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がんを狙いうち副作用少なく一度の治療で済む日本発の画期的医療誕生

 2016年03月03日 10時24分

　国立がん研究センターは、従来のX線を使った放射線治療に比べて、がん細胞を退治する力が10倍以上強く、それでいて副作用が少ない中性子を使った新しいがん治療のシステムを開発したと発表した。

　新しい治療技術は、医療機器メーカーCICSと日立製作所の子会社が共同開発した「病院設置型ホウ素中性子捕捉療法（BNCT）」というシステムで、国立がん研究センターの中央病院に導入される。

　この治療法は、がん患部だけに集まる性質を持ったホウ素薬剤を事前に投与したうえで、放射線の中性子を照射することで、がん化した細胞だけを狙って破壊することができるというもの。

　これまでの放射線治療の10倍以上の効果があるため、１度の治療ですみ、がん以外の部分へのダメージが少ないことから、副作用が起きにくいとされており、従来の方法では難しかった皮膚がんの「メラノーマ」などに適しているという。

　昨年11月に原子力安全技術センターの施設検査に合格したことから、今後は生物実験を経て、早ければ2016年度中に臨床試験の着手を目指す。

　国立がん研究センターは「世界初となるBNCTシステムの実用化と普及を進め、日本発の新たな治療技術の確立に挑みたい」と話している。