自称「戦う哲学者」。
センス・オブ・ワンダーを忘れないおじさま。
日本一青臭いオヤジ。
永遠の厨房。
そんな彼が、大好きだ!
【本人より哲学塾開講のお知らせ】
こんにちは。中島義道です。
ついに来年度(つまり2009年3月末に)、
大学を辞めることにしました。
辞職後は、大学の研究室に変わる仕事部屋と
1万冊を超える書物の保管場所をかねて、
調布近辺に「哲学塾・カント」を開設しようと思います。
将来的には、そこをカフェーないしバーにするかもしれません。
午後5時までは「カフェー・カント」
そして、その後は「バー・カント」というわけですね。
とはいえ、面白半分の場所ではなく、
あくまでも哲学を志す人々の空間です。
現代日本で哲学を学ぶ場所として、大学(大学院)の哲学科
あるいは朝日カルチャーセンターのような市民講座がありますが、
私の目指す哲学塾とは、いずれでもない独自なものです。
大学の哲学科では、主に研究者になるための教育が行われています。
そして、カルチャーセンターでは、教養としての哲学を教えています。
しかし、私は哲学研究者になろうという目的でもなく、
教養をつけたい(簡単にカントのことを知りたい)という希望でもなく、
他の何の目的でもなく、文字通り真理を求める場として
「哲学塾」を開設しようと思います。本当は、皆知っているのです。
「私とは何か?」「時間とは?」「善悪とは?」
あるいは、「神はいるのか?」「私は死んだら無になるのか?」などが、
この人生において最も重要な問いであることを。
しかし、ーーじつに不思議なことにーー、
現代日本にこれほどの学ぶ場があるというのに、
こうした問いを純粋な形で問い続ける場がないのです。
ですから、私が創るしかないと思い立ちました。
とはいえ、こうした問いに答えるのはきわめて難しいものです。
ひとりでいくら考えていても埒が明かない。
答えの糸口でも見いだすには、
これまでの(本物の)哲学者たちの思索の跡を
丹念にたどらねばなりません。
そして、これはかなりの技術と時間を要する地味でくたびれる作業です。
人生に悩んでいるから哲学ができるわけではない。
ただ漫然とすべてのことに疑いを抱くことは、断じて哲学ではない。
恐ろしいほど精緻な言語を噛み砕き、
そのつど正確に自分の言葉で表現できるまでそれと付き合う、
という気の遠くなるほど根気のいる作業を通じてでしか、
哲学の「精神」に触れることはできないと思います。
こういう信念に基づいて、本塾ではデカルトやカント、
あるいはニーチェやウィットゲンシュタインなど、
それこそ死に物狂いで思索した先達の言語と
真剣に格闘する作業を遂行しようと思います。
ですから、じつは「哲学」を求めているのではない人
(救いを、慰安を、虚飾を、同類を求めている人)
やいい加減な態度の人は、あらかじめお断りします。
ただ、真理をーー他の何のためでもなくーー
真理であるがゆえに、求めている人のみ歓迎します。
哲学史の知識は必要ありません。
語学の知識も必要ありません。
ただ、「学びたい」という真摯な意思さえあれば、
頭が悪くても、学歴がなくても、一向にかまいません。
本格的な開校に先立って、
市ヶ谷駅近くにある友達の英語学校の教室を借りて、
早速2008年1月20日(日)
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から、そのための「予行演習」を実施します。
詳細は、URLで?http://
本件に関する問い合わせは次のメールアドレアスにお願いします。
nakajima@hc.uec.ac.jp
【略歴】
1946年7月9日生まれ。福岡県門司市(現・北九州市門司区)出身。東大に大学院も含めて12年も在籍し、その後ウィーン大学へ留学。哲学博士。現在は電気通信大学電気通信学部人間コミュニケーション学科教授。
【主著】
『<対話>のない社会――思いやりと優しさが圧殺するもの』(PHP新書)
『カントの時間構成の理論』(理想社)
『ウィーン愛憎――ヨーロッパ精神との格闘』(中公新書)
『モラリストとしてのカント1』(北樹出版)
『時間と自由――カント解釈の冒険』(晃洋書房、講談社学術文庫)
『哲学の教科書――思索のダンディズムを磨く』(講談社学術文庫)
『「時間」を哲学する――過去はどこへ行ったのか』(講談社現代新書)
『うるさい日本の私――「音漬け社会」との果てしなき戦い』(洋泉社、新潮文庫)
『人生を<半分>降りる――哲学的生き方のすすめ』(ナカニシヤ出版、新潮OH!文庫)
『哲学者のいない国』(洋泉社、ちくま文庫)
『カントの人間学』(講談社現代新書)
『哲学の道場』(ちくま新書)
『孤独について――生きるのが困難な人々へ』(文春新書)
『うるさい日本の私、それから』(洋泉社)
『ひとを<嫌う>ということ』(角川文庫)
『私の嫌いな10の言葉』(新潮文庫)
『「哲学実技」のすすめ――そして誰もいなくなった……』(角川oneテーマ21)
『働くことがイヤな人のための本――仕事とは何だろうか』(日本経済新聞社、新潮文庫)
『騒音文化論――なぜ日本の街はこんなにうるさいのか』(講談社+α文庫)
『生きにくい……――私は哲学病)』(角川書店)
『ぼくは偏食人間』(ラッコブックス)
『カイン――「自分」の弱さに悩むきみへ』(講談社)
『時間論』(ちくま学芸文庫)
『たまたま地上にぼくは生まれた』(講談社)
『不幸論』(PHP新書)
『「私」の秘密――哲学的自我論への誘い』(講談社選書メチエ)
『怒る技術』(PHP研究所)
『ぐれる!』(新潮新書)
『愛という試練――マイナスのナルシスの告白』(紀伊国屋書店)
『カントの自我論』(日本評論社)
『どうせ死んでしまう……――私は哲学病)』(角川書店)
『英語コンプレックス脱出』(NTT出版)
『続・ウィーン愛憎――ヨーロッパ、家族、そして私』(中公新書)
『カントの時間論』(岩波現代文庫)
【訳書】
ゲロルト・プラウス著『カント認識論の再構築』(晃洋書房)