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千日話図庵コミュのNo.666「魔のしるし」08.11月28日

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コメント(2)

北の皇帝ショーイチには、生まれながらの特異体質があった。
興奮したりすると体中に電気や火が走ったようなミミズ腫れ様の線が浮かび上がり、
まるで別人のようになってしまうのだ。
このような現象は次第に興奮とは関係なく突然起こるようになり、そのときのショーイチはまさに神がかりな発想と行動力とを示すようになる。
親を密かに殺し、自分が皇帝になったとき、目はらんらんとしていたが、
正気に戻ったときショーイチは本当に涙を流した。
心底尊敬し愛していた父親を自分が殺したとは とうてい信じられなかった。
実は気が小さく、寂しがりやなのだ。
偉大な父を神格化し、その威厳をコートのように羽織る。
ここから彼の世界制覇の遠大な戦略が始まった。
正確には彼の中にいるものの、である。

(「世界で一番」に続く)
その饅頭の焼印がどういう訳でか、異界の魔のしるしを象っているということを
和菓子司「柑廼月庵」の八代目である今の主人は当然知らない。
看板商品『みかんノ月』を創って店を興した初代からして、知らなかったのだから。
初代が厳しい修行の末のインスピレーションと感じたのが、
先祖からの罪業を償うため魔物からのささやかな贈り物だったということで。
だから、今、その魔のしるしのついた蒸饅頭を紅白取り合わせで食されたときに限って、
つまり春先や秋口に多く、流行り病を起こさせて巷に禍いを垂れ流し続けているということを
誰ひとりとして、知らないまま、目出度く八代過ごしてきたのだ。

本当の意味で罪業を償うのは、さらに業を背負い込んでからのお愉しみお愉しみ。

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