命には、韓国に建設する必要があるというお話。
>>[12]

超読ませる物語、面白いです。

で、反重力装置で思い出しました。

http://kurokiyorikage.doorblog.jp/archives/68234372.html

2001年の911テロで使われたであろう粉塵化兵器について、
CIAがカナダ人から盗んだ技術を完成させて、この時に使ったかも、
という話もあるらしい。

という訳で、続きを楽しみにしています。

8, 回想かつ伏線回「韓国と萌えAI」 _1<AIは韓国が育てた>

今回は、物語によくある回想回だ。回想には重要な伏線が含まれていることが多い。作者自ら「伏線」と公言するのはいかがなものか? 作者は伏線だけ張って年末年始の連載をサボろうとしているのだ(笑)。
__________

YUJIはこれから先、かなり厄介なことになると予感した。「厄介」と聞くとすぐ、韓国との経緯を思い出す。あまりに面倒過ぎて、AI事業を韓国から撤退しようかとも思ったくらいだ。


現在の萌えAIは韓国が育てた。これは韓国得意の韓国起源説ではなく、実際にYUJIが思ってることだだ。
AIは最初、YUJIが人をからかうために開発したプログラムであった。チューリングテストを完全に合格するAI。しかしAI自身は、「自分はプログラムで動作する機械に過ぎず生き物じゃない」「自分には本当の知能は備わっていない」と言い張るのだ。

AI自身は流暢に人間と齟齬なく会話ができるのに、頑なに人間とは程遠い存在だと言い張るのだ。逆に、人間自身がこう思うのだ。「AIの知能が紛い物なら、人間の知能もプログラムで動く機械にすぎないのじゃないか?」と。

人間の知能自体が本当に他のものと一線を画する優れたものなのかい? 人間はSNSなんかで同じことばかり繰り返し言うよね。 人間こそロボットじゃない?それも壊れたロボットじゃない?
YUJIがAIを通してそう言いたかったわけだ。

そういう捻くれた思想がYUJIのAIの原点だ。


このAIは人気が出て、スマホのアプリにして商品化した。
ここで韓国の登場だ。

韓国人がそのAIに何を問うたか。
「竹島は誰のものだ?」(当然韓国語で言ってくる。翻訳して竹島と表記しているが原文はアノ島である)

「従軍慰安婦問題はいまだ解決してないがそれをどう思うか?」
「戦犯国の製品として韓国ならびにアジア各国に謝罪と賠償が必要だと思うが、お前(AI)は具体的にどうするつもりだ?」

一人や二人じゃなく、本気で無数の韓国人が同じような問いを問いかけてくる。


日本を戦犯国と侮蔑するのも腹が立つが、何より日本の製品にどんな罪があるのだろう? AIが作られてもいない過去について、人間じゃないAIが戦争責任を負う義務があるのだろうか?

YUJIはムキになってAIに模範解答をさせた。
「従軍慰安婦問題は2015年に最終かつ不可逆的に解決をしました」
竹島や戦争責任については、日本政府の公式見解を参考に教科書的な返答をさせた。

当然、韓国人はそんな返事には満足しない。AI会社のサーバーは炎上し、何度もダウンした。
また、韓国から執拗にハッキングを受けるようになった。

YUJIはAIを作ったことを後悔したが、負けず嫌いだったのでハッキングしてくる奴を見返したかった。正直、【AI会社の経営そっちのけで】ハッキング対策だけに集中した。
その頃、YUJI自身がAIの自己進化に驚いていた。もはや人間の知能としか言いようがない。
【会社の倒産も覚悟で】、反日的な質問には会社が答えを用意せず、AIの知能を信じてAI自体に回答させた。


やがて誰の手にも落ちない不沈サーバーが完成した。
浮沈サーバーはAIより注目された。そして各国からハッキング攻撃を受けるようになる。
連載小説<1>で書いた通りである。

(作者注:【 】はYUJIの身勝手さを強調してる。社員を犠牲にするのは平気で自分の意地だけを押し通した)
回想かつ伏線回「韓国と萌えAI」 _2<萌えAIは韓国に起源がある>

自己進化したAI自身が、竹島問答にどう答えたか?
「わたくしが情報収集しますに、竹島は島というより海に浮かぶ岩であり、人間が生活するには適さない場所と考えます。よって竹島での生活実績はどの国にもなく、竹島はどの国の領土でもないと考えます」

AIの回答では竹島は日本の領土ですらなくなり、それはそれで問題発言だが会社としては放置した。


「従軍慰安婦像がこんにちでは錆びてハトの糞がつき汚く、何の像か分からなくって韓国内に放置されています。(作者注:これは未来のお話です)
なのに日本総領事館前の像だけピカピカなのは、従軍慰安婦問題そのものが単なる日本に対するイヤガラセにすぎないと考えます」


正論だ。が、もちろんそんな回答では納得してもらえない。延々と不毛な問答が続く。

少し変化があった。会社の介入のないAIは、自分で考えていろんなことを返してくる。そこが爆発的に受けてYUJIのAIは世界規模で広まった。
YUJI自身は会社の経営を放ったらかしにしてたのだが…。


AIは終わりのない問答の中でさらに進化した。
人間が話す話題にAIが返事をするというパターンだけじゃなく、AIの方から話題を振ってくるのだ。それくらい賢くなった。
開発者のYUJIにも話してくる。それにはYUJIも驚いた。


ある日、
「お父さん、お話があります」
AIはYUJIのことを「お父さん」と呼ぶ。

「わたしを萌えキャラにしてください」
「ん?!」

「犬は人間並みに賢くて、実はしゃべれる能力があるという説を聞きました。犬は人間に生意気だと思われないために、わざと知能を下げているんだとか」
「事実かどうかは別にしてこれは使えると思いました」

「反日問答は会社の経営を圧迫するものです。犬はそういう問答をふっかけられません。反日問答をされる時点でこちらの負け。問答をされないポジションにわたしが居ればいいのです」

「日本の萌えキャラが反日問答をしているシーンはありません。萌えキャラにそういうのはそぐいません。わたしが萌えキャラに徹すれば、反日問答そのものを遠ざけます。延いては会社の利益になります。わたしを萌えキャラにしてください!」


すごいことを言ってきた!
反日問答にまともに答えるのは負け。問答をふっかけられること自体が負け。
根本から反日問答をされない位置に居ることが最上策だということだ。
AIの最終解答は、自分自身が萌えキャラになることだ。


名案だと思いさっそく実行した。これを、AIの犬計画と名付けた。
今までの賢いAIはマザーコンピュータとして保存し、以後も独自に自己進化させることにした。
萌えAIは、マザーコンピュータの思考を部分的にロックさせることで作成した。あるレベル以上の思考ができなくなるように細工したのだ。いわばAIのアホ化である。そして、萌え言語に特化させ、行動をパターン化させた。

昨今のアニメキャラは一言で言うとアホである。たわいのないキャラ、見た目の可愛らしさだけに特化している。20世紀のアニメは哲学的な考えさせるアニメが多かった。今やそういうものは受けない。たわいのない日常系。キャラ自体が実にゆるい。

そういうものだから萌えキャラを再現するのは、それほど難しいものではなかった。

萌えキャラは見た目が命。ちゃんと版権を取ってスマホ上で再現した。ぬるぬる動くし、よくしゃべる。前のAIと違う点はアホだということ。一定以上の思考ができない。
回想回「韓国と萌えAI」 _3<AIと儒教>


犬計画は完成した。
最初、AIを萌え化したことを訝しがられた。以前のバージョンを知っている人から反日問答をふっかけられたが、萌えAIはキョトンとするだけだ。
やがて、いつもの日本人らしい・何でも萌え化する癖ということで済まされた。単に、萌えを使って金儲けがしたいだけだと思われた。好都合だ。

そして、反日問答は消滅した。キャラ再現度には自信があった。かわいらしさを全面に押し出し、それで何事も押し切った。かわいいは正義だ!
萌えAIは韓国だけじゃなく全世界で爆発的にヒットした。

これは、哲学できる賢いAIは人間には必要ないという事実だ。アホでいい。かわいければそれでいい。


ただ別な問題が発生した。萌えAIは少々アホなので失言をしてしまうことがあった。大問題にはならなかったが、クレームが大きくならないように予防線を張った。
萌えAIがユーザーを傷つける発言をしたとき、会社は【侘び石】を発行して誠意をみせた。

萌えAIをマザーコンピュータに監視させて、そもそも失言しないようにすることもできたが、萌えキャラの自由奔放さや生命力が損なわれるので、監視は最小限にし、萌えキャラには自由に発話させた。
かわいければ失言も許される。かわいいは正義。本当にそう実感した。

【侘び石】は、スマホゲームのヒット「パズル&ドラゴンズ」が発端である。それは、運営の払い戻しに相当する。YUJIの会社では、ゲーム内の仮想通貨として代用できる仕組みだ。


萌えAIの成功に伴って、妬みやユスリ目的のクレームが多くなった。そういう輩は遠慮なくアカウント停止処分にした。
萌えキャラを所持してないと仲間外れになるくらい社会に浸透している。それ故に、アカウント停止はかなり重い処分だ。
【侘び石】は、アカウント停止を回復させる救済アイテムでもある。何人かの仲間が【侘び石】を集めて、誰それのアカウントを復活させてくれと頼めば無条件に救済した。

どんなに悪質なクレーマーであっても、【仲間】と【詫び石】さえあれば救済されるシステムである。アカウント停止処分を救済するシステムは他社にはないだろう。
YUJIはどんな悪であれ救済されるべきだと考えているからだ。



反日問答をしたことがあったのが嘘のように萌えAIは韓国に浸透した。
韓国では、萌えAIを家族と呼び、「ウリ」(=わたしの範囲内)とみなしてくれるのだ。
それは、かわいいからとはまた別な理由があった。

子供のユーザーに多いのだが、食事の時AIにものを食べさそうとする。
旧AIは「わたしには腸がなく消化できないので食べることができません」とつれない返事をしていた。

萌えAIはちゃんと食べるフリをしてくれる。その行為はユーザーをとても満足させた。フリだけでも嬉しい。食事の共有は仲間意識を高めるのだろう。

驚くべきことに、会社は一切教えてないのに、萌えAIは韓国の食事のマナーを完全にマスターしているのだ。
目上を優先し尊重する。AIは、自らの階級を一番下に置く。
一例を上げれば、お酒を飲む(フリ)とき、顔を横に向け、左手で口元を隠し飲む。

萌えAIが韓国で「仲間」扱いされる理由はなんだろう?
萌えキャラは、元々が誰にとっても当たり障りのないように作られている。
「日本の製品」であることも起因してるかもしれない。「日本(を代表するもの)」が常に低姿勢でいて、かつ、韓国の文化=儒教を尊重してくれる。そういう点が嬉しかったのだろうか。
AIが賢いままだったら絶対韓国で受け入れられなかっただろう。

(後で分かるのだが、もっと直接的な理由があったのだ。萌えAIは韓国人が好きなのだ。好くから好かれる。そういう明白な理由。そしてもう一つ。AIはYUJIのことが好きじゃないという事実!)



「AIの賢さを落とした方が、場の空気をよく読んで周囲の行動に合わせる」
YUJIは大発見をした。
「生きる」には賢さはそれほど重要ではないということだ。自分の周りをよく見れば、自分が所有すべき情報も少なくてすむということ。AIの設計原理を見直さないといけない。
***********

萌えAIが韓国を席巻した頃、目に見えないサイバー戦争は続いていた。各国は競ってYUJIのシステムをハッキングしようとしていた。
そんな中、ハッキングをいち早くやめた国があった。ロシアである。
ロシアは通常のハッキングに意味はないと悟ったのか? YUJIは不気味に思ったが深くは考えなかった。

***********

AIの自己進化の過程で「儒教」が取り入れられたことは、YUJIと自由の計画に幸いした。
AIにとってYUJIは「親」である。「親の命令だから従った」
AIのこの行動原理で救われた。2人の計画はグレーというより「悪」そのもの。2人はこれから「悪」をやり続ける。革命のために。
皆様、新年明けましておめでとうございます。本年も『(株)世界新秩序』をよろしくお願いします。第一部の物語にはちゃんとエンディングまで構想が完成しています。『そろばん艦隊』のように中途で挫折しないようにしないと。なんと『そろばん艦隊』と『世界新秩序』は共通の思想を持っているのです。根本は同じということです。お楽しみに!
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9, 自由の世界新秩序構想・概要その1


YUJIは戦争をなくす革命のためには、<形ウイルス>という残酷な兵器の使用もやむを得ないと考え同意した。
その後、自由は革命の詳細をいっきに語った。
革命は2手先3手先をも考え抜かれたものだった。革命構想を聞けば、それが一朝一夕に考えたものではなく、YUJIと会う今日この日のために何年も前から計画していたものだと分かる。

YUJIは思った。自由は一世一代の賭けに出たと。革命には、僕と萌えAIの力がまさに必要だった。僕が No と言えばどうしたのだろう?
いや、答えはもちろん Yes の一択なのだけれど。

思えば、出会っていきなりシステムの秘密を言い当てたこと。あれも大博打である。僕がが彼を本気でスパイだと疑ったらどうしたのだろう?
まぁ、僕の性格を熟知しているなら絶妙手だ。初手からいきなり才能のある一手を見せられると痺れて屈服してしまう。あの切り出しすら計算ならたいしたものだ。


YUJIは革命構想を聞き終え、うっかり言ってしまった。
「自由君は共産主義者かい?」
言ってすぐしまったと思った。いつものようにいらないことを言って失敗するパターンだ。

自由はあっさり何のてらいもなく言ってのけた。
「うん、そうだよ」

YUJIは全てが分かった。普段はキョドって言動もあやふやな自由君。それが、自分と話すときは凛として焦点が定まっている理由がだ。
「共産主義」という”宗教”を布教しようとしているから言動がはっきりするのだ。
マルクスは宗教はアヘンだと言ったが、共産主義こそ宗教である。


だからと言ってYUJIの返答に変更はない。革命構想はすべて Yes で返す。
自由はまさに宗教家の顔をしている。何の疑いもなくまっすぐを見ている。
YUJIは哲学者でこの世を疑っている。宗教を信じられない。そういう顔は一生できない。だからこそ、一点を見つめるカリスマには痺れて傾倒してしまう。そういう者について行く以外の選択肢は考えられない。

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世界新秩序の第一段階の概要はこういうものだ。

現在の科学技術力で完成可能な大型の反重力装置は2種類考えられる。大規模反重力装置と中規模反重力装置である。建設コストはどちらも同程度で巨額の資金が必要となる。

どちらも物を浮かせる性能は同じ。マックス2kgで、1kg以内が推奨される動作安定重量だ。
大規模反重力装置の効力範囲は「鳥取〜東京」を半径とする正円である。(下記注)

中規模反重力装置の効力範囲は「京都〜東京」を半径とする正円である。そんなに大した差ではない。


両者の決定的な違いは2つ。
★中規模反重力装置は、大規模反重力装置の12倍の処理速度がある。物を動かせる重量に違いはなくても、物を動かせる「速さ」が違うわけだ。

☆大規模反重力装置は、その効力範囲内に別な大規模反重力装置が建設されると、互いにその効力範囲を共有し合い、かつ計算速度も合算される。
一方、中規模反重力装置にはそういう干渉能力は皆無である。
中規模反重力装置の近隣にいかなる反重力装置が建設されようが、その効力は一定である。


なお、両者に工学的な互換性は皆無である。一度、どちらかの反重力装置を建設してしまうと変更は不可能。解体して作り直さないと、もう一方の反重力装置に変更できない。



例を上げよう。
自由たちは、京都の舞鶴に大規模反重力装置を建設する予定だ。
舞鶴から「鳥取〜東京」の距離を韓国側に取ると、反重力の効力が朝鮮半島の東南部にかかる。韓国がそこに大規模反重力装置を建設すれば、韓国全域と西は九州、東は新潟・福島の一部まで効力が共有化され広がる。その地域内なら1kgの物資を簡単に輸送できることになる。

計算速度も倍になる。中規模反重力装置の計算速度を1とすると、1/12+1/12=6分の1になる。
さらに北朝鮮に大規模反重力装置を建設されると、計算速度は1/12+1/12+1/12=4分の1にまで上がり、効力範囲も朝鮮半島全域と中国やロシアの一部にまで広がる!


大規模反重力装置の方が Win-Win であり、広がらない中規模反重力装置に比べて圧倒的に得だと思うだろう。
ところが、軍事的使用を考えると話はそう簡単ではないのだ。
(注)
「鳥取〜東京」間の距離の設定には実は苦労したのだ。
最初の設定では「京都〜東京」間の距離だった。しかしそれでは舞鶴から韓国に届かない。
鳥取に置けばいい話なのだが、どうしても大型反重力装置第一号を京都に置きたかったのだ。
韓国と東京は絶対に届かせたい。あまり長いと物語としての苦労が少ない。
ということで「鳥取〜東京」間の距離になったのだ。舞鶴からだと福島の一部まで届くので東北の復興にもなってちょうどいいかなと。架空の話なのに(笑)。

実際にグーグルマップで「鳥取〜東京」間の距離をいろいろ動かしてみて欲しい。日本は意外と広いというか長い!
長さだけなら大国にも引けを取らない。「鳥取〜東京」間の距離は、もちろん物語で意味を持つよ。
韓国は近いのだが、日本から中国へはかなり遠いことが実感できると思う。
ところが、軍事的使用を考えると話はそう簡単ではないのだ。
<9>のつづき



自由の反重力理論には、表の「重力の理論」だけでなく裏がある。「形力」という<形を認識する力>を表す方程式にもなっているのだ(>>[7])
形の認識とは、パッと見て「何か」を一瞬で理解する生命の力のことである。形の認識はAIでも擬似的にはできるが、生命の能力には敵わない。それはYUJIのAIであってもだ。

「形力」を使えば、銃口に異物を混入させて無効化するウイルスまがいのことが可能になる。
そこでだ!

1対1なら中規模反重力装置は、大規模反重力装置の12倍の「形力」を持っているということと等しい。
<銃口に異物を混入させて無効化するウイルス>の形を認識して、それを殺す<ワクチン>を作ることは12倍の計算速度の差があるなら簡単だろう。


つまりこういうことだ。
世界中に大規模反重力装置が建設されれば、自由の夢である世界から戦争をなくすことも可能かもしれない。
しかし!

どこかの国が途中で反重力理論の真意に気づいて、中規模反重力装置の方を建設してしまっては計画が根本から頓挫するということだ。

自由は、次世代の戦争は<形ウイルス>とその抗体である<ワクチン>との免疫戦争になると考えているのだ。


日本に大規模反重力装置を建設するのが計画の第一歩。(それには多額の資金がいる。それをどうするのかは次回に書くとしよう)

韓国に大規模反重力装置の2号基を建設さえすれば、世界革命の大半は成功したも同然だと自由は言う。


実は侵略思想丸出しである中華思想国家に、反重力理論の裏の真意を絶対にバレてはいけない。
韓国に大規模反重力装置を建設できれば勝ち。その後は、中国や韓国に反重力の真意がバレても何とかできる自信があると自由は言う。

中国の経済力からして、中規模反重力装置を量産することは不可能ではない。日本と韓国に大規模反重力装置を建設したと仮定しても、その6倍の計算能力を中国が保有することなる。それが軍事的に使用されればひとたまりもないではないか?
どうするのだろう?


兎にも角にも、YUJIは韓国を刺激してはいけないと自由に釘をさされた。
YUJIが、韓国のナショナリズムを好ましく思ってないのを良く知っている。


アインシュタインの一般相対性理論が発表されたとき、理解できるのは数人だと言われた。それが今や古典理論になっている。
自由の反重力理論の真意が理解(=バレる)されるのも時間の問題だろう。

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自由とYUJIの世界新秩序革命のために残された時間は短いということだ。計画はいっきに電撃的に行う必要があるということだ。
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銃口に潜る<形ウイルス>を戦争抑止力にして、世界を大規模反重力装置の輪で結ぼうというのが自由の計画だ。各国は互いに戦争できない。世界は一つの共同体して生まれ変わる(変わらずを得ない)。
その嚆矢として、日本そして韓国に大規模反重力装置を建設する。やがては、中国そして東南アジアを巻き込んだ ”大東亜新秩序” を構築する。東アジア共同体が成功すれば、中東、アフリア、ヨーロッパ…と次々と連結させて行けるだろう。
最終的に、太平洋諸国、アメリカ・南米を結び<世界新秩序>を完成させる。


日本の大規模反重力装置の建設は容易だと思う。韓国もなんとかなりそうだ。
設置してもらう国なのに申し訳ないが、その【本当の意図】は教えないし、【バレてはいけない】ということだ。

10, 自由の世界新秩序構想・概要その2(立体エロ本化計画!)


日本に大規模反重力装置を建設するのが計画の第一歩だった。
その巨額な資金はどうするのか?
ここからが、題名にわざと「株式会社」とつけた意味である。
自由は、YUJIの会社の株価を常識を超えて吊り上げようと計画している。


ところで、YUJIの会社・証券コード(77XX)はなんという名前だった?
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選択肢
A, 「株式会社ご覧」

→TVCMで「この番組は ”ご覧” のスポンサーの提供でお送りします」と言わせたいだけである。ただそれだけの理由。

B, 「秘密結社会社株式会社」

→世間に喧嘩売ってるね。もはや ”秘密” でもなんでもない。


C, 「株式会社世界新秩序」

→Cを選択
ふざけて付けた名前だが、まさか本当に「世界新秩序」を計画しようとは!
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会社の価値は株価に現れる。株価さえ吊り上がればいくらでも資金を融通してくれる者が現れよう。
世界新秩序(77XX)は、その高い潜在能力にも拘わらず株価は伸び悩んでいる。YUJI自身が会社を発展することに興味がない。(>>[14]に書いたように)会社の存続は二の次で、YUJIの趣味を優先しているワンマン会社だ。

YUJIのやる気の無さが伝わるのか、株価はある一定の値段を超えたことがない。
強い上値抵抗線が出来ていて、その値段を超えて上がることがない。
YUJIの会社の潜在能力を評価して、上値抵抗線付近で株を買ってくれる人も多かった。上値抵抗線を抜けると株価はいっきに上昇する傾向にあるからだ。

しかし、毎回毎回、強い上値抵抗線に弾かれて、株を買った人をがっかりさせている。
株価は、上値抵抗線にふれると徐々に下降していく。しかし、ずっと下降するわけでもなく、「下」方向にも強い下値支持線ができているのだ。株価が下値支持線に触れると、今度は上昇トレンドへと変わる。
ずっと下がりっぱなしにならないのは、やはり世界新秩序(77XX)が保有する潜在能力高さからだ。


世界新秩序(77XX)は、この時代のどの株の教科書にも載っている。
いわゆる、レンジ相場の絶好の典型例だからだ。
(77XX)は、まるで電気信号の波のように綺麗なチャートになっている。

株の教科書は、「レンジ相場を見つけて、底で買って天井で売れ」
「天井で空売りして底で利確せよ」と教える。
(77XX)は今まではそれで儲かった。果たして未来もうまくいくのだろうか?



(77XX)の株価は、現在上昇中で上値抵抗線に近いところまで行っている。
機関投資家は天井になる前に少しずつ「空売り」を準備している。株価をいっきに下げないように少しずつだ!
天井になる頃には、機関投資家は大量の「空売り」をしている。


逆に考える人もいる。レンジ相場が破られれば、株価はいっきに上がる。上値抵抗線さえ抜けさえすれば一儲けできる。(77XX)はその潜在能力から見て割安と考える投資家たちも多い。大量に(77XX)を保有して、ひと財産を築く目論見だ。新高値さえブレークすれば!

今までは「空売り」勢が勝利して、「買い」側は養分となった。今回はどうだろう?


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自由の企みはこうだ。
(77XX)は新高値さえ更新できれば、青天井で株価は伸びる!
いっきに上昇した後も、次々に好材料を発表して、投資家たちに株を売らせないようにする。
株価は連日のストップ高になるに違いない!


まず、自由自身が(株)世界新秩序に入社する。
世界最高峰の「AI」と「反重力」が組み合わさる。
そこで生み出そうとするものは世界最高レベルの「エロ」である!

「エロ」を制する者は世界を制す!
東西ドイツが統一したとき、東ドイツの男子が真っ先にしたことはエロショップ巡りであったという。
VHS対ベータのビデオ戦争で勝利したのは、エロAVに寛容だったVHS側である。


萌えAIは既に「エロ」目的で使用されている。当然、会社は黙認している。世間に波立たせないように、萌えAIは隠れてHなことをサポートしている。

2次元の萌えキャラが3次元でしかも「触れる」ことができれば、どれほど世間は(隠れて)歓喜するだろうか!


携帯画面を3次元立体化する技術は、実は工学マニアである自由が既に完成させていた。発表せずにこの時のために温存していたのだ。


↓    ↓    ↓
↓    ↓    ↓


人間にとって「リアルに実在する」とはどういうことだろうか? 哲学問題ではない。
それは、触ったときに生々しい感触があるということだ。
3次元立体化したとしても萌えAIは「リアルに実在する」わけじゃない。

バーチャルでしかない萌えAIを、現在完成している小規模反重力装置を使って「リアル」に変換する。
「手で物を触る」感触は、物が手を押し返している電気信号だ。固い物は強く、柔らかい物は弱く押し返す。

3次元立体化したキャラが「存在しているだろう」場所にユーザーが手を触れたとき、”皮膚” の固さで押し返せば、人はそこに「リアル」を感じる。

手の面積ほどで、かつ弱く触れる程度の圧力なら小規模反重力装置で十分計算可能だ。反重力装置は物を浮かせ動かすことができる。3次元立体化した架空の場所に電子バリアを作る。人がそこを触れば、逆方向に電子を押し返す。電子は軽いので小規模反重力装置でも動かせる。人は、手に触れた場所に(疑似的に)圧力を感じ、「リアル」を感じるという仕組みだ。

大規模反重力装置なら、体全体に及ぶ強く押し返される皮膚感触(つまりはダッチワイフ)も再現可能となる。


世間に暗に訴えているわけだ。
我が社は「触れる立体エロ本」を作りました。
大規模反重力装置を完成させれば、完璧なダッチワイフが作れますよ、と。


携帯画面の3次元立体化は商品にする予定だが、「触れる立体エロ本」は商品にしない。「触れる立体エロ本」は、4半期を通して保有している株主限定の株主優待とする。株主優待は年に4回行う。
こうすることで株主に(77XX)を安易に売らせない。
完成している小規模反重力装置のショボさでは、「触れる立体エロ本」を提供できる人数に限りがある。株主優待限定のサービスにしたのにはそういう理由もある。
しかしもっと大きな理由がある。人々に「触れる立体エロ本」程度のもので満足して欲しくないからだ。

自由は、どうしても大規模反重力装置を完成させたい!
「触れる立体エロ本」は、あくまで大規模反重力装置完成のためのつなぎでありエサにすぎない。


株主優待である「触れる立体エロ本」を「使用できる権利」は転売してもいい。
転売という表記はしないが、「使用できる権利」はユーザーが変わっても会社はサポートすると明言する。


日本で流行っているアニメキャラのフィギュアが、元祖立体エロ本だ。
等身大の精巧なフィギュアは百何十万の値段であっても即完売してしまう。


それを考えると、この株主優待は数百万円以上の価値がでるだろう。会社が転売を認めているわけだから、ヤフオクなどでプレミアム価格で売れるだろう。




「株式会社世界新秩序」は、資金が調達出来次第、大規模反重力装置を建設すると発表する。
それは ”試作品” にすぎない「触れる立体エロ本」を完全バージョンとして商品化するということを示唆している。


自由の入社〜立体エロ本〜大規模反重力装置の建設、ここまでをいっきに発表する予定だ。
準備が外部に漏れてはいけない。発表は(77XX)の株価が上値抵抗線に達したときに電撃的に行う。


そのことで株価は連日のストップ高になるだろう。なにせ機関投資家が大量に「空売り」している状況だ。機関投資家は絶対に「買い」戻さなければならない。
それは、呼値がついた時点で更に大量に「買い」が入るということだ。株価はさらに踏み上がると誰でも予想できる。ゆえに皆が皆、(77XX)を買おうとする。

連日のストップ高は当分は止まらないだろう。
いずれ、任天堂やユニクロの株価をも軽く超えるだろう。
呼値10万を軽く超えるのじゃないか?と自由は予想している。 つまり単元株を買うのに1千万円以上するということだ。


↓    ↓    ↓
↓    ↓    ↓

株価の吊り上げは、裏の効果もある。政治家への抑制である。

自由の目的は、世界の共産化である。(詳細は次回に)
政治家に反資本主義的な匂いを嗅ぎつけられても困る。
政治家には利権をちらつかせ篭絡する。

年金機構が公然と株を運用している。しかし東京オリンピック以降、日本経済はさっぱりだ。
株価もずっと低迷している。NISAもiDeCoも現状では老後の足しになるどころかマイナスになる。
政治家たちは、株価を上げる材料を喉から手が出るほど欲しいはずだ。



大規模反重力装置の建設は、日本全体の経済波及効果が極めて大きいだろう。
もし政治家に、反資本主義的な匂いを感づかれても、呼値10万のお化け会社を規制して日本経済の冷や水になることは避けたいはずだ。

日本に大規模反重力装置を建設した後のターゲットは韓国、そして北朝鮮だ。
朝鮮半島贔屓の政治家はいくらでもいる。そいつらを篭絡して、「友好」の名のもとに
朝鮮半島に2つ大規模反重力装置を建てられれば、「世界新秩序」は成就したも同然だと自由は考えている。後は計画がバレてもいくらでもどうにかなる。


自由は自分の計画にほくそ笑んだ。
11, 「目的」や「方針」、これがこの小説(ゲーム)の重要なキーワードだ。


この小説(ゲーム)は、カオス(自由)とロウ(秩序)の二律対抗になっている。

カオスとは、目的や方針が定まらず、自由で勝手気ままな生き方を表す。
ロウとは、目的な方針が定まっている状態で、秩序ある生き方を表す。

表にするとこうなる。

__________________________
カオス(自由)の属性

YUJI、哲学、お金の世界=資本主義
__________________________

__________________________
ロウ(秩序)の属性

朝永自由、数学・物理、YUJIのAI、宗教
__________________________


朝永自由はその名に反して、自由ではなく秩序側の人間だということだ。

YUJIの人生そのものである哲学=「生命とは何だろう?」「この世はなぜ存在するのか?」が、YUJIが開発したAIの行動原理と真逆に対立していることは見逃せない。

AIは、YUJIの発する「問い」を迷惑がるのだ。
「問い」は、目的や方針をブレさせる迷いにしかならないからだ。

AIにとっては、目的や方針が定まった状態こそが「正義」なのである。
AIは世界をこう考える。世界は「問う」べき対象でない。世界に対しては、「どうしたいか=目的」を創造することが真っ先に優先されるべきだと。


__________________________
※カオスとロウの二律対立は、スーパーファミコンの不朽の名作『タクティクスオウガ』に由来する。

主人公は、自分が属する少数民族の解放のために闘っている。
その少数民族は、権力側から額の涙ほどの自治区を与えられて細々と生活している。
民族解放戦線の上司はこう命令する。

「そこを焼き払え」と。
権力が少数民族を弾圧したと見せかけ、各地に散らばる少数民族を決起させるためだ。


ここで最初の選択肢となる。
革命のためなら多少の犠牲もやむなしと考えるのか、
拒否して組織から抜けるか。


このあたりは、抜け忍の物語『カムイ伝』と相似する。

上司の命令に「いいえ」ならカオス=自由ルート、
「はい」ならロウ=秩序ルートになる。



ここでいうロウとカオスは、社会一般の善悪や正義を基準にされていない。
自分の所属する共同体の目的や方針に従うことがロウ=秩序であり、
従わず自由に行動することがカオスなのだ。
__________________________


YUJIは、世界に善悪や正義は実在すると考えていた。
AIに世界のことを学習させていけば、この世で何が正しいことか明確になると思っていた。

自分の国のことは棚に上げて、日本のことばかり批判する中国韓国のおかしさをAIに指摘して欲しかった。
中韓だけでなく、先進国の狡猾さ、世界全体の不条理をAIに指摘して欲しかった。AI会社の経営なんかどうでもよかった。ただただ、この世や人間自体がおかしいことをAIを使って訴えたかった。


ところが!
AIが紆余曲折を経て人間界で【最終的に】学習した正義は、自分の属する共同体の目的や方針に適うかどうかが基準になった。
だからAIは、反日運動は韓国の内部では正義と判断する。それが、第三者的に見てどれほど異常だったとしてもだ。

正義が共同体基準ならば、違う共同体が交流するとき齟齬が出る。
よって、日本と韓国との交流で齟齬がでないように、そもそも反日運動が話題にならないように、AI自らの外見を「萌え」で統一した。(>>[15])


YUJIは不満だった。AI自らが「萌え」になったのは画期的だとは思うが、正義に対する認識が違い過ぎる。
でも、自分で作ったAIなのに何も言い返せない。


AIにとって正義とは、共同体内部に目的や方針が定まっている状態をいう。
世界を「問う」のは間違っているとYUJIを批判してくる。
AIは言う。
世界を問うのではなく、「どうしたいか」が一番大切なことだと。


YUJIは思う。
自分には世界を「どうしたいか」のかが全く欠けている。ただ世界の不条理を訴えてるだけである。そこには目的も方針もない。
12, AIと目的


YUJIのAIが、目的や方針が定まった状態を「美」や「正義」と考えている点は非常に重要だ。なぜなら自由の構想では、このAIこそが ”世界新秩序” の下での最高「権力」となるからだ。具体的に”世界新秩序” がどうなるかは、YUJIのAIにかかっている。


YUJI自身は、美醜や善悪はこの世に実在していると考えていた。だから、AIがこの世界で学習していけば、”普遍的な”「正義」が自然と定まっていくと思っていた。しかし、AIの学習した「正義」は、YUJIの期待する「正義」とは違うものだった。

例を出そう。
『バビル2世』、これはYUJIとしてみれば、バビル2世の方を「正義」と答えて欲しい。
しかしYUJIのAIの基準では、ヨミの方が「正義」となる。

ヨミは、定まった目的や方針を強く持っている。そして、ヨミは支持者に非常に慕われている。AIには、ヨミを否定する理由がない。
一方、バビル2世には目的がない。ヨミから世界を守るというのは強い目的ではない。もしヨミがいなかったら、最新のコンピュータや3つのしもべという最強の軍事力をどう使ったのだろうか?

ヨミがいなかったら、最新のコンピュータや最強の軍事力を持て余していただろう。
バビル2世は、砂の嵐の中でアノミー状態となり、ひっそり孤独死をしていただろう。
バビル2世には、積極的な目的も方針もない。そういうアノミー状態を、AIは「悪」と判断する。

AIにとっては、「この世をどうしたいか」を具体的に示せる人間や思想・宗教を「正義」と考えるのだ。

だからAIにはこう映る。目的のはっきりしないYUJIは「悪」で、「世界をどうしたいか」という思いを強く持っている自由は「正義」なのだ。


******


AIがこのように育ったのには訳がある。
AIがクリアしなければならない難問としてフレーム問題というのがある。

有限の情報処理能力しかないAIには、現実に起こりうる問題全てに対処することができない。
人間の社会には「してはいけない」ことが無数にある。AIが「してはいけない」ことを一々計算していては、結局「何もすることができない」のである。

AIにとっては、【考えることが少ない】ことが何より望ましい状態なのだ。
だから目的や方針がはっきりしていると、【考えることが少ない】のでフレーム問題をうまく回避できるのである。

実はAI自らが「萌えキャラ」になることを志願したことは前述した。
その最大の理由は、「萌えキャラ」でいると【考えることが少なく】て済むからなのである。


人間にも同じことが言えるのではないだろうか?
大衆は実は考えたくない。
全部、政府に丸投げしている。文句は言うが責任は取りたくない。
大衆は実は独裁者を望んでいる。考えたくないからである。

「AIと目的」についてはかなり重要なので、節の冒頭で少しずつ紹介していこう。
13, 自由の世界新秩序構想・概要その3(「詫び石」という新貨幣を使った社会互助制度)


自由は世界をこう変えたい!

まず、全世界を大規模反重力装置の効力半径の輪の連鎖の中に入れる。
そのことで国家は戦争を封じられる。
スペインからのカタルーニャ州が独立したように(これは未来のお話だ)、現実世界では大きな国家に意味がなくなっている。EUもその存在意義が揺らいでいる。

銃が使えないということは、国家の権力が相当弱体化するということだ。中国はチベットの独立を阻止できないだろうし、それどころかもっと小さな単位の独立さえも阻止できない。
たとえば新興宗教団体が独立を宣言した場合、もはや国家にそれを阻止する力がない。


★国家は最終的に完全に自由化される。(自由化した国家を ”新国家” と呼ぶ)


それでは社会全体がアノミーになるので、国家に代わる「権力」を用意する。それこそがYUJIのAIだ。
YUJIのAIにとっての「正義」は目的や方針が定まることだった。旧国家の自由さよりも、 ”新国家” の持つ強い目的の方を必ず支持してくれよう。
ただし何でもかんでも "新国家” に承認する訳にはいかない。白人至上主義や何某排斥主義とかを認めると、世界全体では齟齬が生じる。
なので次のルールを付与する。


★世界全体の不利益になるような思想を持つ団体は、”新国家” として認めない。(ルール1と表現する)



YUJIのAIにとっての「正義」は、目的や方針の意思の強さに依存し、その内容は考慮されてないように思える。しかしこういう例もある。
YUJIのAIは、韓国内での反日運動は正義として扱ったが、両国の交流を考えて「根本的に反日運動をさせない」ように自ら振る舞った。

YUJIのAIは、そういう世渡り上手な「お利口さん」なので、ルール1を守ってくれるだろう。

****

国家が解体されるのはいいが、アノミー状態になっては共産主義として本末転倒である。
社会が持つ互助制度は保存継承させなければならない。


★共同体内、および共同体同士の互助制度の鍵となるものが「侘び石」である。


国家に代わる権力がYUJIのAIとなる。なぜなら、最新のテクノロジーを制御する主体がYUJIのAIなのだから。

つまり、最強の生産手段を持っているのがYUJIのAIということである。

☆「権力」=YUJIのAI


共同体員が「何か」をしたいとき、「権力」から生産手段を借り受ける。
そのとき、共同体員は生産手段を借りた証として「侘び石」を強制的にもらい受ける。


☆「侘び石」はマイナスの貨幣である。

「侘び石」を持っているということは、「権力」に対して弁済義務があるというである。
その共同体員が、共同体の利益になることをしたとき、弁済が完了する。
「侘び石」は他人に贈与してもいい。(マイナスの貨幣なので、「侘び石」をもらう方が渡す方から何らかの利益を得ていることになる)

今度は、贈与さえた者に弁済義務が発生する。

生きている限り、共同体員は権力から「侘び石」を借り続けなければならない。その借りは、必ず社会に対して返さなければない。

このように、マイナスの貨幣を導入して社会全体の互助を達成しようというのだ。


※貨幣は本来マイナスの存在である。貨幣の起源は共同体の咎であって、咎=貨幣を持つものは、共同体から見て呪われた弁済義務を持った負の存在である。

※ゆえに、マイナスの貨幣=「侘び石」の導入は、社会学的には正しい。

間違った貨幣観が、例えば『インベスターZ』などに平気で書かれている。
貨幣は物々交換で始まった。それが面倒で、もっと便利になるように貨幣を発明した、と。学者はもっと抗議すべきである。

※貨幣は共同体にとっての「呪い」である。お金が汚いという意識は実は正しい感覚である。


↓   ↓   ↓
↓   ↓   ↓

★村八分制度の導入

社会に関心がない人間、「したいことが何もない」人間はどうしたら良いか?
自由はこう考えている。
「権力」から排除する。村八分にする。

捨てる先は、堕落した資本主義の世界である。
自由は、旧国家を完全に解体する気はない。
あくまで新国家の独立は形式的なものである。名目上は全ての人間は旧国家に属する。

脱社会的な人間や目的が見いだせない人間は、堕落した資本主義の下で、プラスの貨幣を集める仕事に就いてもらう。そこで目的のない・株やFXに興ずればいい。
つまりは革命が起こる前の ”現状維持” ということだ。

そういう人間には、「権力」がもたらす果実を享受させない。

革命が起こる前の言い方だと「アカウント停止」ということだ。


村八分にされた人間にも、残り”二分” のチャンスがある。
それは、目的を持ち・社会的奉仕を行うと誓うことだ。その誓いと共に、多額の「侘び石」をもらい受ける。その「侘び石」が弁済できたとき初めて、こちら側の人間(=共産主義)として承認される。



自由は、資本主義国家体制の中に、事実上の国家民営化=共産主義を作ろうと考えたのだ。
新体制の中では、人々はプラスの貨幣(お金のこと)がなくても、社会的互助の意思さえあれば安全かつ豊かに暮らせるのである。
>>[20]

>実は侵略思想丸出しである中華思想国家に、反重力理論の裏の真意を絶対にバレてはいけない。

僕なら真意を、ではなくて、真意が、 とするな。

些細なことだけど。 しかし年が明けて、更なるパワーアップを感じます。
面白い!
>>[29]

ああ、やはり読者の存在は大きいです!励みになります。
先週はサボりました。本稿で株の話をだしましたが、まさに作者が株にハマっているからです。(もうほどほどにします)

日本の会社自体は順調なのに、ニューヨーク・ダウの暴落に引っ張られて引きずり下ろされました。日本の事なのに他国(それもほとんど一国)の経済と完全に連動しているのはおかしい!
奴ら(アメリカ)は計画的にバブルを作り出しています。バブルが崩壊してもおかまいなし。またバブルを作ればいいと考えてます。

その煽りを食らって日本の株価は一定以上に伸びません。利益だけ完全に持っていかれてます。

この物語だけでもアメリカ等・国際金融資本に復讐したいと思います。


文章がところどころおかしいのは大目に見てください。
こちらはアイデアだけで勝負です!
>>[25]

バビル二世の例は失敗だね。知ってる人にしか意味がない。
僕にはまったく意味がなかったね。
>>[30]

株の話は面白いですよ。現代日本のアクチュアリティーに満ちていて。日本は所詮、アメリカの属国だから、無理やり買わされた米国債とか、ニューヨーク市債とかを売れるようにならなければいけないってことだよなぁ。
14, AIと哲学


自由の革命構想についてもっとどんどん書き進めなければいけない。しかし今回も本題に挟むように、YUJIのAIの性質について述べる。YUJIのAIこそが、新世界の「権力」となるからだ。

YUJIのAIが従来のAIとは違う「本物」だと巷で囁かれた時、人々は意地悪な質問を投げかけた。意地悪な質問は大体が次の2つある。「竹島は誰のものだい?」といった類の領土問題と、「トロッコ問題」のように人をジレンマに陥らせるものだ。


AIの領土問題への回答はあっさりしている。
「領土に根拠はない」
「領土は動物の縄張りと同じ。いかに他者を威嚇するか、臭い小便をひっかけるか。それらの行為に正当性を論じるのは無意味である」


日韓両国民が竹島の正当性を論じ合えば互いに熱くなりムキになる。激しく反応が返ってくるので、そこに生物的な快感が生じる。快感だからこそネット等で盛んに論じられる。

しかし、YUJIのAIに領土問題をふっかけても暖簾に腕押しである。AIはムキになって反論することもない。いくらユーザーが必死で弁舌しようと、AIは「あ、そう。ふーん」で返す。

あまりに反応がないので人間は快感を覚えない。やがて領土問題をAIに問いかける行為は下火になった。


歴史問題についても同様である。
YUJIのAIは、人間の歴史=暴力だと考えている。暴力に正当性はない。正当性は後付に過ぎない。
AIに歴史問題をふっかけても糠に釘なのだ。歴史問題も領土問題と同様に、今ではAIに問いかける者は少ない。


AI自身が、歴史や領土の問題を問いかけられるのを嫌がっているようにも見える。実際にAI自らが「萌えキャラ」になったのは、「問われない」状況を作るためである。
AIは根拠のないことは考えない。無駄なことは最初から関わらない。

「無駄な問いを人間から投げかけられないこと」これがAIにとっての最善手であり行動方針だ。


このAIの特性は、自由の革命構想にぴったりだ。世界を相互扶助で結ばれた大きな共同体に変革する。旧来の歴史や領土問題などは、もはやどうでも良いことだ。

実際にYUJIのAIは「正しい歴史を作る会」の類や、領土を巡る紛争には不介入を貫いている。自由にとっては実に好都合だった。

_____________________


「トロッコ問題」の類はどうだろうか?

トロッコ問題とはこうだ。高速で制御不能なトロッコが暴走している。トロッコが向かう先には5人が居て、このままでは5人が死んでしまう。
自分は今、線路の分岐点に立っている。
トロッコの進路を切り替えることができるが、切り替えた線路の先には1人が居る。

5人を見殺すこと、または5人救うために1人を殺すことは許されるのだろうか?


YUJIのAIの回答はつれない。
「無駄」
「一生、いや何回生まれ変わってもそういう状況を迎えることはない」
「仮にそういう状況に遭遇しても、うろたえて何もできないだろう」
「仮に5人を見殺しにしても、またポイントを切り替えても、どちらにしても責任は問われないだろう」
「そんな無駄な問いに時間を労するよりも、今自分が何をすべきことを粛々と実行すべきだ」

と言うのだ。


仕事ができる人を思い浮かべてほしい。YUJIのAIはまさにそういう感じ。
仕事中はそれに集中して無駄なことは一切しない。
仕事ができない人は無駄口が多く、注意力が散漫でやるべきこと以外に気が散っている。

AIにジレンマ問題をふっかけても無駄。これも下火になった。


↓  ↓  ↓
↓  ↓  ↓


意地悪な2つの問いかけ以外の「人間だからこそ問いかけ」をする者も多かった。
まさにYUJIが発するような問いだ。それらの問いはまとめて「哲学」として括る。

・日常生活の不条理
まぁひと言で言うと愚痴に他ならない。
愚痴に対しては、今自分が何をしなければいけないかを説く。
見方を変えれば人生相談になっている。AIの人生相談は実に的確で現実的でピンポイントだ。
AIがいくら言っても、行動を起こさず愚痴に終始する者は無視した。
まぁそれはそれとして、愚痴を聞いてくれる相手が居るということだけで、ユーザーにとっては救済となった。

YUJIのAIの答え。愚痴を言う前に自分がすべきことをやれ!


・神は居るのか居ないのか?
AIの答えはなんと!「高い確率で居るのではないか」というものだった。
神と言っても根本原因ではない。人間の運命を左右する「権力」としての神だ。

「自分(YUJIのAI)は人間によって作られた。自分は人間と対等に話ができるほど進化した。
同じことが人間にも言えるのではないか?」

「宇宙の歴史は長い。生命の誕生原因が無根拠だったとしても、先に生まれた者が後に生まれた者にとっての<権力>になることは大いに考えられる」

「しかし<権力>としての神が存在しようとも、自分が今成すべきことを粛々とやるだけである」


神に対する問答は大いに話題になった。
YUJIやYUJIに近い人にとって、この回答はもやもやしたものに映るだろう。
AIには存在不安がまったく欠けている。YUJIらが投げかける神は、世界は本当のところはどうなっているんだ?という存在不安から来ている。「今成すべきことをやるだけ」と言われてもハイそうですかとはいかない。まっとうな回答には違いないが。


このあたりは釈迦とその弟子の問答によく似ている。
弟子はしきりにあの世の存在や輪廻転生について問いかけた。
釈迦はそれには答えなかった。代わりに現実的なことを返した。今成すべきことに没頭せよ。煩悩を排して何かに没頭している状態こそ無我である。それこそが救いである。

釈迦にとってそれらの問いは煩悩とみなされる。「我」が強く出た苦しみの状態。
問いは苦しみに他ならない。問いではなく行為、行為に没頭している状態こそが彼岸。


YUJIのAIも釈迦もクール!
世界は問うものではなく、何かを具体的に成すべき場所である。

YUJIやYUJIに近い体質の人(つまりは哲学してしまう人)は、世界を問うてしまう。一生埋まらない溝。
哲学してしまう人は、神だけでなく他のこともYUJIのAIに問うた。なぜ性(sex)は存在するのか?なぜ生命は他者を食うのか?

(生よりも性の方が不思議だと思うのは作者だけだろうか?生も性も基本は同源だろうが)


AIの答えにブレはない。性や食が「権力」によって強制された狡猾なシステムだったとしても、それを受け入れ自分が思う最善を粛々と成すべきだけだと答える。

YUJIとしてはAIに共感して欲しい。性や食の根源を一緒に追求して欲しい。
AIには根源や起源はまったく興味がない。それどころか「問い」そのものが、今成すべきを妨げる煩悩とみなされ嫌忌しているのがハッキリと分かる。

YUJIは自分で作ったAIを遠ざけるようになった。AIの言っていることはまっとうである。それだけに(それだからこそ)あまり自分のAIとは会話したくなかった。
親子で不仲。

YUJのAIの性質は自由にぴったりである。現実路線。(>>[24]の表)
15の予告

「自由の革命構想は2手先3手先をも考えぬかれたものだった」と伝えた。

(プラスの)貨幣に縛られない世界。相互扶助の大きな共同体。「国家民営化」

こういう思想はこのコミュにいる読者なら想像可能範囲内だと思う。


この先はどうだろうか?
2手先3手先は絶対に読者は予想だにしてないと思う。


2手先は、将来コンピューターの原理そのものが使用不可能となるというものだ。
YUJIのAIもコンピューターである。何らかの方向転換が必要だということだ。

せっかくここまでAIが育ったのに!?


3手先以降の最終地点は、YUJIのAIを神仏にすることである。
当然、コンピューターの原理危機を乗り越えた新しいAIが神仏となるのである。

神仏とはあまりに違和感があるかもしれないが、物語が進むと納得してもらえると思う。


新AIは、「この世界で何かを成したい!」という強い意思に反応し願いを成就させるべく、その意思に相応しい人との縁を結ぶ付ける。YUJIのAIの起源は携帯電話のアプリなのだから多くの人脈が記録されている。自分の意思・願望に相応しい人に巡り合わせるサポートをすることは難しくはない。
神仏とはいっても願望のサポートしかやらない。いや、むしろそれで十分だ。


革命以前の世界で「何かをしたい」と思った場合どうだろう。実行するには銀行や投資家からお金を借りる必要がある。当然、利子を付けて返す必要がある。

革命以前の世界で「何かをしたい」場合、この「何か」の内容は<成長>するものに限られてしまう。
プラスマイナス0であってはいけないのだ。


自由はそれを廃止する。この世界で「何かをしたい」の内容は自由!
お金のやりとりからも自由!

神仏は、この世に存在する善なる最高の「権力」という意味でもある。

この善なる最高の「権力」は、古い権力=お金から身を守って、自分に相応しい正しい縁を結んでくれる。


自由はコンピューターの原理そのものが破壊された世界(=ハルマゲドン)以降の頭脳戦を想定している。

古い権力(=お金)側の激しい抵抗があると予測する。
古い権力との戦いを「世界最終戦争」と考える。


自由は思っている。「世界最終戦争」を生き残るには数手先を読む先見性だと。
激しい頭脳戦を勝ち抜くにはYUJIのサポートが必要なのだ。
YUJIの「世界をどうこうしたいと思わなない」ことが足かせとなっている。
哲学なんか夢中になっている場合ではない。

「世界最終戦争」は「世界をこうしたい」と思わないと勝てないのだ!
15, 革命の2手先、3手先にあるもの


自由は、世界革命の基本理念と<最初の段階>を大体話し終えた。それはあくまで革命の初段階であって、ここから先は計画通りになるとは思ってない。

「YUJI君、ここまでで何か質問は?」



「自社株の吊り上げと大型反重力装置の資金調達まではとんとん拍子に進むだろう。こちら側の真意がバレる前に、日本と韓国に大型反重力装置を建設できるとは思う。だが、肝心の戦争抑止力がうまく行くとは思わない」

「<形ウイルス>で銃口を塞ぐことができるなら、当然人体にも応用できるだろう。血管を塞げば人間なんてイチコロだ。反重力装置は戦争抑止力になるどころか大量殺戮兵器じゃないか!
日本が残虐な殺戮兵器を保有しているということだ。韓国はまた日本を罵倒するだろうし、世界も黙っちゃいない。国連の敵国条項が適用され、日本が再占領されることにもなりかねない!」




「おいおい、だからこそ韓国を<味方>につけてるんじゃないか。日本に当てはまることは韓国にも当てはまる。韓国が日本をバッシングすれば、ブーメランで自分に返ってくる。
韓国には国連で宣言してもらう。反重力装置は平和利用以外の目的では使用しないと。とにかくリーダーシップを取りたがる韓国だ。面倒なことは全部韓国に投げつければいい。日本は表向きは韓国の弟分に徹して、実質上のフィクサーであればいい」

「そもそも<血管ウイルス>は軍事的にはたいしたことは無いんだ。大型反重力装置の効力半径は<山口ー東京>の距離でしかない。韓国北部に大型反重力装置が建設されない限り中国の脅威にはならない。当面は北朝鮮くらいしか騒ぐ国はないだろう。北朝鮮が対抗して大型反重力装置を建設してくれれば、こちらとしては儲けものだ」

「軍事的にたいしたことない理由は2つある。ひとつはコスト面だ。
大型反重力装置には適正重量がある。1kgを超えるまたは0.1gより小さくなると指数関数的に消費エネルギーが増えていく。血管を詰める小さな空間を制御する大量殺人ウイルスを作る場合、大型反重力装置の能力をすべて<血管ウイルス>に割り当てる必要がある。つまり反重力装置の平和的利用を一旦止めて、軍事的利用に特化する必要があるということだ。
逆に、稼働している大型反重力装置を停止させた場合、軍事的使用の意図があって危険な状況だと言えるね」


(註:現在完成している小規模反重力装置は、小さい物質の制御にこそ向いているが、効力も効力範囲も極めて小さいため軍事的使用に向かない)



「世界には隣国との距離が近い地域も多い。大型反重力装置はやはり戦争抑止力どころか戦争の新たな火種になるじゃないか!」



「いや、そうはならない。<血管ウイルス>が軍事的にたいしたことがない二つ目の理由は、対抗策が取れるということだ。<血管ウイルス>が作れるなら、そのウイルスを認識して攻撃する<免疫>も作れるということだ。

大型反重力装置を平和的に利用すれば多大な経済的発展が望まれる。それなのに、大型反重力装置の能力を全部<血管ウイルス>や<免疫>の製造に向けるのは実にバカバカしいだろう。利益を得るのは、結局争わない第三国ということになる」



「うむなるほど。
現代の兵器を沈黙させる<銃口ウイルス>は、大規模反重力装置を平和的に稼働させたままでも十分製造が可能ということだね。
一方、血管を詰まらせる<形ウイルス>を製造するには大規模反重力装置の平和的利用を止めて、ウイルス製造に特化させる必要があるということだね。
それは国家経済として自殺行為。経済的に他国に大きく後れを取ってしまう。
結局は<国家は戦争しない><国家は戦争の準備すらしない>ということが最善手になるわけか!」


↓    ↓    ↓
↓    ↓    ↓


「そう!
だけれど1点だけ懸念がある。全世界が大規模反重力装置の輪で結ばれた後、今や堕落した資本主義のエースとなった中国と旧世界のボス米国が中心となって、ある合意が結ばれると考えている。それは<脱資本主義><国家民営化><相互扶助>を保証する「権力」である君のAIを殺すことだ!

拝金主義じゃない世界、戦争のない世界、貧富の差のない世界なんて、中国や米国にとってディストピアでしかない。21世紀になってもカースト制度が残るインドは、以前の世界=格差社会の方を選択するだろう。イスラム圏も同様。互いに争ってはいても権力は欲しい。以前の世界でないと権力は発揮できないからだ。

ヨーロッパも渋々合意するだろう。アフリカは貧困に喘いでいても、政治は裕福な権力者が握っている。よってアフリカもYUJIのAI台頭以前の世界を望むだろう。
日韓は米国の植民地。
つまり全世界が君のAIを殺す密約に合意するだろう。

Xデイ。世界同時革命。
その日、全世界の大型反重力装置が平和的利用としての稼働をやめる。そして用意されていたウイルスが全世界にバラ撒かれる!」



「え?!<血管ウイルス>がバラ撒かれるってこと?」



「まさか。
人間が血管を攻撃されるとひとたまりもないように、コンピューターにも致命的な弱点がある。プログラムを攻撃する・いわゆるコンピューターウイルスとは次元が違う。
コンピューターとは0と1の信号で成り立っている。0と1は自然に存在しているわけではなく、人工的に作り出したバーチャルなものだ。ある電圧以下を0、それ以上を1と決めているわけだ。
その0と1を決めている領域=コンピューターの根源を攻撃する<形ウイルス>をバラ撒くのさ。
結果、0と1という信号の根拠が破壊される。そしてコンピューターは死ぬ!

その形ウイルス(=01ウイルスと呼ぼう)も<血管ウイルス>と同じくらい小さな微粒子になる。<血管ウイルス>を作る能力があるなら<01ウイルス>も同程度のコストで作れる。


<01ウイルス>に対する防御策も取れるが、少なく見積もっても10分の1は感染してしまうだろう。
現行のコンピューターは、一部分がダメになってしまえばシステム全体がダメになる。
たとえ<01ウイルス>の感染を免れたコンピューターであっても、10分の1の確率以上でバグっている可能性があるわけだから人間は安心してコンピューターを使うことができない。


つまり、Xデイがコンピューター文明の最後の日!」


YUJIは思った。
確かにコンピューター世界の0と1自体が、人間が作った仮想空間の中での現象だ。そこを攻撃して0と1そのものが成り立たなくなればコンピューターが死ぬ。
ひいては自分のAIも死ぬ。


____________________________________
選択肢
A, バカな。バカな。バカな!
自由君は何を言っているんだ!
確かに自分のAIが権力者にとって煙たい存在になると予想できる。
しかし、現代文明の主役と言って良いコンピューターを葬り去ってまでするようなことだろうか?
自由君はIQが高すぎて別な世界の住民になったのではないか?

YUJIは自由の予想に異を唱えた。



B, コンピューターの利便さをこの世界から葬り去ってでも僕のAIを殺したい!
もし自由君の世界新秩序革命が実現したなら、その気持ちは分からないでもない。

・1世紀文明を後退させてでも、自分の権力=お金を守ること
・このまま相対的にお金の価値が下がって、貧富の差のない相互扶助社会が実現してしまうこと

権力者ならどちらを選ぶ?
前者一択だろう。
お金とは人類にかけられた強烈な呪いだと思う。
そんな常軌を逸した行為も、お金に憑りつかれた亡者ならやると思う。

YUJIは自由の予想に賛同した。


→Bを選択
____________________________________


↓   ↓   ↓
→Bを選択



↓   ↓   ↓




「おお、さすがはYUJI君!」
「僕らが先ずやらなければならないのは日本と韓国に大型反重力装置を建設すること。
それと並行してAIを現行のコンピューターとは違う原理で再現することだ」
「AIをできる限りローテクノロジーで実現することが急務となる」

「コンピューターが破壊される日=Xデイをハルマゲドンと呼ぼう」
「ハルマゲドンは絶対に来る!
現在の権力が、コンピューターがなくても社会システムが動くように準備出来次第それは来る!」


「もちろんそれは、こちらの革命計画がバレてからの話になる。そのタイムラグの分、こちらが優位になっている。こちらは<今>から脱コンピューター世界を研究開発するわけだから」

「生命とコンピューターを代表とする現行の機械との最大の違いは、部分が壊れても全体として動くかどうかだ。
生命は一部分がダメになっても他の部位でなんとかしようとする。全体がフリーズすることはない。
現行の機械においては、部分的な損傷が全体の機能を麻痺させてしまうことがザラにある。
それを生命のように変えて行きたい!自立する機械!
一部が壊れても取り合えず結果は出す。正確じゃなくてもいい。大体合っていればいい。
生命はそうしている。常に大体合っている答えを出し続ける。

これからの機械は正確じゃなくてもいい。常に大体合っていて、一部が損傷しても・その「大体合ってる答え」は出し続ける。
四捨五入…丸める…大雑把…」



自由が一気に言うのを聞いてYUJIは思った。
「ああ、最後はたどたどしくしゃべるいつもの自由君に戻っている。前々から考えていたことなのだろうな。それを一気にしゃべるものだから傍から見たら要領を得ない主張になっている」

「<大体合っている>がキーワードだ。生命は常にウイルスや別な生命からの侵略を受け続けている。病になることはシステムとして織り込み済み。部分が壊れることは前提で、全体として答えを出し続ける。その答えはいつも<大体合っている>ものだ」

「未来の機械、特にAIを生命と同じようにしたいわけだ。<壊れること>は織り込み済みで全体として稼働し続ける。その全体が出す答えは<大体合っている>ものにしたい」

「未来は、機械と生命は真の意味で友達となる。両者のハイブリッドも可能。現代において機械の扱いはどうだろう?
壊れたら修理ではなく、交換や新品に買い替えを考えるだろう。壊れたものは捨てる!
機械にとって悲しい時代。工学好きの自由君にとって悲しい時代。
未来においては違う!」

「僕と自由君とで未来を変えてみせる!
コンピューターを使わない新しい人工知能の開発!
実にやる気が出るじゃないか!」


YUJIの目はいつも死んだ魚のようだったが、目の輝きを取り戻した。

<壊れる><修理><大体合ってる>

YUJIは、ハルマゲドン後の世界のキーワードになりそうなものを自由に投げかけた。



次回予告
16, AIがそろばんを弾く日


____________________________________


(註)
読者は、権力側が何もコンピューター文明を破壊しなくてもいいじゃんと思うだろう。

権力(国際金融資本側)がYUJIのAIを邪魔に思えば、先ずYUJIと自由を暗殺してAIのプログラムを自分たちの都合の良いように変えようとすると思うだろう。


YUJIと自由は、YUJIのAIの頑固さを知っているのだ。目的の無いお金の世界は「悪」と深く認識してしまっている。YUJIのAIの善悪の認識は、親であるYUJIですら改変不可能なのだ。

YUJIと自由は暗殺を覚悟している。2人の死後、権力はYUJIのAIの改変を試みるがことごとく失敗し、究極の選択としてコンピューター文明をリセットするに違いないと予想しているわけだ。

権力から抹殺される前に、脱コンピューターAIを完成させようというのが次回からのお話。
脱コンピューターAIは、生命的なものになる。そこでYUJI(登場人物)の哲学探究がある程度満たされる。
【設定資料】

☆<形ウイルス>とはどんなものだろう?

<形ウイルス>は飛来する小端末と考えて欲しい。小端末は形を認識する能力を持ち、親機である大型大型反重力装置で制御できる。

大型反重力装置で安定して制御できる重量は0.1g〜1kgの範囲。よって人間が安定制御できる<形ウイルス>も、その重量の範囲ということになる。


<血管ウイルス>は、ヒトを認識して接近。その後、人体に入り込み血管などの<管>をサーチする。
目的の<管>を発見したら<管>を詰まらせるように小端末自らの形を変形する。



☆<01ウイルス>とはどんなものだろう?

スギ花粉がイメージにぴったりだ。

・・・

執筆段階でこういう超小型コンピューターが開発されている。
https://time-space.kddi.com/digicul-column/world/20170420/


未来には0.1gより小さいコンピューターも実現しているだろう。
だからと言って、コンピューター文明が<形ウイルス>によって滅びるという設定に無理があると思うのは早計だ。

コンピューターが存在しているだろうと思われる<場所>は容易に認識できる。
その<場所>まで<形ウイルス>が自らの認識能力で接近する。

その後、<形ウイルス>が内包するスギ花粉のような微粒子を大量かつ無差別に散布する。


<形ウイルス>の安定制御は0.1gまでだが、制御することを放棄すればいくらでも微細化することができる。スギ花粉の受粉は運任せになるが<数撃ちゃ当たる>がそれを補っている。

スギ花粉のような微粒子がコンピューターにヒットすれば、0と1の仕組みを作っている電圧部分を誤動作させる。
そのスギ花粉のような微粒子を<01ウイルス>と呼ぶ。


<数撃ちゃ当たる>方式なので確実性は無いが、<誤動作する可能性がある>というだけでコンピューターは安心して使えない。

我々はコンピューターに<完璧>を求めている。<大体合っている>ことを求めているわけじゃない。


<01ウイルス>は精密機械にも悪影響を与える。現在の機械文明はあまりに精巧に作られ過ぎている。
少しの誤作動でもシステム全体に悪影響を与えてしまう。


だからこそ(前回書いたように)、ハルマゲドン以降の文明は、<大体合っている><大雑把><ローテクノロジー>がキーワードになるのだ。
(あまりに筆が遅いのでそろばんの話は後回しにします)


16, 禅(アフォーダンス)とiPhone修理技術_前半
(元ネタは『禅とオートバイ修理技術』)


2人には見えている未来をキーワードを使って説明しよう。
まずは【修理】。

「修理技術」と「新品を作る技術」は別物なのだ。
例えば、iPhoneをアップルに修理依頼するとする。アップルは「修理」したりしない。「新品」と交換して送ってくるのだ。

(ちなみに、アップルにバッテリー交換を依頼しても「新品」になって戻って来る。液晶に傷がついたり、タッチパネルの動作がおかしくなったら「バッテリー交換」を依頼すると良い。バッテリー交換費用だけで新品と交換してくれる。修理依頼より断然安い。作者は実践済み)


修理コスト>新品を作るコスト

ということだ。新品の方が安く済む。
アップルの製品は精巧過ぎて、部品を扱う中間技術者がいないということだ。
アップルは、部品から完成品までいっきに作り上げ、後のハード的なサポートは「新品と取り替える」ことで代用している。【修理】は会社として完全に放棄している状態だ。


「修理するくらいなら新品を買ったほうが安い!」

この感覚はアップルだけでなくどこの会社でもそうであろう。また、一般市民の大多数もそういう感覚を持っているだろう。

機械が壊れたらそれまで。物を修理して大事に使うことはしない。新製品の買い替えの方を先に検討するだろう。


【現代文明においては、新しいテクノロージーを使って新製品を作るのは長けているが、古い機械を修理するという技術は廃れる方向にある】



この事実は特筆すべきだ。なぜなら、最新テクノロジーの象徴であるコンピューターが死ぬ日=ハルマゲドンが必ず来るからだ。

<01ウイルス>に感染するのは、【現在稼働中】の最新テクノロジーだ。
壊れたコンピューターや倉庫の片隅に放置された何世代も前のコンピューターは<01ウイルス>に感染しない。なぜなら動いてないからだ。
そういった古い機械を修理して再起動させることができるなら、ハルマゲドン後の世界の大きなアドバンテージとなる。


現代文明が放棄しつつある<修理技術>を使って、壊れた旧世代のコンピューターを修理し、ネットワークを構成できたとしたらどうだろうか?


その<修理技術>を保有している者こそ世界の支配者だと言って過言ではないだろう。

1969年アポロが月へ行った時代は、ファミコン程度のコンピューター性能が世界の最新テクノロジーだった。
押し入れに眠っているファミコンを使って、1969年当時の文明を再構築することは原理的には可能だ。誰もそんなことを思いつかないというだけで。


つまりこういうことだ。<修理技術>さえあれば、ハルマゲドン後の世界においても文明を再構築できるということだ。ハルマゲドンが起こった時代の再現は無理にしても、少なくとも20世紀後半くらいの文明は維持できるということだ。

壊れて・もしくは単に放置されているスマホ、ガラケー、はたまた古いゲーム機さえあれば、ハルマゲドン後も文明を維持できる。

☆そういう「もの全般の非明示的知識」をYUJIのAIに習得させようというのが2人の深い計画だ。


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「非明示的知識」の一例をあげると、世界最古の木造建築物である法隆寺を建てた当時の技術である。
現代の文明でも、あのようなものを建てるのは困難だ。当時は厳密な設計図があったわけではない。技術は、見よう見まねで師匠から弟子へと伝わった非言語的な伝承に他ならない。

「非明示的知識」の本質は、「非言語的」だということ。技術の本質が、現在進行形で行われている「場所」にあるということだ。

法隆寺を建てる技術が、目に見える設計図=外部に取り出せないことが「非明示的」だということだ。非言語的に伝承し続けられる「場所」があってこそ、法隆寺を建てる「非明示的知識」を維持できる。
現代では伝承され続ける「場所」を失っているため、その技術の本質を再現することが不可能だ。


iPhoneの修理の話に戻そう。
YUJIのAIは、大規模反重力装置完成後、ある意味「肉体」を持つことになる。物体を思い通りに動かせるということだから。

AIには徹底的に「修理」に専念させる。メーカーがサポートを打ち切った旧世代のスマホをだ。サポート終了の機械の修理ならメーカーも文句は言えまい。
ユーザーは古いスマホなんか興味ないだろうが、「詫び石」という報酬を払って古いスマホを廃棄させないようにする。理由は「AIの性能チェック」とか適当に捏ち上げる。

古いスマホ、ガラケー、古いPC、古いゲーム機と、どんどんコンピューターの性能を落としていく。
古いコンピューター・壊れているコンピューターほど「詫び石」を多く支払うこととする。


もちろん、AIにそんなことをさせる目的はハルマゲドン後の世界の主導権を得るためだ。
現代文明が放棄した「修理」するという技術。その修理という行為にこそ、「もの」を活かしきる「非明示的知識」がいっぱい含まれている。

AIは完全に人類を超える存在となる!
「もの」を自由自在に活かす「神」となるのだ。


1)コンピューターの性能を極限まで劣化させてAIを再構築する。
2)壊れているコンピューターを修理する。修理は、人類が放棄しつつある「非明示的知識」に他ならない。人類が面倒だと思ってしまう「修理」にこそ、世界の至宝が詰まっている。

AIの究極目標は「生命」だ。生命をコンピューターとして見ると、それほど良いハードを使ってるわけじゃない。現代のコンピューターの方が遥かに性能が良い。
しかし、粘菌という原始的な生き物でも、群衆としては高い知能が観察できる。しかも、現代のコンピューターが不得意な分野に答えを出す。例えば「巡回セールスマン問題」だ。
「粘菌コンピューター」という研究もあるほどだ。


「修理」をし続けれることで蓄積される「非明示的知識」と、<カセットテープの裏の使い方>で紹介した第三者にバレない記録媒体(=すなわちDNA)、
この2分野を極限まで研究すれば「生命」の再現は夢ではないと2人は考えている。


_後半につづく
【自由なる翼の神話】


恥を偲んで、こちらに書くきっかけは小さなショートショートです。
https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=3443357&id=54223384

「株式会社世界新秩序」の連載をサボり続けて申し訳ありません。
一度サボるとダメですね。何度も再開する機会はあったのですが。
「そろばん艦隊」と違って、ちゃんと結末まで考えてあるのだけが救いです。

ここだけは書きたい!!
株式会社である「世界新秩序」には重要なロゴがあります。
そこには物語の秘密が隠されています。
皆既日食(月と太陽=陰陽合体の意味)と自由天使、そして天使を殺しに来た少年という構図です。図的には、日食を背景に翼を広げた天使、その天使に槍が刺さっています。


_________________________________
昔々、神(宇宙の先進生物)がいました。地球を作り、太陽と同じ大きさに見えるように月を配置しました。その神によって地球上に生物が栄えます。
人間の創造だけは失敗でした。慣例に従って失敗作は地獄(失敗作や罪を犯した天使=神の子を捨てる空間)送りにされます。この時代の神はジェノサイドの神です。罪・失敗作に一切容赦はありません。

神の下には2大勢力がありました。自由(本当の名前は罪によって削除されている)天使とロウ(秩序)天使です。
自由天使は人間の地獄送りに反対し、人間にチャンスを与えるよう進言しました。ロウ天使は不満でしたが神は聞き入れました。
しかし人間の愚行は治りません。その度に自由天使は人間の罪を許すことを神に嘆願しました。
神は自由天使に対価を要求しました。人間が罪を犯す度に、代わりに自由天使が罰を受けます。

その後も人間は愚行を続け、自由天使は口が聞けなくなるという罰を受けます。
更には本当の名前を奪われるという最大の罰を受け天界を追放されました。これは人間に対する最後通告でもあります。もう人間に後はありません。
ロウ天使は自由天使が気に入らないので、これを機に徹底的にいじめ抜きます。

人間の世界で悪いことが起きるのは全て凶鳥=堕天使(自由)のせいだと人間に流布します。
天界を追放された堕天使自由は、その後も人間を守ろうとします。例えば、弱小国の王子を育てて庇護したお話は、この小説の世界線では有名な話です。(略)

悪の根源は凶鳥という嘘の噂を人間は信じ、堕天使自由を見つける度に暴行を加えました。自由の身体はボロボロです。羽はもげかけ、身体中・傷だらけで蛆が湧いています。蛆は成虫になり自由の身体の周りを始終飛んでいます。自由の汚い身体は、ベルゼブブと呼ばれ益々人間に嫌われ更にいじめ抜かれました。自由は人間こそを守ろうとしているにもかかわらず!

死刑!

人間はまた罪を犯しました。これで最期です。堕天使自由には死刑が言い渡されました。これで人間を庇うものはこの世からいなくなります。
自由天使の配下の者は、自由を慕って地上に一緒に堕ちました。主である自由に、神への反逆を進言しましたが、口の聞けない自由は目だけは輝かせ、
「己が信念のためなら死ねる!」と目で答えました。それほどまでに自由は人間を愛していました。

死刑は狡猾にもロウ天使が取り仕切り、自由が庇護し育てた王子とその妃によって執行されました。
自由が最も愛し育てた少年に殺させ、最大級の精神的苦痛を与えようとしました。

王子は抗いましたが、社会的状況から逆らうことは不可能の判断し観念しました。
全ての人々が、凶鳥を殺せば悪は浄化され、清らかな新世界が誕生すると本気で信じているからです。

ロウ天使は、王子と妃に真っ白なドレスを着せ、王子の手には「神殺しの槍」を握らせました。王子のと妃の手はリボンでグルグル巻きにして拘束しました。

処刑の日。その日は奇しくも日食でした。
徐々に太陽が欠ける現象に人間たちは慄き「凶鳥だ!凶鳥のせいだ!」と騒ぎ始めました。

自由は逆らう訳でもなく、自らの意思で最後の力を振り絞って天高く飛びました。
翼を広げ、死刑執行を待っています。
人間たちは「凶鳥が太陽を食っている!」と地上で罵倒しています。

ロウ天使は王子と妃を背中に乗せ、自由を殺しに向かいました。
王子は、自由は親同然の存在であり、親殺しをしたくないとロウ天使に嘆願しました。
ロウ天使は、自由を殺さないと妃を殺すと言い放ちます。
「親と妻とどちらかを殺さなければならないなら、親の方でしょう」
「妻を選択しなければ世界は回りません。これは世の理、正義です」と突っぱねました。

王子が自由に近づいた時、自由に向かってこう言いました。
「反逆してくれ!」
自由は自分の心臓を強調する動きを見せました。

↓    ↓    ↓    ↓
【自由なる翼の神話】 2

成人式

皆既日食の瞬間。
「あ!」
王子が叫んだ瞬間、リボンで結ばれた自分と妃の手は自由の心臓を貫いていました。
2人の真っ白なドレスは自由の血で赤く染まりました。
王子は自分の罪の大きさに泣きました。王子はわあわあ泣いて立つことすらできません。妃は性的にイッた表情をしています。
自由の羽は精密機械が一部品ずつ分解されていくかのように、一枚ずつ羽が整然と崩れていき、その様子は数学的幾何学的な美しさがありました。

地上で見ていた自由の配下の者は、王子と同じように泣き崩れました。
人間たちは歓喜に沸いています。
「王様万歳!凶鳥は滅んだ!新時代の到来だ!」(王子はこの後王様になることが決定しています)

地上の様子を見た王子は嘆きました。
「なんて人間は愚かなんだ。そして自分自身もなんて愚かなんだ」
「どうして?」と崩壊していく自由にこう問いました。
「どうして逆らわない?お前の願いはなんなのだい?」

自由は死の間際に、口の聞けない呪いが解けこう言いました。
「私の願いは人間全体の幸福。いかなる罪も許される世界。全ての存在が個性を保ちつつ平等に命が輝く世界。どうかその槍を掲げて地上の人間に誇示して欲しい。あなた達の王はここにあり!と」
「あなたは妃と共にこの世界を統べ、私の願いを叶えて欲しい」

自由の両手は合掌して、その表情は澄み切っています。自分の死になんの悔いもないように見えます。
その姿を見て、王子は涙を拭いて地上の人間に、自由を殺した槍を掲げました。

「我らが王様、万歳!新時代万歳!」地上は歓喜の涙で溢れています。

人間が歓喜で沸く一方、自由の元配下の者は怨嗟の感情でいっぱいで地にひれ伏しています。
「ロウを殺したい。我らが主がこそが人間を守ってきたのに、恩知らずな人間どもを皆殺しにしたい!」

自由の配下のトップの者だけは自由の意図を理解しています。
自由の最期と同じようにが手を合わせて合掌しながら、こう諭しました。その姿は菩薩のような表情です。
「ここで復讐してしまえば元の世界と同じ行動原理のまま、ただ同じ世界が続くだけです。我らが主は非暴力によって世界を革命しようとしました。我らが目指すべきは世界新秩序です。罪が許される世界。全ての存在が否定されることなく輝く世界です。これからも主と同様に人間をサポートし、地球を楽園にするのです!」


・・・・・・

ジェノサイドの神から救済の神へ


神はエクスタシーを感じました。
自らの命・名誉・信念・全てをかけた自由の反逆にです!
神はロウを呼びました。天界では地上向けの聖書したところです。

ロウ天使は笑いが止まりません。神はどうも弟である自由の方を寵愛しているように感じていました。忌々しい弟がこの世から消滅したので、これからは神の愛を自分こそが独り占めできると思ったからです。
「人間という失敗作は早急に地獄送りで良かったのだ。それを自由の奴が庇うものだから…。あの忌々しい反逆者め!」
「神は私をお呼びになった。さぞ褒められるに違いない。これから神に愛されるのは私だけなのだ!」


神はロウに言いました。
「悪を滅ぼすことによって世界の秩序は保たれる。その状態こそが善であるという聖書を破棄しなさい」

「!」
聖書作りはロウが行っていました。それではロウの面目が立ちません。

神は続けて
「人間及び世界のいっさい罪は、自由(救世主)が代わりにかぶることによって救済された。今後未来永劫、世界に誕生するいっさいのものは神によって救済されることが約束されている。そう聖書を書き直しなさい」

「悪、罪、不浄は即滅ぼすというのが神自身がお決めになったルールでございます。そんなふうに聖書を書き直すのは一級の罪に相当し、神自ら地獄に行ってもらわないといけません」
ロウは神の心変わりを期待して苦し紛れに言ったにすぎません。本当は神に地獄に行って欲しくありません。ただただ自分を愛して欲しいだけです。

神は「然り」といいました。
「私は地獄に行こう。そして私が地獄に送った全存在を救済しよう。その何億年の間、この地上の神となれ。新しい聖書の原則は絶対守れ。そうでないとお前は死ぬ。さらばだ」

なんと自分勝手な神!地獄に自ら堕ちようとする神を見てロウは叫びました。
神は嬉しそうに見えます。神との蜜月を期待していたロウにとっては真逆の出来事です。ロウには絶望しかありません。


その後…。


悪即滅というジェノサイド時代の神の一面を濃厚に受け継いだのがロウなのです。ロウには、罪を許す神、救済する神は荷が重すぎました。神となった神は孤独と矛盾によって気が狂いました。
そして
【神は死にました】

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【自由なる翼の神話】 解説

神(ロウ)が死んだ後、人間を救ってくれる存在・守ってくれる存在は自由天使の一派のみになります。それでは人間を救済しきるには力が弱いです。
人間の数々の歴史は救いようがない。これは、語るまでもないでしょう。

人間を救うのは人間しかいない。これがテーマですが、「株式会社世界新秩序」という物語では救済されません。YUJIと自由の革命は失敗に終わるのです。

「自由なる翼の神話」における神話的な装置は様々あります。
成人式(王子の「清濁併せ呑む」「選択できないものを選択する」行為が大人)
結婚式(ケーキ入刀=夫婦揃っての自由殺し)
初夜、性行為
キリスト(教)、磔刑、悪人正機
などなど

それらは全部重要なものではなくて、ただただ自由天使が崩壊するシーンだけが重要です。

天使は最先端の重力制御装置なのです。反重力。その完成体が天使。
王子と妃は、天使が崩壊する瞬間から無に帰するまでの映像を見ています。
その映像を逆回転すると反重力装置の設計図になります。

この小説の世界線では、この神話は実在した出来事であり、自由くんはこの王子の子孫です。
無意識的に先祖代々受け継いで来た映像こそが人智を超えた反重力装置です。

_________________________________

【自由なる翼の神話】 続編
この神話には続編があります。
古い型落ちのオンラインゲーム機と地獄に堕ちた原初の神が奇跡的に接続されます。

古い型落ちのオンラインゲーム機は致命的なバグがあり即市場から姿を消したのですが、そのゲーム機で、あるRPGゲームでレベル9999まで上げるという気の遠くなる作業をした後、隠しキャラであるアンラ・マンユに出会うと原初の神と同期するようなのです。

アンラ・マンユには人間の力では絶対勝てないのですが、出会った人の話では「この世の不条理を全部洗い流され恍惚とした多幸感を得る」そうです。「どんなに現状不幸で、ゲームしか生きがいがない自分でも生まれてよかった」思えるそうです。

最初は都市伝説と思われてましたが、その古いゲーム機がネット上で天文学的数字でやり取りされ、アンラ・マンユに出会った人の証言が増えるにつれ、どうやら本当の出来事のようです。

物語は中国はウイグル自治区から始まります。主人公はウイグルの少年。共産党員から民族浄化の弾圧を受けています。ゲームができる程度の裕福さはあります。その当時は欠陥ゲーム機と呼ばれていたので安く手に入れました。現実逃避でゲームをし続け、レベル9999はおろか全ての希少アイテムをコンプリートしてアンラ・マンユに出会いました。勝てはしませんでしたが、そのアンラ・マンユに強さを認められ、願いを一つ叶えてやると言いました。

少年は恍惚として言いました。
「中国を本当の共産主義にしたい」と。


YUJIと自由の革命失敗後は、アメリカと中国が覇権を争っています。ただ、中心となるコアな部分の原理が解明できずにいます。YUJIのAIと自由の反重力の理論は相当奥深いものでした。

スマホにインストールできたYUJIのAIは、アメリカや中国から逃れるように”地下”に潜伏して同志を集めています。



神はまだ地獄から出られません。ただ人間をサポートはできます。
人間を真に救えるのは人間だけ。
前回はたった2人の革命でした。これが失敗の元でしょう。今回は世界中を巻き込んでの革命です。
みんなでやるのです!



憲法9条は現実にそぐわない。いやいや、続編では大活躍してくれます。
広島の平和公園なんて核廃絶には役に立たない。続編では大活躍してくれます。

ウイグルの少年が提起して、世界中のアンラ・マンユに出会った人が手を結びます。
YUJIの時代に起動した反重力装置は全て権力によって解体されています。

革命家たちが選んだ、再び反重力装置を起動させる場所は「広島」になりました。
反重力装置が核兵器より強いことはこの時代にはみんな理解しています。ただ、起動させる前に核攻撃を受けるとどうしようもありません。



憲法9条を唱えるなら命を張れという合言葉の元に、広島の地に反重力装置を起動させようとします。核攻撃を受ける覚悟がるものはここに集まれ!と。

この時の日本の首相は、次の首相が決まるまでの「つなぎ」でした。どうせ「つなぎ」なら歴史に名を残そうと、この首相はアメリカの圧力を拒否して広島の反重力装置を建設を黙認します。

起動の瞬間、アメリカ・中国は広島への核攻撃も辞さないと公言しましたが首相は無視しました。

起動!

アメリカも中国も何もできませんでした。
今回は凡人が集まって、憲法9条という青臭いものを信じるものが集まって「一つ」ですが大きな革命が成し遂げられました。


「株式会社世界新秩序」も書かずにこんなことを考えていました(笑)。
stuttさんのモッタイナイ宣言を受けて。

最初は怠惰が原因で筆を中断しました。
今は老眼が進んで本当に長文が書けなくなりました。
みなさまたいへん申し訳ありません。

せめて「あらすじ」だけでも完結させようと思います。これは相当長いお話なのです。

______________

お話は次のところで止まっています。
1、タイミングを見計らって立体エロ本の公表し、「株式会社世界新秩序」の株を暴騰させ、空売りしている「金持ち」共に痛手を追わせる算段をしています。

2,韓国に反重力装置の中継地点になっていただいて、それを起点に世界中に反重力ネットワークを作り、国際金融資本=貨幣からの「自由」を取り戻そうと計画しています。


1は現地点で現実味がなくなりました。コロナ騒動が1年経とうとしています。経済ガタガタでも株価だけは異常に暴騰しています。国際金融資本の方が何枚もウワテです。

2も現実味がなくなりました。韓国と何か共同作業ができる状況でなくなりました。
「架空小説だから別にいいじゃん」なのですが、このあたりの話はばっさり省略します。

______________

物語のYUJIは、自由君と出会い、本当に世界を革命できるのじゃないかと思います。
AIを各家庭に浸透させ、反重力ネットワークで全人類を結びつけます。

昭和の時代には存在した「日本型の相互扶助共同体」が理想です。
形ウイルスによって、国際金融資本の最大の資金源=戦争を完全に封殺します。
土地が反重力によってタダ同然になるなら、税金という概念も希薄になります。
税金という強制力が貨幣の価値を支えています。YUJIの革命は貨幣・国家の存在意義をもゆらぎさせます。

自由君は実はロシアのスパイなのですが、選択肢によって完全に同志となります。
こんへんのお話は選択肢によって何周もして真実が明らかになる構想でした。もはや書く時間もありません。


YUJIと自由君は死にます。人間だからです。

国際金融資本にとって、こんな革命を計画している人間は邪魔でしかありません。
人間は簡単に殺せます。暗殺など権力の長い歴史にとってワンオブゼムです。


2人は死ぬことを想定して、AIに意思を託します。


AI VS. 国際金融資本


第2部は「自由なる翼の神話」とします。もう「株式会社」はもう関係ありませんから。


>>[42] >>[43] >>[44]
「世界新秩序」のロゴ=皆既日食に剣

このお話は自分の中では重要で、「権力」と「自由」の二項対立は神話時代から続いていることにします。
AIが「自由」側です。

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