ただだいたいの傾向といったものはあり、70%程度の学説はチグリス・ユーフラテス流域の狭義のメソポタミア、現在のイラクを中心とした地域のどこかであるという説を支持している。また27%程度はその周辺地域であるとして、ペルシア(イラン)とアラビア半島のペルシャ湾岸を第一候補にその他アナトリア(トルコ)、アラビア半島の紅海沿岸、エチオピア、エジプト、パレスチナ(イスラエル)等にあるという説を支持している。なおユダヤ人の神話であるのにパレスチナ説にそれほど人気がないのは、ユダヤ人がパレスチナに定着したのはこの時代よりはるか後代のアブラハム以降であるとされているためである。
そして残りの3%程度が全く異なる説、例えばスコットランドのヘブリディーズ諸島にあるとか、米国のミズーリ州にあるという説を提唱している。これらも世間でよくあるトンデモ論者の妄説ではなく、歴史学者によって真面目に唱えられた説であり、後者などはキリスト教の一派であるThe Church of Jesus Christ of Latter-day Saintsの信者を中心に数千万人に信奉されている。
これほど多くの説が提唱されているのは聖書の記述があいまいであるからではない。いやむしろ聖書の記述は明快といってもいいのだが、現代に伝わる聖書そのものがその原典となった歴史書・神話を引用した2次資料に過ぎないとされているため様々な解釈が可能となるのである。