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200×年映画の旅コミュの2007年9月上旬号(新作・1)

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「キャプテン」(9月2日 Q−AXシネマ・2F)
2007年/監督・脚本:室賀厚

【★★★ 設定、展開、演技、演出など文句はあるが、ボールを真摯に追う少年の姿にハートを揺さぶられる】
 この日は日曜日で、ちばあきおの原作が好きなカミさんと一緒に渋谷に出て、鑑賞しました。
 本当はただの球拾いにすぎないのに、野球の名門校にいたという経歴だけを買われてキャプテンに押されてしまった転校生・谷口くんが、ただひたむきな努力によってメキメキと実力をつけ、地区大会を勝ち上がってゆくという、「少年ジャンプ」の基本コンセプト“友情・努力・勝利”をそのまんま物語に置き換えたようなお話。
 父やその部下による特訓を受けただけで、数ヶ月でメキメキと頭角を現してしまうという展開の、呆れるほどのご都合主義を笑うこともできましょう。
 常にねじり鉢巻き姿にべらんめぇ調の大工という、谷口くんの父親役の筧利夫を観ただけで、これだから漫画原作ものは人間の描き方が薄っぺらいと、軽侮することも可能です。
 主役の谷口くんを演じた布施紀行や、顧問の先生に扮した小林麻央の、科白棒読み状態の学芸会芝居を、あまりにも稚拙すぎると馬鹿にすることもできるでしょう。
 やたらストップモーションを多用して、場面転換からスムースさを失わせている室賀厚の演出をヘタクソだと断じることもできるかも知れません。
 しかし、ちばあきお漫画からそのまま飛び出してきたようなイガグリ頭の少年を中心にした中学生たちが、ひたむきに真っすぐにボールを追い掛け、食らいついている姿には、ついついハートを揺さぶられてしまうのであり、この漫画チックな映画を心から愛おしいと思ってしまうのでした。


「シッコ」(9月4日 シネマメディアージュ・シアター5)
2007年/監督・脚本:マイケル・ムーア

【★★★ 今度は米国の医療保険制度を攻撃対象にしたムーアだが、愛国心の強さに圧倒される】
 会社帰りに、会社近くのシネコンでマイケル・ムーアの新作を鑑賞。アメリカ銃社会の構図を撃ち、アラブ諸国と石油を媒介にして、くっついたり対立したりを繰り返すブッシュ政権の闇を撃ったあとの今回は、アメリカの医療保険制度がムーアの攻撃対象となっています。
 米国の保険医療の実態はこの映画で初めて知ったので、あの国に生まれ育たなくてよかったというのが単純な感想ですが、日本も本人負担額が徐々に増えているし、年金のていたらくを見ると健保だっていつアメリカ式にならないとも限らず、予告篇で言っていた通り、これはひとごとじゃないとも思いました。
 ムーアのアプローチはいつもながらあざといとは思い、特に911の救助活動を通して肺機能などを傷めた人々を船に乗せ、キューバ近くのグアンタナモ湾刑務所にデモ航海するあたりなどにそうしたムーアのやりすぎを感じますが、何だかんだ言っても彼の愛国心の強さを前にすると、わたくしのように愛国心の薄い人間は圧倒されてしまい、説得されてしまいます。
 もっとも、1作ごとに肥え太ってゆく彼の肉体を見ると、国家や他人のことにとやかく首を突っ込む前に、まず己をきちんと律しろと言いたくもなります。


「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(9月6日 新宿ミラノ1)
2007年/総監督・原作・脚本:庵野秀明

【★★★ ストーリーはスッキリし、CG技術は格段に進歩して、序章としては上々だが、音楽には不満】
 「新世紀エヴァンゲリオン」がTVアニメーションとして一世を風靡したのは、1995年のことだそうで、阪神大震災やオウム真理教事件といった、いかにも世紀末の不安を掻き立てる事態が相次ぐ世相の中で、“セカンド・インパクト”なるカタストロフを経た“新東京市”を舞台にして、“使徒”と呼ばれる謎の宇宙飛来物体によって人類が危機に直面するという事態を、本人がその気になれないまま巻き込まれるようにしてパイロットに祭り上げられてしまう少年によって、打開が図られるという物語が、時の人々によって熱く支持されるのも、わかるような気はします。
 一方、わたくしがこのTV版アニメーションを観るようになったのは、我が家のCATVで再放送された数年前からにすぎず、95年当時の人々の熱狂を体験したわけではありませんが、主題歌「残酷な天使のテーゼ」に乗って、人物のアップや“人類補完計画”なる文字などが早いテンポのカッティングによってコラージュのように繋がれたオープニングをはじめ、父との断絶に悩む主人公・碇シンジの心象風景を大胆に切り取る自然描写、日常表現の丁寧さ、そうした日常描写とは一線を画す、使徒とエヴァとの格闘場面のアクション表現などに、従来のアニメーションとは違う絵の力を見せ付けられたのであり、刮目させられたのでした。
 そして、わたくし以上にこのアニメーションにハマっていたのが、カミさんや豚児たちであり、すでに公開初日に劇場に足を運んだ双子たちを羨んだカミさんが、この日は会社の夏休みをとったわたくしを誘う形で、新宿に足を運んだ次第であり、新聞には“シネマスクエアとうきゅう”が公開館と書いてありましたが、実際は歌舞伎町で一番大きな小屋であるミラノ座が割り当てられていたのでした。
 TV版のタイトルから“新世紀”が外され、“エヴァンゲリオン”が“ヱヴァンゲリヲン”へと“進化”した本作は、基本的にはTV版の物語をなぞり、第1話〜第6話までのプロットを凝縮したものですが、なぜシンジがエヴァに搭乗しなければならないのか、といった物語の根幹部分をクローズアップして、TV版で挟まれていた葛城ミサトとの共同生活を巡るドタバタなど迂回的なエピソードが端折られてスッキリしたせいか、物語はTV版よりわかりやすいものになっていると思いました。
 さらに、新東京市に登場する3つめの使徒の形状は、TV版当時からは飛躍的に進歩したCG技術を反映して、三角錐を二つ重ねたような幾何学模様がどんどん変形してゆくダイナミックな動きに眼を奪われるのであり、映像的にもかなりグレードアップがなされているのでした。
 全4作が予定されているという“新劇場版”の“序章”としては、上々の滑り出しだとは思いますが、あの名曲「残酷な天使のテーゼ」が使われず、代わりに宇多田ヒカルが手がけたパッとしないエンディングテーマ曲が流れ、TV版で毎回アレンジを変えて演奏された「Fly Me to the Moon」も使われなかった点や、劇伴での「007」マーチ風の音楽も使われないなど、音楽の面では不満も残りました。


「ベクシル 2077 日本鎖国」(9月6日 新宿ジョイシネマ2)
2007年/監督:曽利文彦

【★ 話はともかく、全篇フルCGによる3Dアニメーションで再現された人間の表情の乏しさに愕然】
 前記「ヱヴァンゲリヲン」に続いて、アニメーション・ヲタクのカミさんと一緒だったこともあり、夏休みのこの日2本目も、アニメーションを観ることにしました。
 21世紀半ば、ロボット工業技術で世界をリードした日本が、ロボットの規制を打ち出した国連を脱退して鎖国しているという設定の中で、米国の特殊工作員が日本に潜入して日本の黒幕と対決する話。
 米国人を善玉、日本人を悪玉に描いたあたりに、精一杯の皮肉を込めたつもりなのでしょうが、そんなお話のことより、3DのフルCGで全篇を通した絵に違和感を抱き続け、FFなどのゲームから一歩も出ることができずにいる、CGによる人間の表情の乏しさに愕然としました。こんなフルCGアニメより、エヴァのようなセルアニメの表情のほうが遥かに豊かだと思え、終始乗れないまま映画が終了。
 このCG技術と比較すると、漫画的にデフォルメしてあるピクサーのネズミのほうが、如何に見事に表情の細かな再現に成功しているかが歴然となり、映画技術に関する限りは、海の向こうのハリウッドには到底手が届かないという、情けない日本の現状にガッカリします。

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