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フリードリヒ・ヘーゲルコミュの『精神現象学』各種翻訳の比較

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ヘーゲル『精神現象学』(1807年)の「意識」の章の終わりあたりより、翻訳の比較です。もっと適当な箇所があると思いますが、、、

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「知覚を越えて高まったとき、意識は現象という媒語を通じて超感覚的なものと推理的に連結したものとして現われてきて、現象という媒語を通じて[超感覚的なものという] この背景(後ろの根拠)を観じている。」
金子武蔵訳、岩波書店『精神の現象学』上p166

「知覚を超えて高まったとき、意識は、現象という媒語[中間]によって、超感覚的なものと推理的に結ばれて、現われる。この媒語を通じて意識はその背景を見るのである。」
樫山欽四郎訳、平凡社上p203

「知覚を超えた境地にある意識は、現実界を媒介とし、現実界の背後を透視するというかたちで超感覚的世界とつながっている。」
長谷川宏訳、作品社p117

「意識[自身はというと、それ]は知覚よりは高まっているから、現象という中項を介して超感覚的なもの[内なるもの]と連結するのであり、意識はその中項を介してこの[超感覚的なものという]背景を覗き見るのである。」
牧野紀之訳、未知谷p311

"Raised above perception, consciousness exhibits itself closed in term of appearance, through which it gazes into this background [lying behind appearance]."
"HEGEL'S Phenomenology of Spirit"translated by A.V.Miller,p103

"Erhoben über die Wahrnehmung stellt sich das Bewußtsein mit dem Übersinnlichen durch die Mitte der Erscheinung zusammengeschlossen dar, durch welche es in diesen Hintergrund schaut."
G.W.F. Hegel"Phänomenologie des Geistes"
http://www.marxists.org/deutsch/philosophie/hegel/phaenom/kap3.htm

樫山訳が一番入手が楽ですが、専門家には金子訳、一般には長谷川訳でいいのではないでしょうか?
個人的にはヘーゲルが大急ぎで書いたものなので、早く読める長谷川訳がいいと思います。
細かい誤訳の問題は、それぞれの訳者の書いた入門書にあたるのがいいと思います。
牧野訳における「序言」「序論」という目次設定は的確だと思いますが、、、
なお英訳にも精神をmindとする バージョンとspiritとするバージョンがあって、意見が分かれます。spiritの方が歴史的には正確でしょうが、mindの方が現在の意味としてはニュアンスが正確に伝わるようです(間違ってたらごめんなさい)。

コメント(2)

『精神現象学』に解説書の力を借りて触れる時、その内容のあまりの豊かさと面白さに、それまで自分がヘーゲルに対して抱いていた安直な先入観を打ち砕かれざるをえません。
こうやっていくつかの訳例を並べていただくと、直訳的な逐語訳がいいのか、思いきった意訳がいいのか、迷わされますね。

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