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「深〜い」本・映画・音楽コミュの映画; ペルセポリス   (2007)

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ペルセポリス   (2007)

PERSEPOLIS

アニメ映画
95分
製作国 フランス

監督:   マルジャン・サトラピ 、  ヴァンサン・パロノー
製作:   マルク=アントワーヌ・ロベール 、ザヴィエ・リゴ
原作:   マルジャン・サトラピ   『ペルセポリス』(バジリコ刊)
脚本:   マルジャン・サトラピ、  ヴァンサン・パロノー
音楽:   オリヴィエ・ベルネ

声の出演:
キアラ・マストロヤンニ   マルジ
カトリーヌ・ドヌーヴ    マルジの母、タージ
ダニエル・ダリュー    マルジの祖母
シモン・アブカリアン   マルジの父、エビ
ガブリエル・ロペス    少女時代のマルジ
フランソワ・ジェローム   アヌーシュおじさん

イラン出身でパリ在住のマルジャン・サトラピの半自伝的グラフィック・ノベルを、マルジャン・サトラピ自ら監督・脚本で映画化した長編アニメ。イラン革命に始まるイランの激動の現代史を、一人の少女の成長物語に重ね、生活者の目線から皮肉とユーモアを織り交ぜヴィヴィッドに描き出す。共同監督にはヴァンサン・パロノー。ヒロイン、マルジとその母タージの声を担当したのは、実生活でも母娘のキアラ・マストロヤンニとカトリーヌ・ドヌーヴ。

1978年のイラン。9歳の少女マルジはブルース・リーが大好きな元気な女の子。パパとママとおばあちゃんに囲まれ、何不自由ない生活を送っていた。しかし、革命が起きてイスラム政権が誕生すると生活は一変、反政府主義者として投獄されていたアヌーシュおじさんが戻ってくる一方、風紀は厳しく取り締まられ、さらには、イラン・イラク戦争も勃発してしまう。それでもマルジはパンクを愛し自由な心を失わない。しかし、そんなマルジの反抗心旺盛な言動は、自由主義の母をも不安にさせる。そして両親はついに、マルジを混乱のイランから遠ざけるためウィーンへと留学させることを決意する。

上記が映画データベースの記述である。

本作を観て数日後にアカデミー賞の発表があり78年のイラン革命の折、人質奪回を目指すCIAの活動を物語にした「アルゴ(2012)」が幾つかのオスカーを取ったというニュースが流れていた。 そのコメントの中に、国威発揚の活劇であるからアメリカ人にはもってこいの話だろうけれど今のイラン情勢を考えると必ずしもイラン人には歓迎されないだろう、というのがあった。 本作との接点は78年、79年のイランということなのだがアメリカ映画ではある事件に関係したアメリカ人の活劇であり、本作では当時イランの中で育ち外国に出てまた戻り、80年、90年台の戦争を経てついには外国に定住することになるというような、イラン情勢が大きく影響する中で少女から作家になるイラン人のアイデンティーを探る過程のドラマであり、アニメ映画、女性を主役にしたものという違いもあるのだが、ここではアメリカ映画とヨーロッパ映画の違いが対比されるようでもある。

多分「アルゴ」の場合、活劇であるから舞台はアメリカにとってあまり遠くない過去の歴史を絡め、第一次大戦以来綿々と関わってきた海外政策に絡むホットな地域であれば今は多分このあたりであり、ただ、そこで自国の同胞救出譚であるから英雄的な自国民の活躍に眼が行き他はほとんど捨象されてもいいとも勘ぐることができるような体裁であり、そこでは登場人物のそれぞれの生い立ち、寄って立つ信条、当該国に根を張った生活、政治状況、それに対する細かな意見などの要素はテンポを遅くすることはあれ活劇には必要がないとされるのには一定の理解ができるだろう。 

一方、本作ではその活劇では必要の無い要素である個人の生い立ち、そのなかでの両親、家族、周囲との関係や人柄、政治状況が、それぞれ様々に変化する中でその人間関係の変化や、またそれでも変わらぬ関係というものが、観る者誰もの背景と自ずと対比しないではいられないような、殊に、家族と離れて外国で成長するという点においては、日本を離れて外国、ことにヨーロッパで長期滞在したものが必ず通過する、ここにいる自分とは何か、というような自分のアイデンティーと向き合うことが本作では大きな伏流としてあり、自分の物語としてもみることも出来るようでもある。 しかし、多くの日本人には、自国というものは離れていても一定滞在期間が済み日本に戻ればそこには依然として普通の時間が流れており政治状況によって社会、及び人間関係が引き裂かれているというような変化は無い。 けれど中東情勢からすると本作の物語はただ単にイランだけの状況ではないのだ。 今まで幾つもこのような物語がさまざまな地域で、そこに見られるさまざまな絨毯に例えるとそのパターン、色合いが引き裂かれよじれた糸で紡がれて我々の前に提示されているのだ。
 
大量消費物として映画は消費されていくのだろうしその記憶というのは益々短いスパンのなかで他の情報量と押し合い圧し合い泡のように消えていくだろう。 そのなかで幾多の芸術作品を顕彰する賞も受賞作といえどもその影響からは例外では在り得ず、その祭りが済めばもう次の祭りの準備というようなものでもあるのだが我々の限られた記憶に果たしてどのようなものが残っていくのだろうか。

海外に住むものとしては例えば誰かが中東国で攫われたときの話を考えると自分はそこで攫われた者となるのか、その回りにいる地元民かその国にとっての異邦人となるのか、救出するヒーローになるのかで物語りは大きく変わり、その設定の可能性の幾つかからこの二作を考えることが出来るだろう。 そうするともう若くもない自分は日頃、現実感のないアニメを嫌うものではあるけれど政治、異文化、個人史、普遍的な家族愛などという要素を採りいれて画像の素朴さが話の現実の厳しさを和らげる効果として意図されているだろう本作の方に親和力を感じるのは自分としては納得のいくことではある。

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