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ウッディー瓦版/コミュの★山に登る★

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この7月22(土),23日(日)、会社の余興で、富山県立山、室堂平の黒部アルペンルート〜みくりが池温泉〜黒部ダムへ。

第一にせっかくの週末にハニーと別行動だし、第二に団体行動がとてつもなく億劫だし、第三にその週は全国的に大雨だったため「雨の中、登山なんて…」と、キャンセルする気満々だったが、前日、試しにネットで検索した宿泊所の温泉がかなり好印象であったのと、費用は会社持ちということで急遽参加することに決定。

初日に3,000mの立山・雄山に登り、その下にある“みくりが池温泉(日本一高い所にある温泉として有名)”に宿泊、次の日は黒部ダムを観光。3,000mの立山・雄山に登り…とは言っても、正確には麓の立山駅まで車で行って、1,000mくらいまでを登山電車で、更に2,450mまでをバスにて登ったところに広がる美しい高原、室堂平から残り550m程を徒歩にて、黒部アルペンルートに沿って登ったという訳だ。

金曜夜10時過ぎ、約10人程の参加メンバーが2台のワゴン車に乗り分け、イザ会社前を出発。僕は他3人のメンバーと共に、社長の運転するワゴン車へ。延々とサザンのCDが鳴り響く中、インターチェンジでの数回の休憩を挟みつつ、一路JR立山駅を目指して夜のハイウェイをひた走る。運転手も交代ごうたい。つっても運転のできない僕は後部座席でビールを飲んだり、ウトウトしたり、ハニーに延々メールを打ったり、ボーッと外を眺めたり、本格的にイビキをかいたり。マジ役立たず。

早朝JR立山駅の駐車場に到着。登山電車の始発時間を待って、一同1時間程仮眠して起きてみると外は大雨。往路では一応止んでいたのに、マジ土砂降りである。一気にテンション下。しかたがないので登山電車駅構内の売店で防雨用ヤッケの上下を買い、¥3,000程の散財。レストランにて皆でモソモソと山菜ソバ等の朝食を採り、登山電車へ乗り込む。

しかし、まだ朝だっちゅーに、どこから集まって来たのか、絶対的に年齢層の高い乗客で登山電車は満員。ゆっくり景色を眺めるヒマもなく、約10分ほどで登山電車は標高1,000mの美女平着。そこでバスに乗り替える。美女平の名付け人はおそらく、1,000m超えの空気の薄さで頭がモーローとし、高山にはあり得ないナマメカシイ美女の幻影でも見たのかもね。バスでその美女の腹の上をクイック、クイック、ターンしながらユルユル登って行く内に、見る間に雲が切れ明るい陽が射してきた。素晴らしい。

ちなみにこの室堂のバス道路は、この連絡バスと施設関係の車両以外は乗り入れ不可らしい。冬になると道路の両側には高さ5mもの雪壁が屹立し、まさに迷路を往くような状態になるという。なんか楽しそう。

俊峰に囲まれて足元に雲を見ながら、高木がなく、低木と草地ばかりの高原をしばらく走ると、程なく標高2,450mの終着駅、室堂バスターミナルに着く。構内は天井が高く広々としているが、ここも人でいっぱい。恐るべし、登山人口。売店で立山断層からの湧き水(“室堂の水”として有名)で造られた地ビールをひとくち。ングッ、ングッ、プハ〜、冷て〜、うめ〜、あれ?山って酔っぱらって登るもんだっけ?まあいいや、何だって気にすんな。ハロー、ハロー、ハロー、ハウロー、ゲフッ。

外は朝方の雨がウソのような晴天。周りの登山者もしきりと自分たちの幸運と日頃の行いの良さを称え合う。しかし、標高2,450m、相当天の近くまで登って来たつもりであったが、立山三山の威容は、そこかしこに万年雪を携え、まだ遥か上空から室堂平を見下ろしている。

…と、皆を率いる我が社長が遥か前方の高み、立山の中腹を指差して、「取り敢えずあの山小屋を目指す!そこから頂上を目指すか、リタイアするかは自身で判断すべし!」と高らかに宣告。

僕は颯爽と簡易ヘッドフォンを両の耳の穴に詰め込み、日本の山の風景を眺めながらこれを聴けば必ずや「与作」と同化するに違いない、と思いCDウォークマンにセットして来たリー・ペリーの「スーパーエイプ」を大音量で再生しつつ、立山の脇腹を往く。とは言え、立標高2,450m超えの眺望は日本の山の風景というよりは遙かに「ハイジ」であり、の「〜エイプ」は「与作」というよりは、もっと超自然的、神秘的に響き渡るのである。

舗装された砂利道を抜け、山肌を踏む、巨大な万年雪の斜面を何度か横切り、ジグザグに刻まれた登山道をひたすら重力に逆らいつつ上へ、上へ、ジリジリと天の近くへ。

高山ならではのニーチェ的な空気。ああ、しかしこの光景を見よ。そこにはまさに、涅槃に至るには程遠い賽の河原であった。僕の前にも、後にも、累々と続く草臥れた人間の行列。自分の脚で少しでも天に近づこうとする奇妙な試み。ひょっとして聖なるかな、と思わないでもない。圧倒的な無駄と浪費。しかしそれはあくまでちっぽけな自分の体サイズの、であり、それ以上の過剰はない。

「なぜ山に登るのか」と問われ、登山家の故・植村直己曰く「そこに山があるからだ」と答えたと伝え聞く。成る程、植村ならではかつ究極の答なのだろう。その問いは「なぜ生を生きるのか」という問いに等しく、その答もまた「そこに生があるからだ」という答に等しい。これは禅問答である。つまり、西洋的、物理的、現実的な問答ではない。その問答自体が詩となり、躍動し、羽ばたき、消え去る。それでいいのだろう。

僕は植村の「そこに山があるからだ」という言葉を思い出すたびに、それがピカソが描く孤高の線やカタチと重なって見えるような気がする。

ところで、僕は持久力主体の個人プレーには強い。運動神経はないに等しかったが、走りや水泳は得意であった。特に長距離マラソンなどでは、普段野球などのチームプレーなどが上手くいばっているヤツらをグングン抜き去る快感は忘れられない。運動神経というよりは痩せていて体が軽いのが幸いしているのだろう。登山もいわば持久力主体の個人プレーであり、最初の目標の山小屋に一番乗りした僕は、下から吹き上げてくる山風を全身で浴びながら、またしても販売機でビールを買って祝杯、おにぎりをほおばってイイ気分。

数名の脱落者を山小屋に残し、残りのメンバーにて立山・雄山の山頂を目指す。山小屋までの比較的整備された登山道とは違い、今度は急斜面の岩肌を這い登って行く、といった状況。残り200m程らしいが、かなり苛酷である。

そして、ここまで来ると日常的な都市サイズの遠近法は錯乱する。すべての距離感が一枚ののっぺりとした二次元の絵となって目に貼り付くので、景色に感動しようにも「おお、確かにここはとんでもなく高い場所であり、すぐそばにあるように目に映っているあの山は、実はとてつもなく巨大で、遙か遠くにあるものなのだ、僕は今、そんな非日常の中を漂っている」と意識的に確認せざるを得ない。この風景は明らかに人間の実感出来るサイズを超えているのだ。そんな風に思えてならない。

山小屋から一時間足らずで頂上。食堂とみやげ物屋を兼ねた古い建物があり、古い石の鳥居があり、500円程払えば頂上の最も高い所にある祠に参拝出来るようだが、もういい。一般的な神社に祭られている神様とお賽銭は密接に繋がっているが、山の神様がいたとして、どう考えても500円とは無縁だろう。

適当な岩棚を見つけ、周囲の景色が見える角度で体を横たえて目の前に広がる圧倒的な景色を味わおうとするが、やはり現実感がない。感動が空回りしている気がする。目の前には超弩級の高山のなだらかな、或いは険しい峰々が連なり、それらの裾野が交わりあい膨大な無限空間をカタチづくっている。室堂バスターミナルが遙か下方に霞んで見える。ジオラマを眺めているようだ。そして、僕が普段、何を見、何をしている時でも、この普遍の景色が変わらずここにあることの不思議。それは存在の根元的な恐怖とどこかで繋がっているに違いない。

頂上はほとんどが年配の人たちで溢れている。やはり、ここは苦難の人生を模した険しい山道を踏み越え、到達すべき疑似天国なのだろう。このくらいのコースなら、特別な知識や装備、体力がなくても、一歩一歩進みさえすれば、子供や70〜80歳のシニア層でもなんとか登れる、というところがミソだ。もちろんご褒美は達成感と、この非日常の景色である。

登るのはシンドイが下山はあっという間、という訳にはいかない。どうしても小走りっぽくなるので時間的には確かに早いが、足に負担が掛かるのは明らかに下りだ。ところどころに残る雪溜まりも登りに比べ、下る時の方が格段に滑りコケやすい。実際何度も転び、ジーパンはビチョドロ。

全員が降りて来るのをまって、今夜の宿泊所である“みくりが池温泉”へ。下には地獄谷と呼ばれる間欠泉を、上に立山三山を始め他の山々の頂きが迫る、先述した通り日本一高所にある天然温泉だ。

二階建てながら、かなり広々とした印象の建物であったが、あてがわれたのは、グループを二分割した7人のメンバーに対して6畳一間。しかも僕の部屋は男ばっか!!

各々が荷物を降ろし、足を伸ばして一息ついたものの、一人一畳のスペースもない部屋の狭さにすさんだメンバーのうち一人が、そこを刑務所のタコ部屋になぞらえ「おたく、何しはったんですか(なぜ刑務所送りになったのか)?」と他の誰かに聞き、それぞれが「いや、クスリをちょっと…」とか「電車で痴漢を…」と続ける中、この春、勤め先の有名広告代理店が潰れて我が社のスタッフとなった60超のMさんがひと言「オレ、援助交際!」と言ってのけた。普段はあまり冗談も言わないような堅物っぽい人なので皆一瞬「えっ…???」と、無言に。するとその間隙を突いて「ハッハッハッ、ウソやと思うやろ?ところがどうしてどうして…」と追い打ち。一同、沈黙。

僕は同じ穴のムジナ(僕は基本、援助はNGですが)として氏の言動は限りなくノンフィクションであると直感したのだが…いかがなものだろう。とまれ、気を取り直し、みんなで温泉につかりに行く。

絶景を存分に採り入れるためだろう、崖の上から空中に付き出すように建てられた浴場は、小ぎれいで、予想していた湯治場的なイメージとは違っていたが、3,000mの天空から帰還した体には充分しみるものであった。お湯も熱い。僕は動くと痛いくらいの熱い湯が好きだ。

“温泉や/地球のヴァギナの/ヌクさかな”
…これは僕が昔、長野の山田温泉で露天風呂に浸かりながら読んだ一句である。失敬。

一同風呂から上がり、小一時間程昼寝した後、一階の広々とした食堂で夕食タイム。ビールを掲げて皆で乾杯。山小屋を兼ねた温泉宿にしては、おかずの品目が驚くほど多い。うまい。

その夜、部屋の電気を消して、修学旅行の夜の高校生の如く、ひとしきりエロ話に興じた後、皆イビキを掻き始めるが、僕はどうも寝付けず、深夜に部屋の抜け出して一人、温泉に浸かりに浴場へ。湯煙に包まれながらイイ気分で往年のフォークナンバーなどを唸っていると、女湯から“カコーン”“チャポン”“ザザザー”と人の気配。やべー、誰もいねーと思ったのに。“あのー、イイ歌ですね”“はあ、いやその、じゃもう一曲”“歌上手ね、もっと歌って!”…コレ妄想。

しかし、その後、僕はかなりゆっくり目に湯を浴び、上がったのであるが、いつの間にか人の気配は消え、女湯からは誰も出て行った気配がなかった。ちょいコワ〜。

で、そのまま宿の外に出てみると天が近く、まさに降るような星空。素晴らしい。宿の前の大きなテーブルの上に寝そべると目の前全てが星、デアル。星の粒が大きい。都会では見えない天の川までがハッキリ、クッキリ。星空へと落っこって行きそうな錯覚。ちょっと寒いので部屋に上着とウォークマンを取りにもどり、自販機でビールを買って、再度テーブルの上にて“始めようか、天体観測”、デアル。星の海を目に映しながらビールをゴキュッ!!キヘ〜ッ!!最高!!ペリー御大に変わってムーディーマンのディープなブラックハウスが、天空の星々を揺さぶってダンスさせ、いくつかを落っことし、流れ星にして僕に見せてくれた。ああこの星空、ハニーと一緒に見てえよ。さぞ歓ぶだろーな。

次の日は相変わらずおかずの品目の多い朝食を平らげ、荷物をまとめてみくりが池温泉を後に。その後、室堂バスターミナルからバスに乗って黒部ダムへ。ダムの畔で皆でソフトクリームを舐めて昼過ぎに下山。ハイウェイをぶっとばし、夜8時頃帰阪。僕は後部座席でグッスリ。役に立たねー。いや、役得か。

その後、デジカメで撮った山上の風景をハニーに見せると、いつもは登山嫌いを宣言している彼女も「うわ〜きれい〜いきたい〜、ここまで別世界の山なら登ってみたいかも」と。まあ、今回のルートなら2,450mは登山電車とバスで登るんだし、ハニーもイケルかも。

んじゃ今度は、室堂平のバス道の両側に、雪が断崖の如く5mもそそり立つ季節に2人で訪れてみっかな…って、その頃みくりが池温泉は閉鎖されてたりして。

(ウッディー:06-07/31)

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