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生活保護者の集いコミュの外国人の生活保護は6万6000人…困窮外国人が増えた理由は「コロナ」と「仮放免」専門家に現状を聞いた

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news.yahoo.co.jp/articles/a639afb92eefc8adfa9dcd43234c9f80b4ba14ce

 新型コロナ以降、日本で暮らす外国人で、生活に困窮している人たちが増えている。なかには仕事を失い、家を失い、医療にかかることもできない状況に追い込まれている人もいる。

 2022年11月におこなわれた厚労省の「被保護者調査」によれば、受給者は4万7292世帯、6万6263人にのぼる。明確なデータはないが、外国人ホームレスも増加傾向にあるという。

 いま日本で暮らす外国人たちに、何が起きているのか。在日外国人を支援している、一般社団法人「つくろい東京ファンド」に所属する大澤優真さんは、こう語る。

「コロナ禍以降、生活に苦しむ外国人が明らかに増えている実感があります。もともと外国籍の人は生活基盤が脆弱で、困窮しやすいのですが、最近は特に追いつめられている印象です。

 外国籍の人は、日本人と比べて職場環境や就職条件が厳しく、非正規雇用が多いんです。コロナで首を切られたり、仕事が減って立ち直れなかったりしている人が多い。加えて、生活保護を利用できない立場にある人が多いので、困窮化しても抜け出せないのが現状です」

 コロナ禍を経て、在留資格のない外国人たちが、入管施設から「仮放免」されることも増えた。出入国在留管理庁の統計によれば、仮放免された人は3315人(2019年末)から5910人(2021年末)と、2倍近くに増えている。

「コロナ禍以降、『密を防ぐため』という理由で、どんどん仮放免されていきました。しかし、仮放免の人は仕事につけず、社会保障も受けられない。今まで仮放免の人をサポートしてきたような外国人コミュニティも、不況でダメージを受け、支えきれなくなっています。

 自助・共助・公助という考え方がありますが、こうした外国人の人たちは、自助は認められておらず、公助はありません。共助の部分でなんとか支え合ってきたのですが、それすら厳しくなっています。働いてはいけない、社会保障は認めない、なんの手当もないというのは、普通に考えれば死に直結する話です」

 日本人の場合、生活が困窮した場合は生活保護を申請できる。外国人の場合は、法律をそのまま適用することは認められておらず、永住者や定住者などに法律が準用される仕組みだ。

 2018年12月には、安倍内閣が、永住者や定住者など在留資格を持つ外国人は、生活保護法による保護に準じた保護がおこなわれているという答弁書を閣議決定している。

 ただし、留学生や技能実習生、仮放免の人々には、準用措置すら認められていない。

「法律が準用された場合、基本的には日本人と同じように生活保護を受けられますが、問題もいくつかあります。細かい違いはいろいろとあるのですが、大きな違いは不服申立てができないこと。仮に職員から不当な扱いを受けても、法的に争うことが困難なんです。

 2022年12月、愛知県安城市の職員が、定住資格を持っている日系ブラジル人女性に『外国人には生活保護費は出ない』『国に帰ればいい』と発言していたことが報じられ、問題になりました。日本人なら、おかしな対応をされれば不服申立ての手続きを踏めるのですが、外国人にはできません。

 実際に生活保護を受けたあとも、問題は残っています。入管のガイドラインには、生活保護を受給した場合はビザを原則更新しないと書いてあるんです。更新できなければ、国に帰らなければいけません。

 在留資格は外国人にとって生命線なので、私のところに相談へ来る人のなかには、明らかに困窮していて生活保護を受けられる状態でも、申請しない人が多くいます」(大澤さん)

■「外国人よりまず日本人を救え」という意見の是非

 外国人の生活保護が取りざたされると、必ず出てくる意見が「まず日本人を救え」「外国人は国に帰ればいい」という反応だ。大澤さんは、こういった声をどう考えるのか。

「その人が国に帰ることで生活と健康が安定するなら、帰国も選択肢の一つだと思うんです。実際に、これまで何度か帰国支援をしてきました。ただ、やはりさまざまな事情から国に帰れない人が多い。今なら、ウクライナの人々がイメージしやすいのではないでしょうか。似たような状況の土地から逃げてきた難民の人はたくさんいます。

 また、日本に半ば永住しているような仮放免の人たちや、日本育ちの子供たちもいます。入管の職員は彼らに『母国へ帰りなさい』と言いますが、ある高校生は『僕が帰るところは日本だ』と呟いていました。実際、彼は国籍が別の国というだけで、日本で生まれ育ち、日本語しか話せません。

 そうした、国と国のはざまに置かれている人がいることを、まず知ってほしい。日本に暮らして、海外にあまり行かない人からすれば、彼らの置かれている状況が想像できないんだろうと思います。理解が進めば、もう少し考え方も変わってくるのではないでしょうか」(大澤さん)

 大澤さんは、生活保護をめぐる制度の今後について、こう語る。

「理想はすべての外国人に生活保護が適用されることですが、少なくとも、難民、難民申請者、無国籍の人、日本に5〜10年以上暮らしている人、日本育ちの子供たちなど、『母国に帰れない』とみなされる人々には、生活保護を権利として認めるべきだと考えています。

 ケガや病気にかかっていて帰れないという人もいるので、そういった人たちも緊急的に保護すべきです。生活保護の制度だけでなく、その他の制度もまだまだ追いついていない。今後しっかり整えていく必要があると感じています」

 ベーシックインカムを研究する同志社大学・山森亮教授は、「多くの先進国は、生活保護に相当するものも含め、社会保障の権利に、国籍の有無で差をつけていません」と語る。

「永住権や定住権とリンクして生活保護の権利を与えている国や、何年以上居住していたか、といった条件で区切る国もあります。どこかで線引きは必要ですが、その線引きは国籍の有無ではありません。社会の一員として市民権が認められている人は、当然生活保護を受けられるわけです。

 そもそも、国籍の有無でこうした権利に差をつけることは、日本も1979年に批准している、国際人権規約などに違反しています。

 日本政府もこれまで、外国籍の方の生活保護を認める方向で動いてきました。2018年の安倍内閣による閣議決定でも、その点が確認されています。もちろん一定の線引きは必要なものの、外国籍の方に生活保護を出さないという話はありません」

「まず日本人から救え」といった反応には、「日本社会の仕組みが大きく関係している」と、山森教授は分析する。

「こうした排外主義的な声は、日本だけでなく多くの国で聞こえますが、日本の場合、困窮している人に対し、非常に冷たいというデータがあります。

 ISSP(国際比較調査グループ)が2016年におこなった調査で、『失業者対策が政府の責任だと思うか』という質問がありました。日本人で『政府の責任である』と答えた人の数は、30以上の国のなかで下から2番めに少なかった。『低所得家庭の大学生の援助は政府の責任だと思うか』という質問に関しても、日本は最下位という数字が出ています。

 ただ、私たちがそもそも他人に冷たいということではなく、現代日本社会の仕組みが私たちの考えに大きく影響しているのではないかと考えています。

 日本で生活保護水準以下の所得で生活している人のうち、実際に保護を受給できている人は2割程度。他の先進国は4〜9割くらいですから、日本はずば抜けて低いんです。加えて、他の多くの先進国では税財源の失業手当があるのですが、日本は雇用保険に入っていなければ失業手当はもらえません。

 日本は本当に公助の仕組みが劣悪で、制度自体がなかったり、あったとしても事実上、使いづらい現状があります。政府も自助が第一だと。結果、私たちは、全部自己責任でやっていかなければいけないと考えて、本来私たちが持っているはずの権利を我慢し、なんとか耐え忍んでいる。

 投げつけられる排外主義的なコメントには胸が痛くなりますが、そのようなコメント自体が、自己責任社会のなかで苦しんでいることの現れとも考えられます」

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