歴史　ちょっといい話コミュの日本と東アジア近代史

日本は、自国の国家運営の構想について、アジアのリーダーとして日本の存続を図るのではなく、列強といわれる、ヨーロッパの強国の一員として認められ、他のアジアアフリカのように、植民地として支配されないための道を選びました。

　このやり方は、多くの成功を生んだと同時に、実は多くの失敗をも生んだとおもっています。

　日本がアジアで唯一列強の一員として踏ん張ったことで、多くのアジアの国々が、日本に期待を寄せました。

　当時の世界の常識は、白人と非白人という単純な区分けでした。白人だから権利が認められ、白人だから支配者として君臨できる。

　それは、どの白人も、どの有色人種も認めていたことなのでしょうが、当時の日本にはそういう感覚はなかったんですね。

　中国が征服されるのは弱いからだ、アジアが征服されるのは後れているからだ。だから、そんな、よわっちい連中とは、さっさと縁を切って、つよい、アメリカとかイギリスと仲良くなろうと考えたんでしょう。

　ところが、アジアの人たちはどう考えたか、日本が強国としてのし上がっていく姿を見て、これからは、白人による征服の時代に終止符が打たれ、日本を中心とする、有色人種の時代がくるんだと、そう思ったのです。

　孫文、金玉均、ビハーリー・ボース、アウン・サン（スーチー女史の父）などなど、、、日本を頼り、日本と新しいアジアの建設を夢見た人たちに対しての冷遇は、そのためだと思います。

　そこまでして、欧米に対して、ゴマを擦り擦りした日本。日清戦争に勝ち、日露戦争に勝ち、一次大戦の戦勝国になったときには、いつの間にか日本は、ヨーロッパはおろか、世界のビッグ４と呼ばれる国にまでなっていました。

　アメリカのウイルソン、イギリスのロイドジョージ、フランスのクレマンソー、そして、日本の西園寺。

　ベルサイユ会議では、中国の山東利権を力でねじ伏せ、万国平和会議では韓国のハーグ密使事件を跳ね除け、しまいには、人種差別撤廃条項にまで口をさしはさみ、多数の賛成を勝ち取るまでの存在になっていました。
　結局、人種差別撤廃条項は盛り込まれませんでしたが、国際社会においてその存在は大きなものだったでしょうね。

　ただ、日本の隆盛もここまで、中国をめぐる、ソビエトやアメリカとの利権対立、中国との泥沼の戦争。

　そして、米英の挑発にまんまと乗った日本は、太平洋戦争に突入。気づけは、オランダ、フランス、そして、頼みの綱、ソビエトさえも日本に侵攻。

　ついに、敗戦を迎えます。

　結局日本は、ただ単純に大国との戦いに敗れただけではなく、人種の壁に敗れた。そういう見方もできるのではないでしょうか。

　確かに日本は、軍事経済においては、世界の一等国になれたのかもしれません。ただ、一方で欠落していた部分、それは、日本がアジアの一員であり、白人には成れないのだということを知らなかった。
　
　それが、悲劇の原因だったのかなあとも思っています。今でも、多くのアジアの国において、恨みを持たれている日本。こういう、歴史背景があったということも、知っておくべきでしょうね。