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「深〜い」本・映画・音楽コミュの映画;ル・アーブルの靴みがき

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邦題; ル・アーヴルの靴みがき   (2011)

原題: Le Havre

96分

監督: アキ・カウリスマキ
製作: アキ・カウリスマキ
製作総指揮: ファビエンヌ・ヴォニエ
ラインハルト・ブルンディヒ
脚本: アキ・カウリスマキ
撮影: ティモ・サルミネン
美術: ヴァウター・ズーン
衣装: フレッド・カンビエ
編集: ティモ・リンナサロ
出演: アンドレ・ウィルム マルセル・マルクス
カティ・オウティネン アルレッティ
ジャン=ピエール・ダルッサン モネ警視
ブロンダン・ミゲル イドリッサ
エリナ・サロ クレール
イヴリーヌ・ディディ イヴェット
クォック=デュン・グエン チャング
フランソワ・モニエ ジャン=ピエール
ロベルト・ピアッツァ リトル・ボブ
ピエール・エテックス ベッカー医師
ジャン=ピエール・レオ 密告者

「過去のない男」「街のあかり」の名匠アキ・カウリスマキ監督が、北フランスの小さな港町ル・アーヴルの裏通りを舞台に贈る心温まる人情ドラマ。ひょんなことから不法移民のアフリカ人少年と出会った平凡な老人が、彼を救うべく近所の人々と力を合わせて奔走する姿を、ペーソスを織り交ぜ優しい眼差しで綴る。主演は「仕立て屋の恋」「ラヴィ・ド・ボエーム」のアンドレ・ウィルム、共演に「マッチ工場の少女」のカティ・オウティネン。

 北フランスの港町ル・アーヴル。かつてパリでボヘミアン生活を送っていたマルセル。今はここル・アーヴルで靴みがきの仕事をしながら、愛する妻アルレッティとつましくも満たされた日々を送っていた。しかしある日、アルレッティが倒れて入院してしまう。やがて医者から余命宣告を受けたアルレッティだったが、そのことをマルセルには隠し通す。そんな中、マルセルはアフリカからの密航者で警察に追われる少年イドリッサと出会い、彼をかくまうことに。そして、母がいるロンドンに行きたいという彼の願いを叶えてあげるべく、近所の仲間たちの協力を得ながら密航費の工面に奔走するマルセルだったが…。

以上が映画データベースの記述だ。 オランダ国営テレビの深夜映画として観た。 観ていてこのような人情話を描くのによく出来ていると思った。 よく出来ているというのは時間軸のことであって本作の様々なシーンで時間が混ざっていると感じることだ。 古い港町の酒場やそこに集う人々、そしてその地区の佇まいは1970年代のものであって映画を観るものの常でその背景の細かな道具の群れがその時代を示唆するのであって例えば登場人物たちの服装、町の佇まいに街を行く車の車種などがその時代の香りを運ぶのだがそこにこの少年をロンドンに渡らせるのに必要な額が3000ユーロであってチャリティーコンサートで集めた紙幣に5,10、100ユーロなどの使い古された札が出、隣人が現在の携帯で密告する場面が出るとそれは70年代ではありえず、警部がカフェーで注文する一杯の赤ワインは2005年の何々だというのと合わせるとそれは1970年代ではありえない。

何故そのようにわざわざ時間の軸をダブらせるようなことをしたのかを想像する。 一つはこれを人情話に仕立てたこと。 今の世界に設定すると厳しいものにならざるを得ず、例えば「君を想って海をゆく (2009)」なり「In This World (2002)」のような時間軸がしっかりした作品とは主題は同様であっても肌触りがかなり違ってくる。 それぞれの作を観たときに次のように書いている。 

http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/62302876.html
http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/28590816.html


その肌触りの違いの理由が原題に示唆されているように思える。 原題では港町の名前が題となっていて必ずしも主人公の靴磨きが話しの中で一人屹立するものでもなく男がそこに今居るということを含めてノスタルジーと人情に溢れる港町が我々のこころに残るという仕組みになっているのだと思う。 登場人物たちを人情に溢れたものに仕上げるというのは現在の移民政策に対する批評であり昔気質の警部の行動にもそれが示されているように見える。

時間軸をダブらせるというのはアフリカからの密航者たちの歴史というのは今に始まったことではない、ということを示唆しているようでもある。 ほとんど毎月、毎週のようにニュースで報道されている海難事故に北アフリカから難民達が粗末な船に押し込まれた末に転覆し死亡するという事故であり毎週何千人という避難民がスペインやイタリア南部の島に押し寄せイタリア政府がそれに対応できず難民の希望するのが北ヨーロッパであれば財政難のイタリアが自分達だけで負担するのは不公平だとEU全体への対処を諮っている現状でもあるそんな一例をとっても移民・難民の問題はアフリカだけでのことでなく戦火がみられる中東、西アジアなど多面的でもある。 アジアに関しては中国人の深く静かに問題として表面にでることの少ない移民の100年以上の歴史が思い浮かばれる。 

話が少々拡散してしまったきらいがある。 先日モロッコ旅行から戻ってきて旧植民地の言葉、フランス語がコミュニケーションとして使われているのに立会い、世界言語の英語の浸透が少ないのを経験した。 本作で少年が自分の父親はガボンで教師だったといいフランス語で男と会話しロンドンに行くのを目的としているのだがもしロンドンに行き着いたとしたら直に英語を習得しそこで生き延びるだろう。 自分の言葉と英、仏堪能な少年になる。 塾も大学教育の語学教育も経ずして習得する世界なのだ。

尚、本作の監督の作、「過去のない男(2002)」を観ていたかもしれないと自分の書いたものを探っているとそれを観た日に観た「キルビル1(2003)」との比較を8年前に書いているものを見つけた。

http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/40103068.html

話はほとんど覚えていなかったけれど男が住む世界と映像の記憶にその感触は蘇り、その中で本作とも通じる作法や音楽などのことに思いが行った。 本作では懐かしい人々の中に生き延びているロックン・ローラーが配置されてそこで歌う場面は「過去のない男」との歌との共通項に括られるものである。

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