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環境共生施設研究所コミュの車椅子体験学習会「車椅子ウォッチングin宇土」報告

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車椅子体験学習会「車椅子ウォッチングin宇土」報告
(熊本県宇城地域振興局主催・やさしい街づくり協議会講演・資料)
2000年2月14日開催

 こんにちは、環境・共生ネットワーク宇土の野口です。今日は、私共が1昨年から実施している車椅子体験学習会「車椅子ウォッチングin宇土」の報告をさせていただきます。

 そもそも車椅子体験学習会を開催するきっかけになったのは、環境共生ネットワーク宇土でTさんにお会いしたのがきっかけです。T
さんの子供さんが、中学時代に事故で頚椎損傷の大ケガをされて、現在は車椅子を利用しながら熊本県内の大学生として頑張っておられます。隔月にある会議の中でTさんなどから、宇土の街路の改修工事が話題に上がり、そこで車椅子を使い体験してみることになりました。仕事で私の主催する建築研究者ネットワーク「環境共生施設研究所」に、ヒューマンネットワーク熊本のスタッフがいて、直ぐ対応できると言うことで実施につながりました。

1回目の1昨年は、市役所や図書館、郵便局などの公共物、宇土市内のショッピングセンターなどの調査をしました。調査する建物までは、実際に車椅子に乗りながら調査を行い、車椅子体験を約2時間行いました。その後、宇土市社会福祉協議会の2階で体験の感想と意見交換会を行いました。その結果をまとめたのが、この地図です。

2回目の昨年は、交通をテーマにJR、バス、それと駅周辺の宇土市街の東部地区の車椅子体験学習会を実施して、初回同様に調査結果と意見交換をまとめて地図に落としています。他にも、国道沿いの危険個所を調査して来ていただいた方もおられました。上記が、体験学習会の内容です。現在、事務局で2年間のまとめと今年の実施に向けての報告書を準備をしています。

 まず1回目の「車椅子ウォッチングin宇土」に参加された人の感想は、車椅子で街を回るのはほとんどがはじめてで、「うでが疲れてこれは大変」と言う言葉が全員から聞かれました。少しの段差、ほんの少しの勾配でも真っ直ぐ進めない、障害物、車、自転車などの歩く人や弱者への配慮の無さが目立ちました。1年目の調査の中で、市役所を出発点に3班に分かれて調査をしたのですが、日曜日でしたので公共施設としては、図書館とその周辺の道路、街路等の体験が中心でした。

 初めて分かったのですが、図書館は図書が2階にあるのにエレベーターが無いのに気付きました。1階は、スロープで自由に行けるですが、肝心の2階に行けません。ケアプラザから参加された方が、「来ても自分で本を選べないから、利用しよらん。」とこぼされていました。「確かにそうですね」と納得しました。途中の市役所前の公園は、園内のほとんどが小さな砂利のため車椅子は、力のある大人の男性でもハードな行動です。またトイレは、狭く形も使いにくくなって使用されているようには見えません。郵便局のスロープは、急で電動車椅子は登れますが、普通の車椅子は1人では難しいと思います。

 また、新しく改修された歩道は、車道の方に緩やかに勾配があるために、真っ直ぐ進むのは相当の力と練習がいりました。歩道の真中に車の進入をさせないための障害物が邪魔で車椅子は通れないように思えます。かえって、車道の方が楽に進めました。どのような目的で歩道を広げたか担当の方に報告書をまとめる時に、聞こうと考えているところです。

 ショピングセンターの内部は、ほぼ完璧にバリアフリーになっていて問題が有りませんでした。少し品物の陳列を気を付けていただくと良いと思います。問題は、そこまで行く道のりです。市役所からショピングセンターへの道のりは、体育館前から踏み切りを通る道順で調査をしました。ケアプラザの人がその道のりを利用していると聞き実際に状況を見るのに選びました。ちょうど調査中に、列車が通り危険と背中合わせと感じました。普通の車椅子は、前輪が小さくレールの溝に入り出れなくなった人もいて、もしこのとき列車が通れば大変と話していました。前後の道路巾も狭く、ケアプラザの人が、「命がけです」と話されてました。

 市役所から、障害者の作業所の方を回る道のりは、歩道が狭く、勾配がきつくほとんどが車道を通らないと難しいと参加した人が報告していました。体育館内には、トイレがあるのですが、スロープの部分に車や自転車が置いてあって車椅子は登れませんでした。健常者の意識が最大の問題のようです。ショッピングセンターの障害者用駐車場は、ほとんど開いてなく利用ができませんでした。欧米なみに罰則を設けるようなことをしないと難しいようです。
 意見交換会では、見ているのと体験とはぜんぜん違うと言う事が感想でした。問題個所や問題点は、地図に書き落としてしいます。改善点は、最後にまとめて話します。

 2回目の昨年は、交通をテーマに駅を中心とする東部地区調査とバス・JRも実際に乗ってみました。老人保健施設「あさひコート」駐車場を出発して駅に向かうコースでした。旧道の方は、巾が狭く側溝と中央部がかまぼこ型になり、全員が駅まで行くまで「うでが疲れた」と言ってました。新道の方は、巾も広く通るのには支障はないのですが交差点の縁石の段差でつまづき登れませんでした。宇土市職員の人になるべくたくさん車椅子を経験していただいたので、次の日はうでが筋肉痛になられたと思います。道路探検後、駅からJRとバスに分かれて乗車体験を行いました。

 まずバス探検隊は、産交バスにあえて低床バスをお願いせず、いつも走っているバスを利用しました。車椅子をたたまないと乗れないし、中でも座席に座っていないと巾も無く難しいと実感しました。参加した子供連れにも経験してもらって、「障害者、高齢者は行動が大変だろう」と話していました。その後本町通りを市役所まで、交互に車椅子に乗りながら体験して行き、図書館では実際に人を乗せた車椅子を抱えて2階に上がりました。書架の間は車椅子には使いにくいレイアウトになっていて、回る場所に椅子やテーブルが在り、バックしないと次の列に行けませんでした。その前に、エレベーターが無いので自由に上れませんから、利用者は無いと言ってました。

 JR探検隊は、まず駅で切符を買いどうにか改札を出たところで、プラットホームの最前列に行けませんでした。なぜかと言うと、勾配がきつく一人登れません。駅には、事前に相談して準備をしていただき、列車の乗車用の道板(宇土駅:ベニヤ板)を出してもらっていました。宇土駅からは、「普段は、準備のために事前に必ず連絡をして下さい」と言ってました。ヨーロッパの駅とは、えらい違いと思います。宇土駅にお願いに行った時に助役さんから「下りホームから駅舎に線路を越えて来ることができません。下車は、八代まで行って宇土まで上って来てもらうことにしている」言うことでした。大変な時間のバリアーが、存在しています。

 熊本駅は、昇降についてはエレベーターを使わず、エスカレーターを使うようにしていて、3段分が一枚になりそれを利用して昇降します。1人5分近くかかり多人数で行くと時間を考えて利用しないといけませんし、その時は他の人は利用できない状況になります。荷物用のエレベーターを使えば、30秒で昇降できます。ヒューマンネットワークの人は、「時間がかからない荷物用のエレベーターで良いのに」と言ってました。駅の中は、自由に動けて問題は有りませんでしたが、改札を2回通るルートが在り、不便である言う感想が出ていました。
 問題は、帰りの道のりで宇土駅での下車です。ヒューマンネットワークの人は、電動車椅子に乗っていて、人と合わせると120kgを越える機種のあるそうで、階段を抱え上げる作業が残っていました。結局、電動車椅子と人と分かれて駅舎に移動しました。それが添付の朝日新聞の記事です。4人がかりで、汗が出るような介助が必要です。これが、体験の中で一番だったようです。同行された朝日新聞の記者の方が、「いい経験をさせてもらいました」と感想を話されていました。

 2回の体験学習会から今後の活動と提案として、今年の体験学習会はワークショップを取り入れた車椅子探検隊を実施しできればと思っています。また、2年分の調査報告をまとめて、関係各署・報道等に提出をしようと現在準備中です。

 車椅子探検隊の調査からのいえる事は、まず利用者が使いやすいように造って欲しいということです。生活者の視点から街づくりを提案できればと思っています。歩道の構造は、障害者や高齢者が参加する検討会を作り、実際の歩道で健常者も障害者も体験してから実施に移すことが重要です。公園は、使う側からのワークショップ的な公園つくりを実施しないと使わない使えない施設が残ると思います。費用の掛け方についても、利用者の意見を入れて進めてほしいと思います。特に、トイレはサンプルになる例をそのまま参考にするのではなく、設計段階で利用者の意見を取り入れて欲しいと思います。

 公共施設は、健常、障害、年齢を越えて市民のたくさんの意見が集まる施設造りをしてほしいと要望します。これは、時間はかかりますが市民の行政への参加意識の意味もあると思います。インターネットを利用した市民の意見収集は、検討時間を短くして行くのと情報公開につながり、これから必要と考えます。

 交通についてですが熊本市では、ヒューマンネットワーク熊本を中心にバリアフリー研究会が活動をしています。熊本市は、少しづつ良くなって行きますが、地方都市からのアクセスができなければ結局、車に乗れない人は利用できません。ただ障害者用駐車場が使えなければ、これも難しいことになります。一般市民への啓蒙と各地区に街づくりをチェックする市民やバリアフリー(ユニバーサルデザイン)ボランティアと行政が定期的に情報交換をする場(システム)が必要と思います。

 まず交通でバスへの要望ですが、できれば路線バスの3割くらいを低床バスやリフトバスを導入、バス停の改良(低床バスやリフトバス対応)、JRの踏みきりの道路の段差や勾配改良も低床バス導入に必要です。宇土駅へのアクセス(現在は上り、下りが別)で、交通の調査に子供や高齢者にも参加してもらい実施願えればと考えます。

 JRについては、宇土駅を例にお話をしますと乗車、下車が自由にできない駅がほとんどだそうで、全部にエレベーターを付けることは費用がかかりすぎると思います。そんなことをすると友人のオンブズマンから怒られてしまいます。車椅子利用者を見ていると、スロープが在ると大体上れます。各駅のホームの片方の端をスロープにして、その先端(下端)に踏み切りタイプの通路を設けると十分と話していました。エレベーター工事は必要無いと言ってました。

 私は、住吉駅を利用していますがそのような形状でをしています。ただ、駅舎が階段で上らないといけないので、利用はできません。すこし配慮が有れば、小さな無人駅でも利用可能なのです。宇土駅もそのスロープと線路またぐ通路を作れば、車椅子(特に電動車椅子)は、一人で線路を渡れると話されていました。熊本駅の時間のかかるエスカレーターよりもはるかに利用価値も価格も市民が認めると思います。また宇土駅の駐車場を広くしてバスの昇降が同じ場所でできるようにすること、駐車場の勾配が急なのを改善して欲しい考えます。 

 今日話を聞かれるみなさんに、これを機会に公共交通を利用する人、障害者、子供、保育園関係者、子育て中の方、ボランティアなどを入れた情報交換会を作られることを検討願います。その方がかえって経費削減の提案も出てくるような気がします。同じように税金を出して、市民サービスを利用するものとして考えてくれると思います。例えば駅のスロープなどのように、設置すれば利用者も増えます。デンマークでは、行政の中に福祉と言う言葉がないと聞きます。障害も痴呆も個性として社会が認め、それを支援するのは行政の仕事と社会が認識しています。そんなノーマリゼーションの思想が早く日本の社会に広がることを望んでいます。

 環境・共生ネットワーク宇土は、これからも共生の考えを広めるために、微力ながら活動を続けて行ければと考えています。もし宜しければ、今日参加のみなさんもぜひ環境・共生ネットワーク宇土に参加していただければと思います。年齢、性別、職業などの制限は一切ありません。環境共生と人の共生社会を目指して情報交換をする場です。よろしくお願いします。
*書き込み中

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