歴史　ちょっといい話コミュの伝国璽と呉の孫権

玉璽とも言う。石で作られた印鑑で、秦の始皇帝が皇帝の地位を表すものだった。

日本の天皇家に例えると三種の神器のようなものだろうか。

三国志では、董卓が都洛陽を火の海にしたときに、伝国璽は失われ、たまたまそれを孫堅が発見する。

孫堅は、皇帝の地位につく偉大な伝国璽を手に入れた。と喜んでいる中で、一人、息子の孫権だけが、これを嘆いた。。

「わかりませぬよ、これが福か災なのかは、、、

始皇帝はこれを、万世に伝えようとして、たった二代で終わったのです。」

と、、、、。

この時孫権９歳。

　のちに、曹操からも、あれは、福ではなく災しか呼ばぬ、元はただの石ころだ。しかし、皆伝国璽に袁紹も袁術も野心がありあれに執着している。

しかし、孫堅は、このいずれの意見も聞き入れることなく、伝国璽を手に入れると、すぐさま本国江東へと逃げるように去って行っていった。

袁紹は、孫堅に追手を差し向け、帰り道に当たる劉表に孫堅討伐を命じる。

合戦で孫堅と戦っては分が悪いと考えた劉表は、孫堅をはかりごとにかけて、これをだまし討にすることに成功。

ハリネズミのように、全身矢だらけとなった孫堅は、孫権に次のように語る。

孫権よ、やはり、お前が正しかった。恨むべきは劉表ではない、黒幕の袁紹だ。

伝国璽は、孫堅にはいらぬ、時期を見て、袁術へ渡せ。

孫権よ、、父は無念だ。お前と別れたくない、、、。

そういって、孫堅一人船に残り、孫権、孫策、家臣たちは、船を降りて陸路を退却する。

三国志の前半部分、、、、桃園の誓い、呂布の裏切り、曹操の台頭など、数多くの名場面があるが、地味ではあるが、この孫堅の死がもっとも、印象に残る名場面だと思う。

伝国璽は、その後、遺言通り、袁術に渡される。孫策は伝国璽と引き換えに、兵を手に入れ、江東平定の兵をあげ、彼の地を手に入れた。

袁術は、伝国璽を手に入れると、皇帝を名乗り、諸侯を敵に回し、民心も離れ、ついには滅びる。

孫堅をだまし討にした劉表も、後にお家騒動が起こり、そこに曹操が介入、劉家も滅ぶ。

孫堅が死んでから４０年後に孫家は、三国志の鼎の一角となる呉の国の皇帝となった。

皇帝になった人物、それは、伝国璽の災いを父に諌めた、孫権その人だった。