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カナダの歴史と政治コミュのトルドー首相、優先順位付き連記投票を提唱

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 トルドー首相が提唱する選挙制度改革は、新民主党が主張する比例代表制ではなく、優先順位付き連記投票である。
 それは、投票用紙に記載された候補者たちに、当選させたい順に番号を付けて投票する。1位の票数が過半数に達した候補者がいれば当選となるが、過半数に達した候補者がいない場合は、最下位の候補者を除外し、その人に投じられた2位の票数を残りの候補者に配分し、過半数を獲得する候補者が出るまでこれを繰り返すものである。
 首相は選挙制度改革について、最終的に国民投票にかけることを否定しなかった。だが住民投票は、州政府が諮問した選挙制度改革案を3つの州で否決している。
 トルドー首相は、総選挙時から優先順位付き連記投票を訴えてきたが、保守党はそれが中道の自由党に有利だとして、反対してきた。現に自由党は、保守党や新民主党支持者にとって最も人気のある第2候補であり、多くの政治アナリストたちは、優先順位付き連記投票はより自由党に有利になると指摘した。
 だが首相は、2015年総選挙において自由党が得票率39.5%で議席の54%を獲得した事実を挙げ、この改革案が自党を利するためのものだという風評を否定した。
 現行の小選挙区制では、議席を持つ政党としては、右派政党が保守党1つしかないのに対し、左派政党は自由党・新民主党・ケベック連合・緑の党と4つある。そこで緑の党のような左派の小政党支持者は、本来支持する政党に投票した結果死票になり、保守党候補が当選してしまう事態を恐れ、自由党に「戦略的投票」をした。だが優先順位付き連記投票なら、小政党であっても本来の支持政党に順位1位をつけ、自由党に2位をつけておけばいいので、小政党に有利になるという見方もある。また小選挙区制では、二大政党以外の支持者は棄権する可能性が高く、投票率向上につながると考えられる。

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 カリーナ・グールド民主機構大臣は2月1日、選挙制度改革を断念すると発表した。
 政府筋によると、1月にカルガリーで行われた閣議で、すでに断念することが決まっていた。反対した閣僚は1人しかいなかったという。
 トルドー首相は今週、下院でこう述べた。
「率直に言って、賛否のある国民投票をこの時期に実施するのは、過激派の発言力を拡大することになり、カナダのためになることではない。」
 首相は、選挙制度改革特別委員会が推奨する比例代表制は、小党乱立や多数安定政権の抑止、また連立政権の常態化につながりやすいことや、小勢力が議会へ進出する道を開くことになり、その結果地域政党や白人優位主義・国粋主義・ポピュリズムのオルタナ右翼の発言力を拡大することを懸念していた。

 2015年の総選挙時、野党第2党だった自由党は選挙制度改革を公約したが、どのような制度を導入するかを明言せず、単に比例代表制・優先順位付き連記投票・投票の義務化・オンライン投票などについて検討する超党派委員会を設置すると述べるだけであった。
 だがいざ委員会が設置されると、新民主党は比例代表制を主張した。緑の党は小選挙区比例代表併用制の支持を決めるとともに、ギャラガー指標(※得票と議席の反比例度を示す。数値が大きいほど両者が乖離していることを示す)が5以下のいかなる比例代表制も支持すると主張した。保守党は現行の「勝者総取り」小選挙区制を支持したが、いかなる改革でも国民投票で有権者に諮問すべきだと主張した。野党の主張は当初バラバラだったが、秋には保守党・新民主党・ケベック連合・緑の党の全野党は比例代表制を支持することで合意した。
 だが自由党政権は、ひとたび国民投票を実施すれば、論争がほかの問題に拡大することを恐れた。ケベック独立を問うた1995年の住民投票騒ぎを皆が覚えていたし、今回の投票が将来あるかもしれない再度の独立を問う住民投票の先例にされるのも、好ましくなかった。
「50%プラス1票あれば十分なのか」「有権者の3分の2の同意があれば、1州が反対しても強制できるか」
 あのような騒動を繰り返したいとは、誰も思わなかった。それで自由党政権は、「現行制度による選挙は2015年が最後」という公約を盾に、(時間のかかる)国民投票は不要だと繰り返した。モンセフ民主機構大臣(当時)も「国民投票は容易に癒えることのない深い亀裂を社会に生じる」と警告した。カナダ史上において禁酒法(1898年)、徴兵制(1942年)、憲法改正に関するシャーロットタウン協定(1992年)の3度国民投票が実施されたが、いずれも結果が州により大きく異なり、亀裂を生んだという認識がある。
 トルドー首相は優先順位付き連記投票を推進したが、それを支持する者は少なく、国民の多くは選挙制度改革に関心がなかった。さらにややこしいことに、閣僚の中にもディオン外務大臣・ルブラン漁業大臣・フリーランド国際貿易大臣(肩書きは当時)などは、公然と比例代表制を支持していた。

 トルドー首相は今週下院で、こう述べていた。
「私は長い間、優先順位付き連記投票を推進してきた。野党議員たちは、比例代表制を望んだ。最大野党は、国民投票を要望した。そこにはコンセンサスがない。」
 そして選挙制度改革断念については、1日にこう述べた。
「カナダの安定を害することをするのは、無責任である。選挙の公約を理由に、投票箱の中身をチェックするだけのために、間違ったことをするつもりはない。私は、そのような首相になるつもりはない。」
 新民主党のネイサン・カレン議員は3日、連邦議会で自由党政権を批判した。
「選挙改革における裏切りを正当化する彼らの必死の試みにおいて、自由党はあらゆる言い訳を使っているが、それは馬鹿げている。」
「比例代表制はより多くの女性、より多様な議員を選び、ともに働いてカナダをまとめる。」
「自由党政権が選挙制度改革を断念したのは、それがカナダの統一に対する脅威だからではなく、自由党に対する脅威だからだ。」


図左:カリーナ・グールド民主機構大臣の事務所から荷物を運び出す人。民主機構大臣は管轄する省庁のない無任所大臣なので、選挙制度改革が終わればもう仕事はない。
写真右:選挙制度改革特別委員会で、ギャラガー指標を示すプラカードを掲げるマリヤム・モンセフ民主機構大臣(当時)。彼女は議会を侮辱したと非難され、後にこのポストから外された。
 小選挙区制は違憲だと市民団体が訴えた裁判で、オンタリオ控訴裁は8月11日、全員一致で合憲と判断した。
 原告の「フェア・ボーティングBC」と「民主社会のための春季共同体」は、小選挙区制は女性や少数民族などの集団が過少に代表され、1982年憲法の「権利と自由のカナダ憲章」が規定する平等権に反するとして訴えていたが、オンタリオ高裁は2023年11月、原告の訴えを退けていた。判決は、比例代表制は現行制度に替わりうる公平な制度と言えるが、憲法により求められるものではないと判断した。
 オンタリオ控訴裁のグラント・ハスクロフト判事も、原告の訴えを退けた。
「選挙制度は、投票権や平等権のいずれとも対立するものではない。それは、憲章に反しない。」
「選挙制度が憲章に反するという原告の主張は、本質的には、失敗した政治的な議論を再包装することでしかない。」
「選挙制度が憲章違反という議論に対する短い答えは、カナダ市民はいかなる理由で誰にでも投票していいというものである。」
「代表の多様性のある種の理想を実現するため、彼らが個々に選んだ人々が集計されなければならないという憲法上の要請はない。」
「当選した候補の政党所属も、属性も、選挙制度の合憲性とは関係がない。」

 トルドー前首相は2015年に政権に就くと、選挙制度改革を公約し「現行制度での総選挙はこれが最後だ」と語った。だが彼が目指したのは優先順位付き連記投票で、中道の自由党は右派政党にも左派政党にも次善の選択肢とされ有利に働くという目論見だった。ところが、予想に反し野党は比例代表制で一致したため、トルドー首相は「比例代表制は少数の過激派が議会へ進出する道を開く」という理由で、改革を投げ出した。
 原告の両団体も、小選挙区制は小勢力の進出を阻んでいると主張した。これについてハスクロフト判事は、次のように述べた。
「カナダで小政党の成績が芳しくないことに疑いの余地はない。」
「彼らはわずかな票を獲得し、常にあるいはまれにしか議席を得られない。」
「だが政党の失敗は、憲法上の賠償請求の門を開くものではない。」
「要するに、投票権は、運用されている選挙制度に基づき投票する権利であり、その制度が何であろうと、また選挙結果がどうであろうと関係はない。」
 原告はまた、小選挙区制は女性や少数民族を過少に代表すると主張したが、ハスクロフト判事は代表の程度に関する議論は、人々は自分が望む方法で投票する権利があるという基本的な本質を見失うことになると述べた。
「これは、投票権の根底にある自由の本質である。」

 カナダの連邦議会選挙は、完全小選挙区制で行われ、それ以外の選挙制度で行われたことはない。また比例代表制は、いかなる行政区においても実施されたことはない。

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