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トヨタの足元コミュの人は合理化できない カローラの魂<6>

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むちゃなコスト削減で町工場の心は離れ、社内の絆(きずな)も弱まり…情で固く結びあった伝統が、いつから薄れ始めたのだろう。

 少なくとも20年前は違った。自動車王国のアメリカで「カローラの魂」が米国の労働者を1つにした実体験が、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁会社を任された木村修(73)には、ある。

 「余震の可能性があります。できるだけ自宅で待機してください」

 カーラジオがしきりと警告する。

 1989年10月18日、米カリフォルニア州フリーモント市。前日のサンフランシスコ地震は、合弁会社「NUMMI(ヌーミー)」がある同市にもつめ跡を残していた。

 社長だった木村は翌朝、工場へ車を走らせた。官庁さえ多くが休み。「誰も来てないよなぁ」。家庭第一の米国人は全員自宅待機。そう思い込んだ木村は工場に着き、目を疑った。

 屈強な男たちが被害のチェックに走り回っている。「どうしたんだ」。1人をつかまえて聞いた。「工場が心配だったんだ」。熱いものが込み上げ、涙を見られまいと横を向いた。

 ヌーミーは、トヨタの海外拠点として初めて「カローラ」を本格生産。「トヨタ生産方式」でのコスト削減がGM側の狙いだったが、トヨタが伝えたのは「チームワーク」だった。

 新工場の食堂では、GM時代にあった「ホワイトカラー」(幹部候補生)、「ブルーカラー」(職工)の張り紙をはがした。木村は従業員と席を並べて食べ、工場では不慣れな英語で誰にでも声をかけた。「おさむ」だから「サム」。やがて、皆がそう呼んだ。

 その後、海外生産が主流になったカローラは「トヨタ生産方式」の“伝道師”となり、「カイゼン」を世界共通語として広めていく。ただ、設立当時のヌーミー幹部で、のちにGM副社長にまでなったマーク・ホーガン(57)は「形だけでは意味がない」と言う。

 「実際に見たら現場の機械化といったシステムではなく、人間同士の協力が一番重要だった」

 地震のとき、役員室にいた木村はヘルメットをかぶり、工場へ駆けつけた。「危ないぞ、サムはここにいろ」。3人の「でっかい」職工たちがそう言い残し、駆けだしていった。彼らが示したのはボスへの深い信頼と、職工としての責任感。それを生み出したのは日ごろの人間関係だった。

 「合理化を頭で考えると、人間まで一糸乱れぬ型にはめ込みがち。トヨタ生産方式とはそんなシステム工学ではなく、人間をいかす“哲学”なんです」

 それが実証されたのは20年前。「人間の本質は世界共通ですよ」。木村の確信は今のトヨタにこそ問われている。 =文中敬称略

 【NUMMI】 84年、GMの閉鎖工場を活用して開設。開設前には約260人の米国人スタッフが来日。生産技術はもとより、トヨタの歴史や経営方針などを学んだ。現地の開所式で当時の豊田達郎常務は「チームワークこそが成功の決め手」とあいさつしている。

コメント(1)

現在のTOYOTA=弱い者イジメこそが、金儲けの決め手。

『成敗』(by松平健)

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