歴史　ちょっといい話コミュの龍馬の思想

　坂本龍馬といえば、薩長連合の立役者

　犬猿の仲だった強国薩摩と長州を同盟させて、幕府を滅亡させた。

　というのが、一般的な坂本龍馬像だと思う。

　

　坂本龍馬が、活躍するきっかけとなった人物。

　それは、なんといっても幕府の勝海舟だろう。

　勝のとてつもない国家観に感銘を受け、新しい日本を築きたい。そういった、熱い思いを抱くに至る。

当時の日本において、新しい日本を作るに当たって、３つの思想があった。

　ひとつが、黒船来航以来、幕府の落ちた権威をもう一度取り戻すために、天皇家と婚姻関係となり、幕府中心の日本をつくろうというもの。開国をし、軍事力を強めていこうという思想だった。

　もうひとつが、幕府は大政を朝廷に奉還し、諸大名、公家、旧幕府など有力者達による共和制を血を流さずに導入しようという思想。これが、坂本龍馬が目指した思想

　そして、三つ目が、薩摩長州が中心となり、幕府を滅亡させ、民主的ではなく専制的に日本を強国にしていこうという思想。そのためには、朝廷を味方に付け、外国を打ち払おうという、いわゆる尊皇攘夷（のちに攘夷決行は改める）という思想。

　勘違いしてはいけないのが、龍馬が目指したのは、この三つ目の思想ではなかった。

　

　長州藩が京都御所に大砲を撃ちこみ天皇を略奪しようとしたいわゆる蛤門の変。その長州を滅ぼそうとする幕府を薩摩の力を借りてこれを助け、薩摩も長州も幕府も一つとなって、戦うことなく新しい日本をつくろうとしたのが龍馬が目指す本当の日本像だった。

　果たして、幕府は大政を奉還し、新しい日本がスタートしようとしたときに、事件が起こった。

　大政奉還が実現した一ヶ月後に、龍馬は暗殺され、程なく、薩摩は天皇を取り込み、いわゆる王政復古の大号令を断行。

　錦の御旗を偽造し、突如、旧幕府を攻撃したのだ。

　
　龍馬が最も恐れていた事態に発展してしまったのだ。

　

　明治維新は、アジアや世界を驚かす輝かしい事件であるかのように言われている。それは、たしかに間違ってはいないが、しかし、ある意味では間違いだと思う。　

　薩長中心によるによる歪んだ政治体制が秋月の乱や佐賀の乱を呼び、民撰議院設立建白書が提出され、そして、ついには、西南戦争に発展した。
　
　大正天皇は、そんな、薩長の強引なやり方に批判的であったために、キチガイ扱いされ、この世を去る。

　大正天皇の治世を、大正デモクラシーというのは、権力を大幅に制限された衆議院において、国民から支持された政党の代表者を、天皇の名において内閣総理大臣に指名したからだ。

　そして、そののちに、政党政治も破綻をし、日本は軍国主義の道へと進んでいく。

　そんな、軍国主義の主人公はだれだったのか、、、、。

　かつて錦の御旗のもと、賊軍扱いされ、屈辱の中で没落していった東北地方の人たちだったのだ。

　薩長藩閥政治は３０年で政党政治家を誕生させてしまい、さらに３０年後、政党政治も機能しなくなった。そして、そのさらに１０年後に、この国はアメリカとの戦争に敗れることになる。

　
　もし、龍馬が目指した日本が、この国に誕生していたなら、もっと、日本も世界も違った道を歩んでいただろう。