ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

糸瀬茂コミュの人材の時価評価と民主主義(1999/11/1)

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
人材の時価評価と民主主義(1999/11/1)

前稿で、銀行の大型再編や日産=ルノーの大胆な合理化案を受けて、今後「銀行淘汰→企業淘汰→人材淘汰」の連鎖が加速すると指摘したが、すでに先週だけでも数万人、数千人単位の人員削減を発表する企業が相次いでいる。この人材淘汰、すなわち人材の時価評価は社会的・政治的に大きなリスクを伴なう可能性が高く、今回はその点について考えてみたい。  

作家、村上龍氏が主宰するJMMというメールマガジンがある。村上氏が、金融・経済に関する質問を行ない、それに対して特定の寄稿家がメールで答えを寄せるという仕組みである。寄稿家は、第一線で活躍中のアナリスト、ファンドマネージャーらが中心で、私もお招きに預かり、アドホックに参加させていただいている。このJMMで先ごろ、つぎのような大変触発的なやりとりがあった(表現は、私の方で一部加筆・簡略化させていただいている)。  

JMMにおける村上氏の35番目の質問「景気は回復したか」に対し、明治生命のファンドマネージャー山崎元氏は、「日本の雇用のあり方が本格的に変化しつつあり、それは明るい兆しであると見ることができる」と言う。山崎氏によれば、例えば銀行員を時価評価していけば、債権分類と同様の分け方ができ、「現在よりも収入が大幅に改善する第1分類行員、何とか現在の給与水準を維持できる第2分類行員、現在よりも収入が下がる第3分類行員、雇用そのものが維持できなくなる第4分類行員と分けられ、その比率は10%、20%、50%、20%ぐらいになるのではないか」と述べ、こうした分類に基いて、各人の貢献度に応じた報酬を払っていくことは「経済全体の効率化を考えた場合、重要であろう」と述べている。同時に山崎氏は「経済・社会がこの変化に伴なうショックを吸収できるか」という点に関して、非常に大きな懸念を表明している。  

この山崎氏の「懸念」の部分に関して、東京三菱証券のストラテジストである北野一氏が、明瞭な視座を提供している。北野氏は「山崎氏の分類は、銀行員に限らず、日本のサラリーマン全体に話を広げても、客観的に妥当な比率であろう」と述べた上で、それが「主観的な比率」と大幅に乖離するところに問題の本質があると警告する。すなわち、もし従業員に対して、「あなたは、ご自分で何分類に入ると思いますかと質問すれば、その結果は、第1分類:10%、第2分類:80%、第3分類:10%、第4分類:0%に近くなるのではないか」と指摘する。そこで人材の時価評価が現実に進み、サラリーマンが自らの主観的評価と(会社による)客観的評価との間に存在するこの大きなギャップに直面した時、彼ら(特に多数派となる第3、第4分類の人たち)が、急速に政治的発言力を増していくのではないか、と言うのである。  

そして北野氏は「市場主義から見た明るい兆しは、最後の最後で民主主義により葬りさられる危険性を孕んでいる」と述べ、「8割近くの人が中流意識を持っている」ということは「日本人の知恵」であり「この知恵を自ら放棄するなかで、これに代わる知恵を創造することが可能なのか、あるいは間に合うのか」と問いかけるかたちで、コメントを結んでいる。  

この時点で村上氏が私に参加を求めてきた。「この市場主義と民主主義との間の起こるべき軋轢をアメリカはどうやってコントロールしているのか」という問いである。このテーマこそ、昨年来の私の関心事にほかならないのだが、ヒントはやはりアメリカ社会のなかにある感じている。すなわち勝者と敗者の二極化が進み「中流がいなくなった」とさえ言われるアメリカは、市場主義と民主主義との軋轢が社会破壊的なエネルギーとならないようするさまざまな制御装置を、その経営システム、政治・社会システム、教育システム、あるいは地域社会のあり方等のなかに組み込んでいると感じている。

 いずれこれらについての研究をまとめたいと考えているが、取りあえず企業経営者の立場で参考にすべきは、アメリカ企業における「人事評価システム」のあり方であろう。そこでは、評価のプロセスに透明性と客観性を与え、その結果を「説得的」にすることによって、従業員の主観的評価と客観的評価のギャップを日ごろから極小化するような努力が払われているのだが、その仕組みを紹介するのは別稿に譲りたい。 

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

糸瀬茂 更新情報

糸瀬茂のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング