ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュの救いだけでは描けないシェアハウスに住む女性たちの現実(レビュー)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
救いだけでは描けないシェアハウスに住む女性たちの現実(レビュー)

https://news.yahoo.co.jp/articles/7792e829f1e4c10c9cae0dbf3729f3d09183d450

思いやりや優しさは、性格というより、心に余裕のある人だけが持てる贅沢な感情なのではないか。深沢潮『足りないくらし』を読んで、そんなことを考えてしまった。

 小説の舞台は、家賃が安いことだけが取り柄のシェアハウス。ここに訳ありの女性たちが住んでいる。東京にいる恋人を当てにしてアメリカから帰国した樹(いつき)、小劇団で脇役ばかりやらされている風香、生活保護を受けながら仕事を探すさくら、劣悪な環境から逃げ出してきた技能実習生の中国人・王唯(ワンウェイ)、手放した息子と一緒に暮らす日を思い描く家政婦の好美、家族愛に恵まれなかった雛。彼女たちの生活苦の様相は、この国の貧しさと冷たさを容赦なく映し出す。

 みな自分のことで精いっぱい。励まし合いながら仲良く暮らしているわけではない。同族嫌悪的な気持ちをお互いに抱き、先の見えない毎日を必死で生きている……そんな女性たちの現実を描くために、著者は分かりやすい救いや甘さを物語にあえて加えなかった。その勇気を思う。

『難民高校生: 絶望社会を生き抜く「私たち」のリアル』仁藤夢乃[著](筑摩書房)

 仁藤夢乃『難民高校生』(ちくま文庫)は、十代女性のためのシェルターやシェアハウスを運営する著者が、ティーンエイジャーの頃を振り返った自伝エッセイ。居場所のない少女たちの「受け皿」だった渋谷で、虚ろな心を持て余しながら派手に遊んでいた高校時代を経て、「自分の声」を聞いてくれると感じた大人との出会いを契機に、彼女は行き場のない子たちを支える活動を始める。文庫版あとがきに書かれた〈助けてということは(中略)生きていくために必要な力〉という言葉が、力強く温かい。

『助けてと言えない 孤立する三十代』NHKクローズアップ現代取材班[著](文藝春秋)

 しかし、日本には自己責任という呪縛が蔓延している。NHKクローズアップ現代取材班による『助けてと言えない』(文春文庫)は「自分が悪い」から「自分で解決するしかない」と考える三十代の路上生活者らへの取材を書籍化した一冊。〈彼らが助けてと言わないのではなくて、彼らに助けてと言わせない社会があるんじゃない?〉という、ある支援者の言葉に頷かずにはいられない。

[レビュアー]北村浩子(フリーアナウンサー・ライター)

新潮社 週刊新潮 2021年3月4日 掲載

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。