ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

Angel's CompanyコミュのAngel Syndrome 第1話

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
「ただい」

自動車学校が終わり家に帰った俺は、リビングの扉を開けながらそう言った。

「魔っ!?」

だが、リビングで俺を出迎えたのは唯愛でもなく、さとみでもなかった。
もちろん、さっきーでもない。
俺の目の前にいたのは、一匹の白い犬。
や、一匹……だが、頭は3つ。
世に言う『ケルベロス』と同じ造形をした獣がお座りをして俺のことを出迎えていた。

「あ、おかえりなさい」

ソファーでは、さとみが本を読みながらコーヒーを飲んでいた。
俺の目の前に居る白いケルベロスはゆっくりと歩き、俺に擦り寄ってくる。
体長は尻尾まで合わせれば、俺の身長の2倍はある。
俺は硬直して、動けなかった。

「さ、ささささとみ……?」

ゆっくりと口を動かす。
白いケルベロスは、俺の周りをくるくると回っている。
長い尻尾が頬にあたり、くすぐったかった。

「どうしたんですか?そんなところに、突っ立って」

「や、だって……。なんなの?これ」

なんなの?
そう言った瞬間、ケルベロスが鋭い眼光で俺を睨んできた。
人語すらも理解する獣。
背中に冷や汗が流れた。

「おいで、ソフィア」

誰かの声。
さとみでも、唯愛でも、さっきーでもない声がソファーの向こうから聞こえた。
その声に反応した白いケルベロスは、俺から離れその声の主の方へと向かっていく。

「誰だよ、アンt」

ゴスッ!!

「ぃった〜……」

正面から思いっきりバインダーが飛んでくる。
俺は、それを交わせるわけもなく直撃していた。

「アナタ、この人が誰だかわかってるんですか?」

「や、知らないから聞いてるだっての……」

頭をさすりながら、ソファーへと近づく。
そこにいたのは……。
………誰かも知らない外国の方でした。

「誰?」

「第一層『熾』」

さとみがゆったりとした口調でそう言った。
ふむ、どこかで聞いたことがあるな。

「アナタ…仮にも天使憑きなら覚えてたら、どうですか……」

溜め息をつきながら、さとみは呆れたようにそう言った。
そんなことを言われても、知らないものはしょうがない。

「いいよ、神城。自分で自己紹介するから」

白いケルベロスをなでながら、その女はこっちを振り向く。
綺麗な顔立ちに、白い肌。
年齢は…麻美ちゃんくらいに見える。

「天斯界第五位ニール・フェロイン。よろしくね、第二十位の雪乃君?」

そう言って、彼女はニンマリと笑う。
ふむ……第五位……。
………第五位……。

「第五位ぃっ!?」

瞬間的に後ろに飛びのき、壁に張り付く。
メ、メチャメチャお偉いさんじゃないっすか……。

「アナタも極端な反応する人ですね……」

「まぁ予想通りだけど」

「で、何しに来たんスか?こんな辺境の地にお偉いさんが」

そのお偉いさんから、出来るだけ離れて座り、俺はそう言った。

「う〜ん……まぁ事のついでって感じ。ほら、最近、いろいろと物騒なことが起こってるじゃない?」

物騒なこと……。
それが何を意図してるかはわからないが…。
もしかしたら、りぃちさんの件か?

「で、近くまで来たから、さっきーの様子でも見ようかと思って」

「は?…さっきー?」

突然出てきた言葉に、俺はあっけに取られてしまった。
何故に、さっきーが?

「……アナタ…本当に『ネコ耳』を持った人間がいると思うんですか?」

「や、天に俺の愛が通じたのかなーって思って」

言っておくが、俺は真面目だ。
故に救急車はいらんぞ?

「……神城も苦労してるね」

「…………はぁ…」

さとみが大きく溜め息をついた。
や、さとみにはそんなに苦労はかけてない……。
………かけてないよ?
ホ、ホントだよ?

「雪乃は、私の能力知ってる?」

「HAHAHA〜♪誰かも知らなかったのに能力なんて知るわけないじゃないですか〜♪」

そういった瞬間。
リビングの空気が凍りつく。
リビングを埋め尽くしてるものは殺気……。
そう、彼女からの……。

「ねぇ神城…。殺していい?殺して良いよね?ってか、殺す。つーか、ソフィアの餌」

口元は笑ってるが、眼は笑ってない。
どうやら、走馬灯も見る余裕はないらしい。
ああ、さようなら。ボク……。

「ま、まぁニールさん。ここは穏便にいきましょう。それに食べさせられるソフィアも可哀そうです」

や、それはどういう意味だ?
そうツッコもうとしたが、命が惜しいのでやめた。

「………それもそうね」

リビングの空気が段々と穏やかになる。
鋭い眼光を向けていたケルベロスも俺から視線をずらした。

「ニールさんは、一度ストックした遺伝子情報を混ぜ合わせて、キメラを作ることができるんですよ」

さとみが、静かに彼女の力を説明してくれた。
…なるほどね……つまり白いケルベロスも、その産物か…。

「そ。さっきーも、私が創ったの。萌えるでしょ?」

「ええ、かなり」

即答してやった。
あのルックス、ネコ耳。
It's パーフェクト。
むしろネコ耳のポイントが激高い。

「というわけで、よろしくね。雪乃」

何が『というわけで』なのかわからないんですが……。
というか、何を『よろしく』されてるんでしょう?
話の流れから行くと、さっきーなのか?

「えっとぉ……一応、確認しますが何をよろしくなんでしょう?」

「ソフィア」

…………はい?
ソフィア……。
俺の記憶が正しければ、それはあの白いケルベロスの名前のはずだ。

「ほら、君ってさぁはっきり言えば戦闘能力0じゃん?なんで20位にいるのか不思議なくらいに」

悪かったな、0で……。

「で、神城も君の面倒ばっかり見てるわけにはいかないから」

えぇと……つまり……。
白いケルベロスは…ボディガード?

「それじゃよろしくね〜」

それだけ言って、彼女は俺の家から出て行った。
イマイチ状況がつかめない。
残ったのはリビングの4分の1を占めている、白いケルベロス。

『……よろしく、餓鬼』

流暢な日本語で話す白いケルベロス。
はぁ………。

「それじゃソフィア。よろしくお願いしますね」

『よろしくお願いいたします。神城様』

俺とさとみとの態度の違いがある気がするが、気にしないでおこう。
いろんなところで慣れたからな(ぁ
俺は大きく溜め息をついた。

唯愛が見たら、ビビるだろうなぁ……。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

Angel's Company 更新情報

Angel's Companyのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング