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高木神話コミュの高木の女  第八部 白夢

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寝る所も職も決まっていない高木だったが、ヴィクトリアと遊ぶ約束だけはしていた。

今日も平日の昼間から、待ち合わせ渋谷モアイ。

5分前に着いた。
と同時にヴィクトリアから今、起きた。とメールを受信した。


ふー、




路上ではバンドマンが演奏をしていた。

ゆっくりと行き交う人達の中で止まっている人は、まばらだった。


高木は過去にバンドをやっていたことを思い出した。






8ビートが脈打つ鼓動、

思い返す、"NEW LIFE"を初めて聴いたときの衝撃




あの日の衝撃、
鉄砲伝来 play for life.
It's right now.ギータカ到来。
黒船来航、その波ride on.
nackファイブなラインナップ。




当時、高木はボーカル兼、指揮者をしていてみんなからはマエストロギータカと呼ばれていた。

残りのメンバーは、鉄琴をたたくシューマッハと、木琴を打つソイソースの3ピースバンドだった。

鉄琴と木琴の音がわかるギャラリーも少なかった為、お客さんはあまり入らなかった。



ボーカルが観客に背を向けて歌うというスタイルに、当時のtokyoはついてこれなかった。


やはり鉄琴と木琴は、仲が悪く、女を取り合ったりしていた。

そんな時は、トライアングルが鳴らなくなる。

そのトライアングルを調律するのも指揮者の高木の役割だった。

ソイソースは320円の納豆巻きが大好きで、その醤油を木琴のプレートにぶちまけたことから、そう呼ばれるようになった。

醤油が染み込んだプレートは、いつしか気泡が出てきて、四角いおばあちゃんのぽたぽた焼きのようになっていた。

高木は、いつ叩いても割れることのないぽたぽた焼きを見ながらタクトを振ることが大好きだった。

引き連れてるオーケストラがこれ以上増えない現状に満足出来ず解散した。


ひとつひとつ一秒一秒が
まるで白い夢を見ているようだった。


白夢を見ているようだった。


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ヴィクトリアはまだ来なかった。


モアイの手すりにしゃがんで待っている。


すると、歩くのもたどたどしい子供とその親が追いかけっこをしていた。


高木はオヤジが課長になった日に、すごいはしゃいでいたことをふと思い返した。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ロウソクに映ったオヤジの、はにかんだ顔がなんたが印象的で

母ちゃんも張り切ってスペアリブをつくった。


姉ちゃんはスペアリブのレシピでラップをつくり、中学の学園祭のMCバトルに出ようと練習していた。


食べ終わったスペアリブの骨は家族全員で隣の家の屋根に投げることにした。


小学生の高木が、オーブンで焼き上がりを待つという、たわいもない日常を幸せだとわかるには、焼きトマトがおいしいと理解るぐらいの時間がかかった。




同時にあの嫌な記憶も脳裏を過ぎる。


その日の深夜、高木家にアリババと40人の盗賊が現れて、家財道具を一式、持っていかれた。




下見し鍵穴、通すアリババ、
それを誰かが後押す背中
みんなで渡れば怖くない。
草木も眠る、丑三つ時に。
アリババ参上、便器にスプレー



まるで避難訓練のようだった。


実際40人が一斉に来ると、誰がアリババなのかもわからなかった。

高木家から一瞬で家財道具が無くなった。


その時の状況は、頭の中の中の嫌な暗雲だけで正直よく覚えていなかった。


ただ、
逃げ際にアリババの女秘書みたいな奴に後ろ髪を触られた。


その記憶だけが鮮明に残っている。



まるで白い夢を見ているようだった。

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あん?

ヴィクトリアはまだ来ねえのか。



気付いたらまた後ろ髪をクルクルしていた。



すると高木を見つけたヴィクトリアが後ろから、
ジャンプして抱き着いた。





宝くじ売り場のおばちゃんが、BOXの中で蛍光ピンクのジャンパーを着ながら、ボーッと高木達を眺めていた。




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