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戦争雑学コミュの撃墜王の美談

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先日、歴史街道という雑誌のなかで旧日本海軍航空隊の撃墜王の特集をしていました。
私はその取りあげ方に疑問を感じました。

この話の主人公岩本徹三氏は海軍航空隊きっての空戦の達人だそうです。
中国戦線から太平洋戦争の終戦まで戦い続け個人の記録では202機を撃墜してます。
戦後すぐに病気で亡くなられたそうで、あまり注目を浴びてきませんでした。

独自の空戦法によって撃墜数を重ね、勝ち抜いてきた英雄であることは間違いありません。
しかし、この美談の一方で考えねばならないことがあるのも事実です。
日本軍の戦争遂行のずさんさがたくさん見え隠れしています。



◇名人芸に頼る



その雑誌では、岩本氏が”初陣で数機を撃墜した”ことを好意的に捉えています。
でもそれを額面どおりに受け取ってはいけないと思います。

この岩本氏は優秀な個人であったことはたしかです。
でも部下や同僚はどう考えていたのでしょうね
個人のがんばりだけで戦争に勝てるわけではありません。
そう考えると手放しで賞賛するに値するのかどうか。

一方で初陣で撃墜される搭乗員が多かったのも事実です。
戦闘に無我夢中になってしまい周囲の監視がおろそかになったからです。

空戦の達人といわれた坂井三郎氏も初陣で1機撃墜を果たしています。
そのときには敵に襲われないように先輩達が見守っていたそうです。
空戦が終わってから上官にきつく叱られたと手記には書いてあります。


******

この話を読んで、現代の日本の販売職について考えてしまいました。
よくトップセールスマンの武勇伝が取り上げられます。
こういう個人の営業力に頼る販売会社についてどう思うのか。
個人のがんばりは評価するにしても、会社そのものに魅力は感じませんよね。
そういうトップセールスマンの部下で辞めていく人が多いのも事実です。

******


陸海軍戦闘機隊には統一した戦術というものが見られませんでした。
”空戦性能をいかして格闘戦に持ち込み敵を撃墜する”だけのように思えます
個人の強さだけに頼っていたところがあります。


米軍はそんな日本軍を研究して撃墜されない戦法を編み出してきました。
一対一の格闘戦を避けること、必ず数的優位を作り出すことなど。
また、レーダーを活用し、味方が連携していたことも見逃せません。
日本軍は単に国力だけで負けたのではないということです。



◇搭乗員の補充体制



真珠湾を攻撃した海軍航空隊は当時世界一であったと思われます。
機体の性能だけでなく、各搭乗員の錬度も世界一であった。
彼らが開戦後の快進撃を支えました。

しかし、日本は搭乗員を大量に育成する仕組みが遅れていました。
だから精鋭の搭乗員に頼り続けました。
出撃の機会が多いということはそれだけ撃墜される機会も増えるということです。
※海の上で戦う以上は墜落は死を意味しました。
また、疲労しても前線で戦い続けねばならなかった。
かくしてソロモン沖航空戦で熟練搭乗員を大量に失うと日本軍は一気に弱体化しました。

一方で米軍は大量に養成する仕組みができていました。
がんばったから交代して休んでくれということができました。
それだけではなく、人命を大事にすることも徹底していました。
どちらが国家総力戦に向いているのかは言うまでもありません。

終戦直前には飛ぶのがやっとという搭乗員ばかりになってしまいました。
だから攻撃しても戦果は上がらないし、却って大損害を受けました。
もはや搭乗員の技量においても米空軍には勝てなかったのです。



◇戦闘機の性能



零式艦上戦闘機(ゼロ戦)は優秀な戦闘機であったことは間違いありません。
開戦当初は格闘性能、上昇力、航続距離で他国を圧倒してきました。
しかし、昭和18年くらいからはその優位性が崩れてきました。
もう旧式機となっていたのです。

アメリカはゼロ戦を研究し次々と新鋭機を投入しました。
海軍のF6 ヘルキャット、海兵隊のF8 コルセア、陸軍のP51 ムスタングなど。
ゼロ戦は武装、速力、上昇力で劣りました。
一部撃墜王の活躍はあったもののほとんどの局面で日本は負けているのです。
そこを間違えてはいけないと思います。


日本はゼロ戦の後継機開発が遅れ、ついに登場しませんでした。
局地戦闘機の雷電や紫電改などがやっと新鋭機に対応できるようになったくらいです。


陸軍はもっとお粗末な状態でした。
日本人に人気のある一式戦闘機隼は低速、弱武装で米空軍相手には通用しませんでした。
もともと隼は性能が旧式の97戦より劣るとして一度は不採用になっています。
戦争末期に登場した4式戦闘機疾風によりやっと米軍に対応可能になります。


******


繰り返しますが。
優秀な個人だけで戦争はできるものではありません。
勝つための体制が重要になってきます。

日本の航空隊は”個人としては”非常によくがんばったといえます。
しかし、航空隊としてのやり方は決してほめれらたものではありません。
非効率と理不尽のかたまりだといってもよいくらいです。

”寡を以って衆を制す”とは聞こえのいいものです。
だけどそんな美辞麗句に酔っていると本質を見失うものだと思います。

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