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「深〜い」本・映画・音楽コミュの映画「子供の情景」を観て

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子供の情景  (2007)

英題 ; BUDDHA COLLAPSED OUT OF SHAME

81分

製作国 イラン/フランス


監督: ハナ・マフマルバフ
製作: メイサン・マフマルバフ
脚本: マルズィエ・メシュキニ
撮影: オスタッド・アリ
音楽: トリブ・カーン・シャヒディ

出演: ニクバクト・ノルーズ バクタイ
アッバス・アリジョメ アッバス

父であるイランの名匠モフセン・マフマルバフ監督の下で幼い頃より映画を学び、13歳で早くも長編デビューを果たしたハナ・マフマルバフ監督が、弱冠19 歳で撮り上げた自身初の劇映画となる長編第2作。テロや戦争が絶えないアフガニスタンを舞台に、幼い子供たちの日常を通して、彼らの目の前で日夜繰り返される暴力が彼らに及ぼしている影響を寓話的かつ鮮烈に描き出す。
 タリバンによって破壊された仏像の瓦礫がいまものこるバーミヤン。6歳の少女バクタイは、隣の家の男の子アッバスと同じように自分も学校で勉強したいと思い立つ。ところが、アッバスから学校に行くためには鉛筆とノートが必要だと教えられる。そこでバクタイは、家から卵を持ち出し、それを売ろうと町へ向かうのだったが…。

上記の映画データーベースの記載は本作「鑑賞」後に読んだのだがそれ自体ではこの映画が孕む怖ろしさを語ってはいない。 名匠の子供でも何人もメガホンを執ってそこそこの作を作り出すものもいるが、そういうこどもたちにはここに見るような技術的に稚拙なところは如才なく乗り越えているけれどそれゆえに只の凡庸作におわるものがおおい中、本作での稚拙さが余計に本作の拠って来たところ、出自を明確にするナラティブを浮き立たせる力となって何十年かあとに本作監督が自作回顧のときには本作が彼女の輝かしいキャリアの出発点であったことと共に常に批判とは何かということを問い続けてきた作家であり本作の基盤であった大人の世界がそのときには消滅したことに貢献しえた喜びを語るようであることを望むものだ。

しかし、どうして日本語タイトルはこのように絶望的なのだろうか。 そこでも日本の文化程度が示されているのだろうし、その程度の文化でしかないのだ。 子供の情景、だと。 ものを見ず、映画のタイトルはそのままでは分からないカタカナに恥も外聞もなく羅列して並べてきた文化の程度が、子供の情景、というような情けないタイトルにしてしまいその情けなさを恥じて奈良の大仏が崩れ落ちるぞ、という者がいても奈良の大仏は国家鎮護の目的で座っているのだから文化はその程度でも国家体制には関係ないと半眼を緩めることはない。 けれど本作のバーミヤンの石仏は立ったままで下界で起こることを見晴らし、その様子に恥じて自爆したのである。

子供の世界を大人の世界のミニチュアとして作品になったものには含蓄深い「蝿の王」やまさに文化程度を如実に示して、バミアンの石仏もこれでは恥じるには値しないと天の岩戸に引き篭もってしまうような「バトルロワイアル」というようなものまであるものの、子供が撮ってこどものような大人を無駄な娯楽として楽しませる、大人の世界を馬鹿にしたような「バトルロワイアル」とは違って、本作は19歳の大人が子供を使って子供を見せることで大人を見せ、子供達の遊びが生死を決定し、本作を見た子供にも将来にわたってその印象を保ち続けさせられるだけの恐怖心を植えつける怖ろしい作品なのだ。

今日のニュースでアフガニスタンの大統領とパキスタンの首相がホワイトハウスでアメリカの新大統領と会談し記者団の前に出た新大統領の両アジア首脳に対する態度には硬いものがある、とメディアのコメントがあった。 外来の二人の男たちにアメリカの元大統領夫人である現外務大臣がどのように映るのか、は論外だとしてもホワイトハウスに呼びつけられるもととなった両国の問題地域の男達にはどのように映るのか、またその地域の女性達にはどのように映るのかは興味深いところであり、その声が草の根の政治、ということであるのだが、両国よりも反西欧と政治的には言われている本作のイランであるのだからその国で作られた、巨匠の多感な怖いものしらずの娘が作った怖ろしい映画には種類がまるで違うものではあるけれど羽仁進が昔撮った「青春地獄変」でのマスクと政治にはまるで関係のない怖ろしさがそのシュールさと叙情で共通項をもつような匂いがする。

映画なのだが映画でない、というのはトーンが「フィルム」でないことも一つのりゆうがあるようだ。 ヴィデオの画面であり演出もありヤギが鳴き、番犬が小便し、赤子が泣き、主演も泣きそれらは全て演技であり演技でない。 遊びのなかでその遊びを拒否する主人公は木切れの棒で射撃され死なないがゆえに只の二股の小枝であるカラシニコフで撃ち続けられ当惑するのだ。 死ね、死ね、死なないと遊びは終わらないぞ、という年上の友達は泥だらけになりカラシニコフから出る音だけの弾に当たって倒れるがゆえに生き延びるのだが、そんな遊びを拒否する主人公には喧しく煩い戦争ごっこで死ぬようなばかばかしいことをするなら学校で字を習いお話を聞くために赤子の妹に水で溶いた薄い砂糖水を哺乳瓶で飲ませ、鶏の卵を掴んで鉛筆とノート買うために物売りをし、大人に卵を割られたから充分な金にもならず鉛筆かノートのどっちかしか買えないとなるとノートを選ぶのだ。 鉛筆なら書けるけれどごつごつした岩山の土地ではどこかに書いてもそれを持ち運びが出来ずそれなら何で書いても書いたものは持ち運べるノートを選ぶのだがそれも多くは小枝のカラシニコフで脅され破られてその資材は軍事物の紙飛行機へと作り変えられ爆撃に使われる。 

「スラムドックミリオネア」の成功で金を掴んだ製作者たちは出演したムンバイの子供達のために教育基金をつくり親達に金が行ってしまわないように管理して子供達へのちゃんとした教育が保障されるように見守るとコメントしたことが報道されていたのだが本作の成功はどのように子供達に保障を与えるのだろうか。 作者の身の安全を保障するのを優先するのかもしれない。 もし私がイランの文化担当相なら本作の監督を即刻逮捕して投獄、拷問を加えて更なる物語をつむがせる。 現に今日スーパーへ行く途中に車内のBBCラジオで聴いた、アフガン女性達に加えられる日々の迫害の様子は本作から充分窺えるのであってだからそこでも仏の像があれば憤死するようなこともあるかもしれないがそこは偶像は置かないシャリア法が適応される国である。 けれどそれは偶像も想像も飾りもおかないオランダカルバン派の教会のドグマにあるようでなるほどそうなるとここでも捩れた共通項が幾つかあるようで奇妙な具合だ。

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