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THE HARD-BOILED DIARIESコミュの「勧酒」THE HARD-BOILED DIARIES

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二次会の会場であるダイニングバーの扉の前に立つと、
表からでも華やかな嬌声が聞こえてきた。
行きつけのバーの常連のひとりが、東京への出向期間を終え、
故郷の四国に帰ることになった。
今夜はその送別会だ。
常連に加え、オーナーであるバーテンドレスも客として参加している。
客もスタッフも関係無しのパーティだ。

全員すでに出来上がっている。どの顔も笑顔がこぼれている。
会の名目は送別会だが、誰も別れにしんみりとすることはない。
離れていても永遠の別れじゃない。
東京と四国、簡単に行き来できる距離じゃないが、
行こうと思えばいつでも行ける。
再会は東京の行きつけのバーになるのか、四国となるのか、
それも楽しみだ。

おれは、自分のグラスを彼に渡した。

「この盃を受けてくれ、ですか?」

さすが博識な男だ。おれはうなずき、

「どうぞなみなみつがしておくれ、さ」

と言った。言いながらワインを注ぐ。

「花に嵐のたとえもあるぞ」

と彼。
おれはもうひとつのグラスにワインを満たす。

「さよならだけが人生さ」

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