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Arbeeの短編集コミュの失格だ!。(短編)

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1.数学の講師である。

私は、大学の講師だ。国立大学で、数学を教えながら、学部長もやっている。この地位について、恐らく1年位であろう。この国のエリートを育てるために、私は、安住で、暮らしやすい外国での生活を諦めて、遥々、この大学にやってきた。

 この国の学生は、熱心で、学生運動も好んでいる。確かに、学生運動が起きていると、その期間、授業に参加してくれる学生も少なくなる。私が担当している科目は、難しい。少なくとも、この国の学生のためには、難しい。だから、授業に参加してくれなければ、どんなに、優秀でも、テストの時は出来ないことが多い。数字は、確かに、何処に持っていても、同じなはずだが、この大学にやってから、なぜか、数字も、主観的に見えるのだ。私の予想では、多分、学生は、納得行かないものには、付き合いたくないかもしれない。だから、学生運動が、盛んだ。

 それは、ともかく、授業に参加してくれなければ、私の評判もますます低くなるし、私が担当する科目も、軽蔑されることになる。また、昔と違って、大学の先生といえども、学生がうんぬんと授業評価シートに書いたら、私の授業は、消されることもあり得る。

2.分かれ目の著名

 今日は、一人の学生が、研究室にやって来た。その学生は、学費を下げるように、運動をする学生で、私の著名を求めに来た。『先生、ご存知のように、この大学には、貧しい人が多いのです。貧しいからこそ、身を立てて、明るい将来への登竜門に潜り抜けるという目的で、この大学にやって来ました。しかし、学費が、このように、上昇したら、この国の将来を担う人たちは、結局、お金持ちの人たちしかいません。貧しさの実を汁ともども味わって生きて来ましたので、大学を無事に、出れば、貧しさの実を味わうのが、私達の世代だけに、します。ですから、どうか、著名してください』という風に、私の顔を見ないで、将来の映像が、目の前に、あるかのように、学生は言った

 私は、実は、ほんの少しだが、この大学で、勉強したことがある。しかし、運動だけでは、研究も出来ないから、たまたま、奨学金があったので、外国に行く道を選んだのである。私も理想家だったが、彼らと少し違う。それは、私が真正面からぶつかることが好まないからかもしれない。私が留学した先の国では、『長いものには巻かれろ』という格言らしい言葉で、表される。しかし、よくよく考えてみたら、私は、結局、卑怯だと思う。研究という美しい名目で、自分を騙し続けた。ならぬものは、ならぬとは、言えなくなる。はなから、言えないのだ。

 この学生には、『君、何歳?』と言った。『19才です。』と答えてくれた。若いなと思った。『君は、何人の先生の著名を集めることが出来たか』と尋ねた。そして、『半分位です。先生が著名してくれたら、半分以上になるので、学長には、強く学費の値下げを要求することが出来ます。』と言った。私は、このような類の選択肢には、もう、懲りた。留学先の国では、誤って、選択肢を選んだら、もしかしたら、今は、その国の重労働者になってしまったであろう。罷免されたら、確かに、他の大学が私を受け入れてくれたが、しかし、やはり、私は、このエリート大学の先生として、名を揚げたい。ただ、この学生の純粋な目を見たら、私は、何か、自分を裏切ったような感じがした。でも、やはり、名と生活は大事だ。でも、この学生の将来は、どうする。このように、でもでも が、数列の如く、続いていて、ある数字に収束する気配がなく、無限に続いているだけで、私は、しばらく、黙ってしまった。

3.良心を育てる言葉

 シーンとする空間が一分間、続いている。一秒一秒は、貴重な時間である。呼吸するさえ惜しい。すると、学生は、『先生、申し訳無かった。私は、先生の立場が分かったつもりですが、しかし、プレッシャーをかけたくはありません。これから、また、先生方の半数の著名を集めないといけませんので、これで、失礼しました。』と言った。この言葉は、ますます、私の良心を蘇らせた。このように、他人のことまで考えて、自分を犠牲にするような自己犠牲的な行為は、良心の肥料になるのだ。ますます、私は、苦しい。数学の仕事は、結論を出すこと。良心が大きくなることがもたらす結果も当然、私も知っている。知っているけど、でも、名声と生活が大事だ。

 『A君、ちょっと待って』と言った。『はい。』と質問するような声で、語尾のトンを上げて、答えてくれた。『あぁ、ご免。授業にまた来てね』という言葉がうっかりと出てしまった。本当は、『A君、1時間後、また来て下さい。著名します。』と言いたかったが、口は、そのような心優しいことを拒んだ。口は、食べ物の入り口だから、また、名声の源だから、当然、生活と名声を破壊するような『心優しさ』を拒むのだ。

4.失格だ!。
 
 先ほど、何人かの学部長が辞表を出して、大学の職を諦めたとのお知らせがあった。私は、助かった。いや、助かるべきだ。なぜなら、私は、この地位に付くべき者だからである。そして、悟ったかのように、なぜ、学生達が、私の担当する科目では、いつも、悪い点しか獲得できなかったか 分かった。それは、私が、良心を殺すために、演繹と帰納法などを操作するに対して、学生達は、良心を守るために、演繹と帰納法といった道具を学びたいからである。失格だ。

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