Bunker Music MeetingコミュのBunker #21 "Neue Deutsche Welle"

Neue Deutsche Welleについて

ノイエ・ドイッチェ・ヴェーレ（Neue Deutsche Welle = New German Wave）は1970年代後半に始まるパンクやニュー・ウェイヴに影響を受けたドイツのオリジナルな音楽スタイルです。この呼称は1979年に「サウンド」誌に掲載された音楽ジャーナリスト、アルフレッド・ヒルスベルクの評論「Neue Deutsche Welle - Aus grauer Stadte Mauern（灰色の街壁を越えて）」に由来します。

NDWの歴史は大きく2つの時期に分かれます。その誕生から1981年まではアンダーグラウンドなムーヴメントで、NDWはすぐにパンクやニュー・ウェーヴの影響を脱し、オリジナルで明確なスタイルを獲得していきました。そこには多くのバンドが当初より取り入れていたドイツ語の、英語とは違ったサウンドやリズムが強く息づいていました。活動の拠点はベルリン、デュッセルドルフ、ハンブルク、ハノーバーでしたが、フランクフルト、ヴィースバーデン、インツ周辺、リンブルク・アン・デア・ラーン、ウィーンにも小規模の活動が見られました。

その同時代、イギリスではキャバレー・ヴォルテール、ウルトラヴォックス、ソフト・セル、アメリカではスーサイドやディーヴォ、そして日本ではYMOやプラスティックスが活動を開始していました。

1980年ごろからメジャーの音楽業界はNDWに注目するようになりましたが、その音楽の特異体質的な性質もあってか、既存のオリジナルなバンドをプロモートするよりも、メインストリームにおもねるような新しいバンドを作り出すことに注意が注がれ、数多くの「一発屋」、短命なバンドが現れては消えていき、NWという呼称の広範な普及はジャンル全体の衰退をもたらしました。1982〜83年を境にNDWは音楽シーンから退場したように見えます。

NDWのオリジナルな部分を代表するレコード・レーベルにAta TakとZick Zackという2つレーベルがあります。Ata Tak（Art-Attack）は1979年に活動を開始しました。Ata Tak、前身のDas Buroからデビューしたバンドには、DAF、デア・プラン、パイロレーター、ヴィルトシャフツヴンダー、ホルガー・ヒラー、アンドレアス・ドラウ、エレメント・オヴ・クライム、ロスト・グリンゴス、ピッキー・ピクニック、ディー・テートリッヒ・ドリス、マイナス・デルタ・Tなどがいます。独自のオリジナリティ、革新性、さらには奇怪さを兼ね備えた「お手軽なインテリジェント・ミュージック」という言葉がAta Takの典型的な特徴を表わすものです。


８０年代初めの盛期以降もAta Takは活動を続け、現在ではリリースタイトルは９０近くにも上ります。

その他にも、90年代始めにオーブ（Orb）のメンバーになるトーマス・フェルマン、ベーシック・チャンネルやリズム＆サウンドとして現在活躍するモーリッツ・フォン・オズヴァルドはパレ・シャンブルクで活動を開始し、「音響」というジャンルで一時期を画したマーカス・ポップは1993年にオヴァルのデビュー・アルバム『Wohnton』をAta Takから発表しました。また、デア・プランやパイロレーターのファニーな音楽は、９０年代初めのマシーン・ビートが身体の恍惚を裏打ちするテクノの傍らで登場した、ClearレーベルやBungalowレーベルに受け継がれ、アメリカのポストロックバンド、トゥー・ロココ・ロットもその道を進もうとしているように見えます。

ポストモダンの風景の中で奇手烈で珍妙であることを祝福する、別種の「インダストリアル・ミュージック・フォー・インダストリアル・ピープル」であるNDWの音楽にこの機会に触れてみてはいかがでしょうか。


今回は福岡を代表する美術作家、江上計太氏の全面協力のもと開催します。



日時：８月２６日（金）
場所：福岡レジデンスクラブ


http://www.atatak.com/
http://www.derplan.com/
http://www.yk.rim.or.jp/~kerokero/derp.html
http://www.pyrolator.com/
http://www.ichwillspass.de/
http://park10.wakwak.com/~techno/atatak.html