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200×年映画の旅コミュの2007年9月上旬号(新作・2)

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「22才の別れ Lycoris 葉見ず花見ず物語」(9月6日 テアトル新宿)
2006年/監督:大林宣彦

【★ 全篇で貫かれる傾いたキャメラなど、テクニックが物語に奉仕せず、作家性の誇示に使われる下品な映画】
 大林宣彦という人はどうも人柄的に好きになれず、長いこと彼の映画は敬遠してきましたが、信頼する友人が誉めておられたのを斜め読みしたので、ちと食指が動きましたが、正直なところ、わたくしにはまったくいいとは思えませんでした。
 Lycoris、日本では、彼岸花、曼珠沙華、死人花などと呼ばれる花を手に、少女と少年が向き合っている姿が、四角い罫線で囲まれ、真ん中に“A MOVIE”という文字が出て来る大林ならではのオープニングには、映画の活動写真性にこだわろうとする彼の意気込みに期待を持たせます。
 続いて、台風のような激しい風雨の夜、主人公・筧利夫が帰宅途中に立ち寄ったコンヴィニエンス・ストアにて、己の青春時代のヒットソング「22才の別れ」を口ずさむ若い娘と知り合うという場面が、まるでホラー映画さながらのキャメラワークと照明設計で描かれ、違和感を覚えます。なぜなら、このようにホラー的な演出で始まった映画が、一体どんな方向に向かうのかと観客に気を持たせたくせに、結局はストレートなノスタルジアものという器に納まってゆくからです。
 ほぼ全カットで、思わせぶりにキャメラは斜めに傾けられ、夜間場面が多用されて暗い照明が採用されます。主演・筧は小声で呟くようなエロキューションを全篇で貫かされ、彼の相手役の娘・鈴木聖奈も、筧の青年時代に扮する寺尾由布樹も、その相手の中村美玲も、最近の新人俳優としては驚くほどヘタクソです。
 そして、わたくしが何よりも強く感じてしまったのは、あらゆる映画的テクニックが、物語に奉仕するのではなく、大林の作家性の誇示のために使われるという、醜い自己顕示です。
 わたくしには耐え難いほど下品な映画に思えました。


「HERO」(9月14日 シネマメディアージュ・シアター1)
2007年/監督:鈴木雅之

【★ あまり多くを語る気はないが、小さな不満はついつい口をついて出てしまう】
 自分が関係する会社が全社を挙げてブームアップに努めている映画に対して、殊更に足を引っ張るような真似をすることは、職業倫理として如何なものかと思われますので、ここでは多くの言葉を割くことは慎んでおきますが、そもそもTVシリーズや特別篇を観ていない人間を排除するような作劇は、映画の作り方として傲慢だと思いますし、映画史上数多く作られた法廷劇に新たなページを作ると意気込むなら、もう少し事件そのものに工夫があって然るべきでしょうし、韓国くんだりまで証拠を探しに行きながら、写真だけを撮って帰ってきてしまい、車の塗料と事件現場の敷石に残った塗料を分析するといった、どんな素人でも思いつく科学的捜査を怠ってしまうような人間に検事など務まるわけもなく、さらには、高らかに控訴を宣言する弁護士に対して、再び法廷でまみえることを呟いてしまう東京地検の検事には、高等検察庁という組織の知識がないのだろうかと訝しく思ってしまうのですが、視線を演出に向けてみると、何やら俯瞰を多用して、カット毎に演出の視点が安定
せず、ただアングルをゴチャゴチャと動かせばそれで映画になるとでも勘違いしている輩には、TVの小さな画面だけを対象に仕事をしてほしいと熱望するほかなく、そうした小さな不満は、抑えることができずに、ついつい口をついて出てしまうのでありました。


「浜辺の女」(9月15日 シネマート六本木・スクリーン2)
2006年/監督・脚本:ホン・サンス

【★★ 人気俳優キム・スンウが主演のせいか、激しいベッドシーンも、身につまされる俗物性もなく、凡庸】
 ジャン・ルノワールに同名の映画がありましたが、これは韓国映画、ホン・サンス監督作品です。
 六本木で開かれている韓流シネマフェスティヴァルの1本。韓流映画には一時期ほどの集客力はありませんが、150人くらいのキャパの小屋に7割くらいの集客をするくらいの力はあるようです。
 脚本作りに行き詰まった映画監督キム・スンウが、気分転換に、後輩のキム・テウとその彼女コ・ヒョンジョンを連れて西海岸のリゾート地を訪れるところから映画は始まり、いつものホン・サンス映画らしく、浮気な男の本性が表れるお話。
 しかし、人気俳優キム・スンウが主役だけに、いつものような激しいベッドシーンはなく、キャラクターも唾棄すべき俗物性は薄まり、ダラダラと弛緩したお話が垂れ流されているように感じられました。
 ホン・サンス映画の初期「豚が井戸に落ちた日」「江原道の力」「オー!スジョン」などは、ユニークな語り口の中から、身につまされる俗物性や個々の人々が抱える孤独が浮かび上がるように思えたのですが、「映画館の恋」にせよ今回の作品にせよ、やや低調な映画を見せられています。

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