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糸瀬茂コミュの日債銀譲渡に関するドタバタ劇の内幕(2000.06.26)

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日債銀譲渡に関するドタバタ劇の内幕(2000.06.26)


37稿「究極の借り手保護策」を書いたあと、しっくりしないものが残っていた。「どうも見落としているものがある」そんな気がしていた。そこでは、「預金保険機構が新生銀行やソフトバンクから瑕疵担保責任(注)に基いて買い戻した債権について、自ら債権放棄することを検討」という6月7日付けの日本経済新聞の記事を紹介した。それは「行き過ぎた借り手保護」だと批判した。そしてコラム後段では、そごうに対する債権放棄の話題に転じ、預金保険機構(以下、預保機構)が、新生銀行の八城氏に新たな「お土産」用意するのではないか、と結んだ。

迂闊だった。このコラムを書いた時点で、すでに「お土産」は存在していた。「預保機構による債権放棄」それ自体が、お土産だったのだ。

日債銀のソフトバンクへの譲渡は、5月31日に白紙に戻り、その後1週間も経たない6月6日に再決着するという「ドタバタ劇」が演じられた。報道によれば、白紙に戻った理由は、ソフトバンク側が引当金が不十分だと指摘したことにあり、そして再決着に至った理由は、金融再生委員会が、1.中立的な監査法人の資産評価を踏まえて改めて引当金を算出する、2.瑕疵担保責任(注)の援用期間を3年から3年2ヶ月に延長することを提示し、それをソフトバンク側が呑んだからだとされる。

冷静に考えれば、あの孫氏がこの程度の譲歩で納得するわけがない。(筆者の推測ではあるが)「預保機構による債権放棄」は、孫氏によって引き出されたものであろう。つまりこういうことだ。預保機構による債権放棄が不可能な場合に、ソフトバンクが、瑕疵担保責任を援用して不良債権を預保機構に売り戻すと、整理回収機構が債権回収を図ることになるので、その企業は倒産する。そうなれば、孫氏は、「倒産の引き金を引いた」として日本中で非難される。すでにバッシングの渦中にある孫氏にとっては、こたえる話だ。ところが、預保機構自らが債権放棄を行ない、問題企業の延命を図ってくれれば、孫氏は「悪者」にならずに済む。これこそが、預保機構が、ドタバタ劇の最中に、孫氏(そして八城氏)に用意した「お土産」だったのではないか(言うまでもないが、孫氏、八城氏を非難しているのではない。彼らはビジネスとして交渉を進めただけだ)。

案の定、6月21日付けの日経一面に、「新生銀行、そごう向け債権2000億円買い取り請求−預保機構、債権放棄を検討」という記事が出た。八城氏の顔がほころぶのが目に浮かぶ。

筆者は、債権放棄を全面的に否定しているのではない。債権放棄後の再建計画に実効性が認められる限りにおいて、債権放棄には経済合理性がある。しかし、「預保機構(政府)が公的資金を原資として債権放棄を行なう」となれば、話は別だ。それには三つの問題がある。

1. 政府に、再建計画の実効性について「厳正かつ客観的に」判断するだけの審査能力があるのか
2. 公的資金が私企業救済のために直接使われることに関して国民の合意は得られるのか
3. 仮に、債権放棄後の再建計画に実効性が認められ、債権放棄によって「その案件」から発生する損失が放棄額内に抑えられるとしても、「経営危機に瀕しても最後は政府が救ってくれる」というモラルハザードが蔓延し、結局国民負担が増大するのではないか

第1点に関しては、おそらく専門家・著名人を招聘して「それなり」の審査委員会が組織されるのだろうが、佐々波委員会の無責任ぶりを想起するに、それが「厳正かつ客観的な」審査を行うとは期待できない。第2点だが、公的資金が「勝手に全国展開したデパート」の救済のために使われることを国民が容認するとは、到底考えられない。特に重要なのは第3点だ。そごうへの債権放棄を認めてしまえば、第2、第3のそごうがぞろ出てくる。結局、公的資金は垂れ流し的に使われることになる。選挙戦の喧騒に紛れて打ち出されたこの政策の影響は甚大だ。


注 譲渡時に金融再生委員会が「適正」と判断した債権が、3年以内に20%以上下落した場合、資産査定に「瑕疵」があったとみなし、預保機構が、その債権を簿価で買い戻すという特約

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