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Angel's Companyコミュの君と2人で(仮) 第1話

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 甲高い音がキッチンに響きわたる。スクランブルエッグを皿に盛り、焼きあがったばかりのパンを隣に並べる。テーブルの上にはマーガリン、ケチャップ、マヨネーズ。これで朝の準備は完璧だ。
 9月9日。2学期が始まってから2週間程度。休みボケしていた体も、学校の生活リズムへと戻ってきていた……まぁ俺はだが。俺の名前は風間 瞬。近くにある『皐月野学園』に通う2年生だ。

「さてと……」

 時間は7時15分。そろそろ起こしに行かないと学校には間に合わない時間帯。俺は静かに溜め息をつきながら隣の部屋へと向かう。

コンコン

 一応、ノックはしてみるがもちろん反応はない。コイツはまだ夏休みの感覚が抜けていないのか……

「おい、起きろよ。唯」

 ドアを開け、布団の中で丸くなっている我が妹、風間 唯に向かって一声かける……が、反応はない。

「起きろっ!!学校間に合わないぞっ!!」

 布団を引っぺがし、思いっきり揺さぶる。唯は不機嫌そうな顔をしながら、目を開ける。起き上がり思いっきり伸びをしたあと

「おはよぉ、お兄ちゃん……」

 寝癖でぼさぼさな頭をかき、眠そうな声でそう言った。

「ああ、おはよう。朝メシ、もう出来てるからな」
「わかったぁ〜……」

 そう言ったところで俺は寝室を出た。リビングに戻った俺はテレビのリモコンを操作し、いつものニュース番組に。バラエティでも活躍しているニュースキャスターが芸能ニュースを伝えていた。

「おはよ、お兄ちゃん」
「おぅ」

 眠気が覚めたのか、はっきりと挨拶をする唯。我が妹、風間 唯は俺と同じ高校に通う1つ年下の1年生。俺達は親元を離れ2ルームのアパートで2人暮らしをしていた。ただ1人暮らしがしたいって理由だけで県外の高校を選んだ俺だが、それは去年の春のこと。俺に何の相談もなしに大荷物を抱えた唯がやってきたのだった。
 そのときのことは今でもはっきり覚えてる。俺はすぐさま実家に電話を入れた。

『おい、母さん!!なんで唯がこっちに来てるんだよ!!』
『あら?言ってなかったっけ?唯も皐月野に通うことになったんだよ』
『……は?』
『で、わざわざ2つもアパート借りるのもなんだから、お前んとこと一緒でいいじゃないのさ』
『おいっ!!ちょっと待てよ!!』
『それじゃよろしく頼んだよ』

 一方的すぎる、あまりに一方的すぎる。
 荷物まで抱えて入学手続きも終わっている妹を突き返すわけにもいかず……そんなこんなで半年程度この状態が続いているというわけだ。
 まぁ最初は1人分の荷物が増えたり、自分のスペースが狭くなったりで邪魔だったこともあったけど、今じゃ上手くやってるんじゃないかと思う。

「どうしたの?おにいちゃん。ぼーっとしちゃって」
「ん、いや。別になんでもない」

 そう言って食べかけのトーストを一気に口に放り込む。

「んじゃ洗物、よろしくな」
「ふぁいふぁーい」

 もごもごとパンを口に入れながら、唯はそう答えた。洗面所に向かい身支度を整える。キッチンからは水道の流れる音。どうやら唯も食事をすませ洗物をしているようだ。となれば、さっさと洗面所をあけたほうが良さそうだな。俺は歯ブラシに歯磨き粉をつけ、洗面所を出る。

「唯、洗面所あいたから使っていいぞ」
「あ、うん、ありがとー。それじゃお兄ちゃん、さきに着替えてきてね」
「わかってるよ」

 歯ブラシを突っ込んだまま、寝室へと向かい着替えを始める。2人暮らしだと使えるスペースに限りがある分、交代で何かをするって場合が多くなってくる。元々兄妹だからってこともあるかもしれないが、この半年で息があい無駄なく行動できてる気がする。
 制服に着替え終わり、寝室を出る。洗面所に向かうと、唯は寝癖と格闘していた。

「相変わらず寝癖ひどいよな」

 俺はそう言いながら、蛇口をひねりぶくぶくとうがいをし歯ブラシを片付ける。
 唯はアイロンを駆使し、ライオンのたてがみのようになった髪の毛を元のショートボブへと戻していた。

「なんで、こんなにひどいのかなぁ……」
「さぁな。ほら、早くしないと遅れるぞ」
「わかってるよぉー」

 格闘している唯を置き去りにして、キッチンへ。ガスの元栓を締め換気扇をスイッチを切る。リビングに行き、窓の鍵を確認。時間はそろそろ8時。ニュースでは、全国の天気予報。ちょうど東京のスタジオに返り、テレビ局の裏側に設置してある大型の温度計をアップにしていた。

『それでは最後にテレビ局前の様子を見てみましょう』
『はーい。本日は、朝早くから地元の千羽大学の学生さんが集まってくれましたー』
『えーっと……千羽大学では今週日曜日、学園祭を行ないます。時間は……』

 このニュース番組の恒例のテレビ局前の中継。

(学園祭か……)

 大学生の学園祭アピールが終わったところで8時ちょうど。

「おっお待たせー、お兄ちゃん」
「ん、それじゃ行くか」
「うんっ!」

 最後にもう一度だけ戸締りを確認して、並んで家を出た。
 まだまだ残暑厳しい9月。快晴の空、周りの木々が青く反射する。いつもと変わらない日常が今日も始まる。

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