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戦争雑学コミュのノモンハンの戦い2

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ノモンハンの戦いの2回目です。


ここでは情報についてお話します。


この戦いにおいては情報というものをまったく生かしていませんでした。
戦いの後、ある高級将校は言いました


『これほどまでの大兵力であるとは思ってもみなかった』


果たしてそれは本当だったのか?


◎ソ連軍の戦力
◎対ソ情報活動
◎情報をどう解釈したのか


の順番で考えてみたいと思います。



■ソ連軍の戦力


・第一次ノモンハン事件

日本軍2000名に対してソ蒙軍1450名と兵士の数こそ日本軍が勝っていました。
しかし、火力や装備の内訳でソ蒙軍は日本軍を圧倒していました。
それらの差によって、日本軍は壊滅的な打撃を受けました。

・第二次ノモンハン事件

日本軍は1個師団、戦車100台、火砲100門以上を動員しました。
それで『これだけ投入するんだから、今度こそは勝つ』と意気込みました。
ところが、ソ連軍ははるかに上回る戦力を送り込んできたのです。
3個師団(4万人以上)、戦車300〜400台、火砲500門という内訳です。
※これら数字を見比べてみてください。

日本軍首脳部の読みは希望的観測でしかなかったのです。
では彼我の戦力差を本当に読めなかったのか?


■対ソ情報活動


日本側の情報活動が杜撰で、収集能力が著しく低かったのか?
ゆえに戦力差を読み誤ったのか?

そんなことはありません。

むしろ、その反対で日本の対ソ情報網は驚くべきものがありました。
長らくロシア、ソ連を仮想敵国とみなし、情報収集活動を続けてきました。
福島将軍の単騎シベリア横断や明石大佐の攪乱工作だけではありません。
例えば1936年から始まる赤軍大粛清の概要も世界で最初につかんでいました。
また、1936年のソ連軍の戦闘の教科書だって原版を入手していたのです。
そんな中でソ連は『侮れない敵』であるという認識を持ち続けてきました。

それからもうひとつ。
ノモンハンにおける、ソ連軍の兵力を正確に把握していた軍人がいました。
当時モスクワのソ連大使館付武官であった土居明夫大佐です。
1939年6月上旬、第一次ノモンハン事件が終わった直後の話。
事件を憂慮した彼は一時帰国する旨を所属先の参謀本部に要請しました。
帰国の際は、部下といっしょにシベリア鉄道を利用しました。
列車の中から、すれ違ったり追い越してゆく貨物列車を寝ずに観察しました。
その過程で多量の戦車、重火砲が搬送されているのを確認しています。

彼は、大兵力が極東戦線に送られているぞ、これはヤバイって認識しました。
で、関東軍司令部に行ってお偉いさん相手にことの次第を報告しました。

『これほどまでの大兵力であるとは思ってもみなかった』

ってのは言い訳で、実は判っていた話なのです。


■情報をどう解釈したのか


実際のところ『解釈した』のではなく『無視した』と言ってもいい。
土居大佐の情報はなぜ活かされなかったのか?
ここに日本軍の欠陥が潜んでいたのです。

関東軍司令部での報告後、作戦参謀であった辻少佐は彼に言いました。

『そんなことを言うと、若い者がいきりたってあなたを殺すかもしれない。
すでに日本では戦勝祝賀会の準備をしているのだから』

貴重な情報をもたらした憂国の軍人をこんな言葉で脅しています。
こんな程度の人物が重要な意思決定を行っていたのです。

人は誰でも『信じたくないものは信じない』傾向にあります。
また、『受け入れ難い現実は受け入れない』ものです。
しかし、それは時として重大な判断の誤りをもたらすものです。

そして、その辻少佐が甘い見通しのもとに作戦を立てました。
第二次ノモンハン事件で日本軍はさんざんに打ちのめされることとなるのです。


******


ノモンハンで中心的な役割を担ったのはくだんの辻少佐と上官の服部中佐でした。
彼らの立案した作戦のまずさがノモンハンで悲劇を生むことになったのです。

この話には後日談があります。
その辻、服部コンビは、のちにガダルカナル島でも『同じような』失敗をやらかしました。
過去から学ばない彼らのまずい作戦により、多数の将兵が犠牲になっているのです。
にもかかわらず、お咎めは殆ど受けていません。

もうひとつ。
そのガダルカナル島の戦闘に対し辻、服部コンビ復活に猛反対したのが土居大佐でした。
また同じ失敗を繰り返すのか、君らは組んじゃいけないって。
彼らは聞き入れることなく、上司を動かし土居大佐を作戦課から追い出してしまいます。


******


ノモンハン事件についてはすでに多数の優れた書籍が発刊されています。
そのいくつかを紹介しておきます。


・『失敗の本質』野中郁次郎他共著 中央公論社

・『ノモンハンの夏』半藤一利著 文芸春秋社

・『ノモンハン事件 日本陸軍「失敗の連鎖」研究』三野正洋著 WAC

・『情報戦の敗北』長谷川慶太郎編 PHP
※ノモンハン関連は稲垣武氏執筆による


また、戦訓の解釈、ソ連側の資料解明など研究が進んできています。
なので可能な限り最新のものを読むことをお奨めします。



次回は兵站についてお話します。

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