ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

a PIGO filmsコミュのみじかいみじかい物語 vol.12

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
***

埼玉西武が日本一になったその日、一日中憂鬱な時を過ごした。
水を含んだスポンジのように体がじっとりと重く湿っていた。
何もかも吸収できない、重い身体に右から左へ抜ける上司の言葉。
頭の中が暗闇に覆われ、どんよりと曇っていた。
ダウンジャケットに付いているフードを被り、雨を凌ぎながら歩いた。
化粧の濃いアジア系の女性は大きな声を張り上げてDMを配っていた。
昨日より寒い一日だった。数字の問題じゃない、感覚の問題だった。
都営大江戸線は今世紀最大の地下要塞だと半年前から思っていた。
階段を1段ずつ下るうちに、息苦しさを感じた。
今日はいつもより、やけに空気が薄い感じがした。
改札口を抜け、ホームに到着。何処から吹く風に身体を預けながら歩いた。
僕はいつもの場所に立ち電車を待つ。待つ間、最近よく読むようになった
小説をカバンから取り出し読み始めた。
そんな時、僕はふとこんなことを思った。

***

或る晴れた日の夜。
TVではカップル成立というテロップとナレーションと輝かしい音楽と効果音と
その日のゲストの頬に涙が流れていた。
その時、今朝死んだという友達の訃報を知らせるメールが携帯電話の受信箱に届いていた。
僕はボーっとテレビを見ていた。
僕はTVを観たかった。どんなチャンネルでも良かった。
この瞬間、僕の気持ちを紛らわせてくれるそれは、とにかく僕を埋め尽くして欲しかったそれは
結局は何の効果ももたらしてはくれなかった。
4:3の画面に、どんなにたくさんの文字を連ねようが
心地よい音楽を奏でようが
僕には何の感情もわかなかったのだ。

***

ただひとつ、僕はこの世界から姿を消した瞬間だったのかもしれない。
僕は電車の頭が暗闇からホームに飛び込んでくるのをじっと見つめながら
ふと、思った。

***

「疲れた、疲れた、あー疲れた」
友人に会社の話をする隣の女性の顔は
希望の顔に満ち満ちていた。

***

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

a PIGO films 更新情報

a PIGO filmsのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング