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日本国債市場分析コミュの政権交代が実現すると・・・

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7月21日に衆議院が解散し、いよいよ来月総選挙に突入するわけですが、現与党である自民党に劣勢を覆すほどの力も秘策もなく、もはや政権交代は既定路線となっていますね。個人的に民主党が単独過半数の議席を獲得する可能性は結構あると思っています。

で、民主党による政権交代が実現するとして、その経済政策などにつき、私が崇拝しているBNPパリバ証券のチーフエコノミスト、河野龍太郎先生の7/22付レポートにまとめられていたので、抜粋してご紹介します。


<民主党の目玉政策>

民主党は、

(1)予算の無駄使い削減
(2)年金・医療の制度改革
(3)子育て・教育支援
(4)地方分権、農業振興
(5)環境対策、雇用対策

の5つを政策の柱として掲げている。

現段階でマニュフェストは発表されていないが、次の4つが今回の選挙における目玉政策とされている。

(1)子供手当ての支給(中学卒業までの全ての子供に月額2万6千円、年額31万2千円支給、ただし12年度までは半分の1万3千円、15万6千円支給)
(2)高速道路料金の段階的無料化(首都高速と阪神高速を除く)
(3)ガソリン税暫定税率の廃止(暫定税率は24.3円/リッター)
(4)月額7万円の最低保障年金の創設(職種により異なる年金制度を一元化)。


<市場はバラマキ政策を懸念>
言うまでもなく、市場参加者が強く懸念しているのは、選挙目当てのバラマキ的な政策が増えることである。実際、民主党は、上述した政策を含め、新規の恒久的な政策に要する費用は、2010年度に7兆円程度(GDPの1%超)、2013年度に17兆円程度(GDPの3%超)に達するとしている。一方で、民主党は消費税率の引上げを当初4年間は封印するとし、政策の明確な財源や財政再建プランについて明確にしていない。

仮にマーケットの懸念通り、大盤振る舞いが行われることになれば、一時的に成長率が押し上げられても、経済の効率性は低下し、潜在成長率は低下する恐れがある。株価は一時的に持ち上がるかもしれないが、成長の持続性に対して疑念が広がるにつれて再び低下することになるであろう。長期金利に関しては、公的債務の持続可能性がより強く意識される結果、上昇圧力が加わることになる。


<民主党の基本路線は「pay-as-you-go」?>
しかし、筆者は一般に考えられているほど、民主党がバラマキ政策を行うとは考えていない。確かに、高速道路料金無料化やガソリン暫定税率廃止などは、環境対策との整合性も強く疑われ、選挙前の人気取り政策と批判せざるを得ない。ただ、必要とされる財源17兆円の内、過半は「予算の組み替え」によって賄われる計画となっており、基本路線は「pay-as-you-go」である。

例えば、子供手当には5.3兆円の財源が必要だが、そのうち1.7兆円は扶養者控除と配偶者控除の見直しや廃止で捻出し、残りを財政全体での「無駄の削減」で捻出するとしている。この結果、子供のいない若い世代は実質増税となる。また、「無駄の削除」は、2009年度補正予算で決定された政策もその対象となるのだろう。これまでのところ、民主党は受益者のメリットとなる「新規の歳出増」を語るばかりで、その財源となる「歳出減」がもたらす「痛み」については殆ど語っていない。今後、マニュフェストが発表され、財源が明確化されるにしたがって、市場参加者の懸念は和らぐかもしれない。しかし、同時に、直接の痛みを被る有権者からの支持は低下するであろう。


<打ち出されていない財政再建プラン>
達成の可能性はともかく、自民党は「経済情勢が許せば2011年度以降に消費税を段階的に引き上げ、2020年代初めには債務残高の対GDP比率を安定的に引き下げる」という財政再建プランを提示している。民主党が財政再建プランを提示していないことについてどう考えるべきか。民主党からすれば、自民党政権下で積み上がった公的債務の返済と共に、自らの政権獲得のために公約した政策目標も達成しなければならない。好意的に考えれば、政権獲得後、「歳出の無駄」を十分洗い落とした上で、次回選挙時に必要な増税などの歳入改革を打ち出すということなのだろう。とは言え、日本の公的債務は持続不可能な水準に近づきつつある。将来の増税と歳出削減によって公的債務が担保されていることを示す財政再建プランが早期に打ち出されなければ、財政リスク・プレミアムがいつ織り込まれても不思議ではない。

仮に、民主党がバラマキを行わず、新規の歳出の大半を予算の組み替えで行うとすればどうなるか。経済成長率や長期金利に対する短期的なインプリケーションは基本的にはニュートラルである。長期的には、大胆な予算の組み替えによって、人々の不安を取り除くことに成功すれば、成長分野により多くの経済資源が向かい、潜在成長率は高まる。その場合、株価に対してはプラスに作用し、債券市場では、自然利子率(均衡金利)の高まりに裏打ちされた「良い金利上昇」が起こることになる。こうした明るい未来に期待したいものだが、以下のように超えるべきハードルは少なくない。


<既得権益層の抵抗>
まず、予算の組み替えとは、既得権益構造のリシャッフルに他ならず、様々な利害調整を要する。もちろん、自民党に比べれば、民主党は既得権益層とのしがらみが少ないとは言える。それでも不利益を被る集団からの猛烈な抵抗は必至であり、これを突破するには多大な労力と時間を要する。民主党が財源に責任を持つとすれば、掲げた政策が結局は実行できない可能性も十分にありうる。


<しばらくは様々な混乱が生じる>
また、「経験不足」という要因も少なくとも当初は政策運営の足枷となる。現在、民主党の衆議院議員数は112人であるが、民主党が衆議院の過半数(240人)を制するということは、100人を超える新人議員が一気に誕生することになる(2007年の参議院選挙でも多数の新人議員が誕生した)。もちろん、それなりに経験を積んだ政治家が重要ポストを占めることになるのだろうが、政権を担うとなると、党執行部を含め、必ずしも経験が十分ではない政治家も枢要なポストに就く必要が生じる。時には不慣れな政治家の不規則発言が市場を惑わすケースも生じるだろう。もちろん、それは与野党含め「世代交代」が急激に進んでいることの証左であり、日本の民主主義の発展にとって、支払うべきコストなのかもしれない。

さらに政権交代直後は、民主党と官僚機構との間で軋轢が生じる可能性もある。いくら官僚機構が政治的に中立とは言え、自民党政権が半世紀以上も続いたため、その存続を前提とした行政の行動様式が定着している。民主党が「脱官僚」を前面に掲げていることも混乱に拍車をかける恐れがある。「変化(change)」による「果実」を得る前に、混乱が生じることも民主主義のコストとして甘受しなければならないのであろうか。筆者としてはグラジュアルな変化を希望しているが(改革継続のためにもグラジュアリズムは重要である)。

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