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Arbeeの短編集コミュの我は靴なり

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職人の手ではなく、工場のラインで生まれた。様々な人の手を渡り、今の主人に仕える。靴というものは、手袋と違って、体の一番臭い所に仕える。人という猿は、足が弱いようだ。それは、木を登る技を捨てたからだそうだ。ご主人様は、足が臭い。それは、ご主人様の仕事がらと関係している。ご主人様は、塾の先生らしい。らしい というのは、靴の私にとって 主人様が、塾の先生でも 一国の大統領でも 変わりが無い。私は、その方の 足という部分に 仕えることに違いが無いからだ。
さて、今日は、ご主人様は 電車 という乗り物に 乗って ホームパーティーに行くそうだ。実は 電車 というものは、 靴の私にとっては、社交の場である。ご主人様が、いつも 話せる機械に 夢中だから、私の活動が知らない。知られっこない。どうせ靴だから。満員電車になればなるほど、私は他の靴と密着に交流することが出来る。
ご主人様は、まだ 機械に夢中。隣のお嬢さんの入ったブーツをチラッと見た。ブーツというのは、実は、不思議なもの。あのお嬢さんが履くと何となく綺麗だが、ご主人様が履くと、吐き気がする。そろそろ新宿という所に着く。あのお嬢さんのブーツとお別れだ。ご主人様は、電車に乗り換えっても機械を弄ってる。やれやれ、昔のご主人様は、そのようなコトは、決してしなかった。人という猿は、変わりやすいのか。靴の私には、理解しにくいことだ。
渋谷駅でご主人様はまた違う電車に乗った。また、社交場に入った。ご主人様もご機嫌のようだ。私は、足の動きや微妙な臭いの変化に敏感だから分かる。そしたら、向かい側の席に、ご主人様の基準できれいなお姉様が座っている。私にとっちゃ、それは分からないが、あのお姉様が入った靴に興味がある。またまたご主人様の思いは激しいようだ。いくら丈夫な靴でも、人に勝てない。観察をしばらく止めた。違う靴を見ることにした。ご主人様の隣の方に注目した。が、また、乗り換えった。ご主人様は慌てるようだ、こういう臭いや足の緊張したら、ご主人様は、目的が分かったのに、そこに向かう手段を疑ったのだ。私を買ってくださってから、たったの一年ちょっとだが、ご主人様の今まで生きた人生を分かったつもりでいる。ご主人様が生きている世界よりも足ははるかに正直だから。我は靴なり。寿命の限り尽くすだけ。なぜなら我は靴なり。


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