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日詩会コミュの「1」から始まる物語、その第二話

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二頭のやぎ(前編)

 えーっと、黒ヤギくん、口をモゴモゴさせながら、後悔しております。
「あー、またやっちまった。せっかく白ヤギさんからお手紙もらったのに、食べちまったよ〜。もしかしたら、『黒ヤギさんのことが、大好きです。付き合ってください』とかって書いてあったかもしれないのになあ。ふふふ……。でも紙を見ると、ついつい食べちゃうんだよな〜。手紙も紙だからなあ〜。あ〜あ……おっとモグモグ……」
 黒ヤギくん、そう言いながら、白ヤギさんからもらった手紙を完食してしまいました。

 一方の白ヤギさん。
「う〜ん、もう! 黒ヤギさんたら、わたしの手紙、読んでくれてるのかしら」
 白ヤギさんだって、この前、黒ヤギくんがら来た手紙を食べてしまったのに、そんなことを忘れてしまったように怒っています。こういうのを、棚ぼた……いやいや、自分のことは棚に上げて、って言うのでしょうね。
 ともかく、モグモグ。今日は、緑の葉っぱを食べております。

 黒ヤギくん、手紙を完食し終えると、ふと考えました。
「そうだ! 長老ヤギさんなら、いい知恵を持っているかもしれない!」
 頭の上にビックリマークが輝きました。
 そのまま長老ヤギさんのもとへ、とっとことっとこ、走り出しました。
「長老ヤギさーん! 助けてーっ!」
「どどど、どしたっ? どろぼうに入られたかっ? だれかが沼で溺れたかっ? 狼に襲われたかっ? 宝くじで当たった賞金のお札を食べちまったかっ? ジ、ジンギスカンにされちまったかあっー!」
「お、落ち着いてくださいよ、長老。ねっ、ちょーろーっ!」
「おおお、おや黒ヤギか。ど、どした?」
「もう長老ったら、落ち着いてくださいよ」
「おおお、落ち着いているよ。オレは、みんなのことが心配なだけだ」
「ありがとうございます。でも長老、ジンギスカンにされるのは、おいらたちヤギじゃなくって、あれはヒツジですよ」
「ままま、まあいいではないか。長老たるもの、いろんな場面を想定してなければいけないのだよ、うん。仲間であるおまえたちがのことを心配するのは、長老として当然のことだ。なっ?」
「はいはい。長老がおいらたちのことを、常日頃から心配してくれているのはわかってますよ」
「そそそ、そうだろ。それならばいい。じゃあ」
「って、待ってくださいよ! 長老に相談事があったから、こうして来たんじゃないですかー」
「ななな、なんだ……。それならそうと言ってくれなきゃ。だいたい黒ヤギは、話が遅い」
「ちょ、長老が、おいらの話を聞く前に、自分で勝手にいろんなことを言うものだから、話ができなかったんじゃないっすかー」
「そそそ、そりゃあすまん。で?」
「なんでしたっけ……」
「ほほほ、ほれ、おまえは話が遅い」
「長老のせいですよ! まったくー。え〜と、え〜っと……」
「ままま、まったくおまえは話が遅い。ええい、ゆっくりと草も食べられないわ!」
「そ、そうそう、食べる話!」
「だだだ、だから、ゆっくりと草も食べられないって……」
「そうじゃなくって、おいらの話は、その食べること!」
「いいい、いやいや、おれは食べたい」
「長老! 食べるのやめて、聞いてっ!」
「ききき、聞いてるよ」
「あのね長老。おいらたちの心配をしてくれるのが長老でしょ? だったら、おいらの悩みをちゃんと聞いて」
「おおお、おれは器用なんだよ。草を食べながらでも、おまえの話を食べることができる! あ、いやいや聞くことができる」
「もうっ!」
「そそそ、それで、何を食べればいいんだ?」
「おーい! バカ!」
「おおお、おまえ、黒ヤギの分際で、このおれをバカって言ったな」
「ああ、バカたれ!」
 頭にきた黒ヤギくん、そう言うなり前脚で長老を蹴りました。
 バコッ!
「痛っ!」
 ガギッ!
 今度は長老が、その立派なツノで黒ヤギくんにぶつかってきました。
 グギッ! デドッ! ブシャッ! ドガッ!

コメント(3)

二頭のやぎ(後編)

「もう、なにやってるの!」
 いつの間にかやってきた白ヤギさんが、あきれたように声をかけてきました。
「あ、白ヤギさん! ちょ、ちょっと長老と、あの、なんて言うか、そうそう、体力トレーニング! ね、長老」
「そそそ、そうさ。このところ、このおれも体がなまっていたので……な、黒ヤギくん」
「そう。長老が元気でさあ」
「おおお、美味しいジンギスカンになるためにも、体力トレーニングは必要なんじゃ」
「だ、だからあ、ジンギスカンはヒツジだって!」
「わわわ、わかんないぞ。おれたちだって、いつかはヒツジになれるかもしれん。うん、そうだ。今日からみんなに、美味しいヒツジになるための練習をすすめてみようかなあ」
「ちょ、長老!」
「どどど、どうだ,黒ヤギ。おまえ、目指してみないか?」
 黒ヤギくんが長老の言葉に、バカって叫ぼうとしたとき、白ヤギさんが、
「いいかげんにして!」
 と叫びました。
 黒ヤギくんと長老は、白ヤギさんの声にびっくりして、白ヤギさんのほうを見ました。
「わたしは黒ヤギさんと仲良くなりたいから、長老ヤギさんのところへ相談しに来たのに……どうしてわたしの話を聞いてくれないの」
 白ヤギさんはそう言いながら、大きな目に涙をためています。
「ななな、なんだ……そういうことか。黒ヤギ、おまえもそうなのか?」
「え、ええ。まあ……」
「ちょちょちょ、ちょっと待っていなさい」
 そう言うと長老は、向こうにある岩かげに行くと、なにかを口にくわえてもどってきました。
「こここ、これをお互いにくわえなさい」
 長老の口には、一枚の紙がくわえられています。
「こ、これをくわえるのですか?」
「いいい、いやか?」
「だ、だってこれ、長老のつばでべとべとですよ〜」
「ううう、うるさい! おれだって食べたくてしょうがないんだ。だから早く!」
 黒ヤギくんと白ヤギさんは、長老が用意してくれた、長老のつばでよれよれになっている紙の右はじと左はじを、お互いに口にくわえました。
「さささ、さあ、この紙をお互いに食べるのだ」
 重々しく長老が言ったときには、黒ヤギくんと白ヤギさんも、もうモグモグしていました。
 そして紙を食べ終わったとき、黒ヤギくんと白ヤギさんは、チュッ。
「おおお、おいおい。食べるのが早過ぎる!」
 そんな長老の言葉を聞いたのか聞かなかったのか、黒ヤギくんと白ヤギさんは寄り添って歩き出しました。
「ももも、もう最近の若いモンは……メエー、メエー、メエーでたいなあー。ま、いっか〜」
 一声鳴くと、長老は何事もなかったように、またモグモグと草を食べ出すのでした。
あぁおもしろかった〜わーい(嬉しい顔)
メエー、メエー、メエーでたいなあー、なんて。

最初は子ども向きの童話なのかな〜と思ってたら、
あらなんと粋な長老さまだこと。
でもつばでよれよれになった紙はちょっとイヤだなぁ…あせあせ

あんにんさんに誉められると、かんのなのくにのわお〜ん!
叫んじゃうよ☆

長老のつばでよれよれになった紙はね、慈愛と悲哀の象徴なの。

いろいろなお話を書き続けようと思っているので、よろしくね☆

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