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詩歌全般・日本古代史・たべものコミュの難波がた みじかき葦の ふしのまも あはで此の世を すぐしてよとや

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ヨシ(蘆)  イネ科   学名:Phragmites australis
 花期:秋
 アシとも言うが,「悪し」に通じるので「良し」と言うようになったというのを古典の時間に習いましたね。また,漢字も「葦」,「蘆」,「芦」の三通りあります。
 日本の古称は「葦原(あしはら)の瑞穂の国」,「葦(よし)の随から天井覗く」というように,用法によっても読み方が違いますが,一つにはその言葉ができた時代が,アシをさけてヨシというようになった時代より前か後かにも関係するのでしょう。
 川辺の湿地に生えています。秋になるとススキ(薄)のような穂を出しますが,葉の付き方で区別できるでしょう。<植物園へようこそ!>より転載。
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ー19ー

難波がた みじかき葦の ふしのまも あはで此の世を すぐしてよとや   伊 勢 
<新古今集巻十一(恋一)「題しらず 伊勢」>

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難波潟の

あの葦の短い節と節の間のように

短いほんのわずかな間でさえも

あなたに逢わないで

二人の仲のこの世を

そのまま過ごしてしまえと言われるのだろうか
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難波がた みじかき葦の; 「ふしのま」の序詞。

「難波潟」は大阪湾の一部。現在よりもっと入り込んでいて、芦の名所。
「みじかき」は形容詞「みじかし」の連体形で、「ふしのま」を修飾する。

ふしのまも;

芦の短い節と節の間の意の「節の間」と、短い時間の意の「節の間」を掛ける掛詞。

「も」は感動を含む強意の係助詞。

あはで此の世を;

未然形に接する「で」は打消の接続助詞。
「こ」は指示代名詞。
「の」は格助詞。
「世」は世の中・一生の意と、男女の仲の意とを掛ける掛詞で、「芦・ふし」の縁語。(節の間を「よ」という)。
「を」は動作の経過する時(「世」)を示す格助詞。

すぐしてよとや;

「てよ」は完了の助動詞「つ」の命令形。
「と」は引用を示す格助詞。
「や」は疑問の係助詞で、後に省略された結び「言う」(連体形)などを補って解する。

◇難波がた 難波は今の大阪市及びその周辺部。潟は遠浅の海。
◇みじかき葦の この句までが「ふしのま」を導く序詞。春先の生えて間もない短い葦は節も短いため、短い時間の比喩に用いた。「ふしのまといへばすなはちみじかき心あれども、わきて『みじかき蘆の』とよめるは其みじかきが中のみじかきほどをいはむとてなり」(改観抄)。
◇ふしのまも 前の句からの続きとしては「(葦の)節と節の間も」の意になるが、後の句へのつながりとしては「ほんのわずかな時間も」の意になる。「ふし」には「臥し」が掛かる。
◇あはでこの世を 逢わずにこの世を。この「逢ふ」は単に対面する意でなく、情交することを言う。「世」は「人生」の意だが、「男女の仲」の意も含む。また「節(よ)」と掛詞になり、「ふし」と共に葦の縁語。
◇すぐしてよとや 過ごしてしまえとおっしゃるのですか。
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作者は藤原北家の出身。若くして宇多天皇の后藤原温子に仕える。
父継蔭が伊勢守であったことから、「伊勢」の通称で呼ばれた。
藤原仲平・時平らとの恋を経て、宇多天皇の寵を得るが、天皇との間にもうけた一粒種の皇子を幼くして失う不幸に遭った。
宇多天皇の出家後、同天皇の皇子、敦慶(あつよし)親王と結ばれ、中務を生んだ。
歌人としては、寛平五年(893)の后宮歌合に出詠したのを初め、若い頃から歌合や屏風歌など晴の舞台で活躍した。古今・後撰・拾遺の三代集、いずれも女性歌人として最多の入集数を誇る。藤原公任の撰になる『三十六人撰』では貫之・躬恒に並ぶ十首を採られ、古今集最高の歌人の一人としての扱いを受けている。定家の評価も高く、『八代抄』に採られた二十三首は、和泉式部・式子内親王に次ぎ女流第三位にあたる。
 百人一首・百人秀歌ともに第19番目に位置し、いずれも20元良親王の前に置かれている。同じ難波に事寄せた恋歌で、「あはでこの世をすぐしてよとや」(伊勢)、「身をつくしてもあはむとぞ思ふ」(元良親王)と呼応している。
 百人一首ではこの伊勢から35紀貫之あたりまでが、古今集の時代の最盛期(宇多・醍醐朝)を飾る歌人たちということになる。

【他の代表歌】
 あひにあひて 物思ふころの わが袖に やどる月さへ ぬるる顔なる  (古今集)
 難波なる 長柄の橋も つくるなり 今は我が身を 何にたとへむ  (古今集)
 思ひ川 たえず流るる 水の泡の うたかた人に 逢はで消えめや  (後撰集)

【主な派生歌】
難波なる 身をつくしての かひもなし 短き蘆の 一夜ばかりは
 (藤原定家「続後拾遺」)
あしの屋の かりねの床の ふしのまも みじかくあくる 夏の夜な夜な
 (藤原定家)
夏の夜はみじかき葦のふしの間に いつしかかはる 秋の初風
 (藤原雅経)
難波江や うきてものおもふ 夏の夜の みじかき葦の ふしのまもなし
 (〃)
難波江や みじかき蘆の よとともに おつる涙を 知る人ぞなき
 (道珍「遠島歌合」)
世世かけて いひしにかはる 契りゆゑ みじかきあしの ねをのみぞなく
 (藤原為家)
つひにさて 逢はで此世を 過しては たがつれなさの 名をか残さん
 (公宗母「新続古今」)
みるほどは みじかきあしの ふしのまも なみに入江の みか月のかげ
 (本居宣長)


<記事転載元>千人万首。

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