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戦争雑学コミュの硫黄島の攻防

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今年初め、硫黄島攻防戦を描いたアメリカの映画公開をきっかけに日本でもちょっとしたブームになりました。
栗林中将に関する文献が多数出版され、彼の評価が見直された感じです。

今さらという感じもしますが。
私なりに興味を持った点を中心にお話してゆきます。


1.硫黄島攻防戦の位置づけ

まずはざっとおさらい。
すでに知っているという人も多いでしょうが。


☆米爆撃機の中間拠点


4発のエンジンを持った重爆撃機B29はサイパン島などから出撃します。そして日本本土を爆撃しました。
爆撃機の損害を減らすために硫黄島の確保が必要でした。
※このあたりの話は過去の書き込みを参照してください


☆水際撃退戦術


当時の日本軍首脳部の戦術思想です。
上陸用舟艇が海岸沿いに来襲し、兵士が上陸するところを狙って撃退する戦法です。
実際にはうまくいかなかった。上陸前に洋上艦砲射撃、空軍による爆撃等で海岸近くの兵力はほとんど吹っ飛ばされてしまった。サイパン島では、初期の段階で大損害を受け、あっけなく陥落したんです。

硫黄島も、栗林中将着任以前はこの考え方で要塞化を進めていました。


☆持久戦術


栗林中将が評価されているのがここです。
制空権、制海権を握られ、兵力、火力すべてで圧倒されている状況の中で守備隊のとるべき道は”相手に少しでも損害を与える”ことだけでした。
水際撃退の考えを捨て、米軍を上陸させ、惹きつけておいて猛攻撃をかけるやり方でした。
この作戦は当たり、米軍は日本軍をはるかに上回る損害を出しました。

戦後のアメリカで”もっとも優秀な軍人”を選出しました。
日本人では沖縄守備隊の牛島将軍とこの栗林中将が選ばれています。


2.迎え撃つための準備


硫黄島関連の著作で描かれているのは、栗林中将の人柄、将兵の戦いぶりが中心になっています。
でも私が一番注目したいのは戦いのための準備です。


☆受け損な仕事


硫黄島というくらいだから火山の島です。植物は生えにくい。水の事情は最悪です。
しかも激戦になるのはわかっている。栗林中将は赴任を決意した時点で結末を覚悟していたでしょう。

当時の参謀本部は”決して見捨てはしない。十分な援助もするし、空からの支援も行う”って言いました。彼はなんども打ち合わせし、空海の支援を確約させた。
でもこれらはとんだ空手形でした。
はしごをかけて登らせておいて途中で外した感じです。
なんども腐りかけたことでしょう。
腐った気持ちを部下に見せたら、それだけで士気に影響する。
なんどもやめたいって投げ出したくなったことでしょう。
でも上層部の協力なくしてはもっと状況が悪くなる。
こらえるべきはこらえ準備を進めていたことが想像されます。

*****

会社勤めしていて思うこと。
重要な仕事をしていて、最後は上層部、会社の体制が障壁になったときなど本当にやりきれない気持ちになる。
かといって皮肉や怒りをそのままぶちまけても、関係を悪化させるだけ。
相手(客先)があるから腐って投げ出すわけにもいかない。
栗林中将と私を比較するはおこがましいけれど、そんなことを考えてしまいました。

*****

これだけでも彼は優秀な軍人、指導者であったことがわかります。

それにしても。
戦争の推移について調べるほど、日本軍首脳部のでたらめさ、情けなさが浮かび上がってきます。
そのためにどれだけ現場が苦労したことか。


☆優秀な人材の確保


水際撃退戦術を捨て、持久戦術でいくと決めました。
島に敵を上陸させるわけだから歩兵戦闘が中心になるわけです。その時点で自らの意向に沿わない人物を更迭し、最適な人材を呼んでいます。


特筆すべきは仙台の陸軍学校の教官であった千田少将です。
日本の歩兵戦闘の第一人者でした。
中国で武功をたて、凱旋。仙台の陸軍学校に就任。もう将来を確約されたも同様です。おそらくは赴任を蹴ろうとすれば可能だったでしょう。
それが栗林中将の求めに応じてやってきた。
(当時、激戦地への赴任を避けるためか急に病状悪化を訴える高級将校もいたんです)

彼の任された部隊は錬度の低い高齢の兵隊が主体でした。
現役の兵士の半分かそれ以下の能力しかなかったという。
でも短期間で育成し実際の戦闘ではものすごい働きをしました。米軍から”ミートグラインダー(肉挽き機)”といって恐れられました。

他にも栗林中将の参謀には歩兵戦闘の権威で固めました。
彼は誰が優秀なのか実によく知っていたといえる。
また求めに応じて激戦が予想される硫黄島に来させるところもすごい。


☆訓練と基地設営


硫黄島は、基地設営にはきわめて厳しいところでした。
地面を少し掘るとだんだん暑くなってくる。火山島ですから。
砲爆撃に耐えうる、そして相手に死角を与えず、めった打ちにできる陣地を造るのはかなり大変でした。

一方で訓練も怠っていなかった。
兵学校の教官を務めていた将校が多数おり、特に対戦車戦闘について現場で教育しながら戦術を完成させてゆきました。

訓練と基地設営、このバランスのとり方は決して簡単じゃなかったはず。
この兵団は訓練7に対し設営3という配分だったそうです。

*****

人の教育がもっとも難しい。
わかるまで何度でも。
理屈でわかっていてもなかなかできないものです。
召集兵の訓練にはもどかしさも感じたことでしょう。

*****


☆海軍との連携


戦争中通して陸軍と海軍はじつに折り合いが悪かった。
そのことが戦争の遂行に悪影響を与えることもありました。

栗林中将は海軍との連携にも心を砕きました。
ばらばらに戦争していては結末は見えている。海軍の指揮官であった市丸少将とは頻繁に連絡をとっていました。その関係はうまくいっていたようです。
私は優秀な軍人同士、認め合っていたことが大きいと思います。

海軍とはどうしても連携しなければならなかった。
物資を運んでくるのは船だから、当然海軍の管轄です。
陸軍にも平等に物資が供給されないといけない。

*****

会社内でも他部署との連携って想像以上に難しい。
相手を立てるところは立て、言うべきはいいということは言う。どっちが不足してもダメ。
かなり相手側の気持ちに入り込んで仕事をし、やっと相手の信頼を勝ち取る。でも同じ部署からどう思われるのか。決していい評価とは限らない。
そして、相手の担当者が変わったらまた一からやり直しってこともありうる。人間って難しいですね。

*****


この攻防戦、戦術で勝って戦争に負けたと思ってます。
然るべき空海の援護を受けていたら、もう半年準備期間があったら、全く違う展開になったことでしょう。
ただ、これだけの戦いぶりができたのも周到な準備があってのことだと思います。

日本軍は硫黄島や沖縄ですごい戦いぶりを見せつけた。
本土に上陸したら一体どれだけ損害が出たんだろうってアメリカを恐れさせた。
そういう意味でこの善戦は無駄ではなかったというのが最近の見方です。私もこの考え方には賛成です。

なんどもいいますが。
単に戦争はいけない、もう繰り返しちゃいけないってそこで思考を止めてはいけない。

コメント(8)

夏にDVDで「硫黄島からの手紙」を見てから
太平洋戦争に初めて向き合いました。

栗林中将関係の本も読み漁りました…
もっと太平洋戦争について知りたくなってここにやってきました♪

私も単に戦争はいけない、じゃいけないと思います。
ここで思考を止めてはいけないと思います。
もっと太平洋戦争のことを知りたいな〜と思いました。
(あまりにも無知な自分ですが…)
しばらく見ないうちにまた参加者さんがふえ、コメントまでいただいておりました。

>ゆうこ   さん


私の意見に賛成してくれてありがとうございます。

硫黄島の攻防について
歴史に”もし”、”たら・れば”は禁物だといいますが。
”もし”この2つの要素があれば展開が全く違っていました。

☆もし掘削機が硫黄島に到着していたら

大本営は日本各地の鉱山から掘削機を供出するように要請しました。
地下陣地整備のためにです。
しかし、鉱山の反応は”ダメ”。
たいした構造でもない。製造するのはたやすいものでしたが。
やむをえずつるはしで掘っていました。
もし掘削機があれば、決戦前に擂鉢山と司令部を結ぶトンネルが完成していたでしょう。司令部の命令が届いて簡単には落ちなかったでしょう。

☆もし、擂鉢山の砲台が米軍の上陸用舟艇を攻撃しなかったら

たしかに上陸用舟艇は損害を受けました。
でもそれは微々たるものでした。
逆に米軍は砲台の位置を突き止め、砲爆撃で大半を潰しました。
作戦では、米軍が上陸してくるまで攻撃厳禁だったんですけど。
もし、これら砲台が健在であれば、上陸してきた米軍はさらに損害を増し、負け戦になったとしてもおかしくないものでした。

そう考えると、栗林中将の構想にはものすごい価値があったということになりますね。
擂鉢山と司令部を結ぶトンネルが完成してなかったのは
本当に残念なことです。

使うことがないであろう滑走路も完成するように指令があり
そちらにも労力を使わなくてはいけない状況だったとも
どこかに書いてありました。

擂鉢山の砲台の攻撃も痛かったですね
敵を目の当たりにして冷静さを失なってしまったんでしょうね…

太平洋戦争と書きましたが、大東亜戦争とも言っていたんですね?
硫黄島とは関係ありませんが、たまたま家にあった「黎明の世紀」深田祐介著を
読み始めてます。
なぜ太平洋(大東亜)戦争はおきてしまったんでしょう〜?(初歩的な質問でスミマセン)

それがわかりやすく書いてあるお勧めの本などありましたら教えてください。
>なぜ太平洋(大東亜)戦争はおきてしまったんでしょう〜?


いい質問です。また、当然思う疑問ですね。
この質問に簡単に答えられるのは、相当に精通しているひとだけではなかろうか。
太平洋戦争の歴史について調べるほど、その疑問に答えることが難しくなります。

日本国内の人工増加に伴う食料の確保という問題がありました。
世界恐慌のあおりをうけ日本経済も大不況であったこともそう。
中国における日米の利権争いも見逃せない。
軍部はなぜ台頭してきたのか。

私もきちんと答えられません。


>それがわかりやすく書いてあるお勧めの本などありましたら


これも実は難しい問いかけなんです。
なぜか。
太平洋戦争の歴史書の決定版がないから。
少し前まで、やれ思想が右だ左だってへんな議論をこねくりまわしていました。
あるものは日本軍、日本の行動をを美化するようなもの。
かたや”戦争はいけない、繰り返してはいけない”調のもの。

高級将校だった人が書いたものは、美化したり、かばいあいしたり、自分に都合の悪い部分をぼかしたりするものです。

歴史の解釈については、最新のものをよむことをお勧めします。

私が太平洋戦争について興味をもつきっかけになったもの。
『太平洋戦争の謎』佐治芳彦著※かなり以前のものです。
ある程度割り引いて捉える必要はあると思います。
ただ、ここに書いてあることが気になって他の本を読んで調べたりしました。


いずれもすっきりしない答えになってごめんなさい。
まだちゃんとした 誰もが納得できるような解釈はないんですね。
といより、ちょっとしたボタンの掛け違いだったんでしょうか…

「黎明の世紀」の中で東条英機はそんなに悪い人には思えませんでした。
私の印象ではA級戦犯の代表の悪人のイメージだったんですが、そう教えられてただけなんですね。
(教科書レベルの知識だったので)

PEDROさんの説明はわかりやすく読む本も選んでいったほうがいいのかなと思いました。
『太平洋戦争の謎』も近いうちに読んでみようと思います。

ありがとうございました♪でも、これからもよろしくお願い致します。
他の本に浮気していてやっと「黎明の世紀」読み終わりました。

東條英機はそんなに悪い人には思えないと書きましたが
最初の方だけ読んだ無責任な感想でした。

日露戦争で日本が(アジアで)初めて西洋に勝ち
中国(満州)を日本の植民地のように支配した奢りの気持ちが
太平洋戦争に向かわせたんでしょうか?

「大東亜会議」を中心に書かれた本でしたが
アジア各国の代表の人柄がわかりなかなか興味深い本でした。
アマゾンでの評価はイマイチでしたがなにも知らない私にとっては
記念すべき第一歩でした。

日本の将来も上に立った人の考え方次第で変わるんだな〜とも実感しました。
>ゆうこ   さん

「黎明の世紀」読破おめでとうございます。
私はかなり以前途中で挫折してそのままです。
内容も忘れちゃいました。


>東條英機はそんなに悪い人には思えないと書きましたが
最初の方だけ読んだ無責任な感想でした。


この人の評価については、まだ研究の余地があります。

自分に反対する意見をもつ軍人を予備役におくったり、反対勢力に対し憲兵を使って弾圧したから”分りやすい悪人”であると言えます。
かといってヒトラーやムッソリーニにような独裁者では決してない。
国および天皇のためを思って行動したのも事実。
家族(遺族)に一切弁解するなと言い残しています。

一方で、戦争全体の設計ができずに、まずい戦争遂行のしかたをしてきたのも事実。
硫黄島に向かう栗林中将に対し”アッツ島のようにやってくれ”(=玉砕して死んでくれ)なんて言葉をかけてるんです。ふつうなら、”アッツ島のようにならないでくれ”って言うべきでしょうが。


>日露戦争で日本が(アジアで)初めて西洋に勝ち
中国(満州)を日本の植民地のように支配した奢りの気持ちが
太平洋戦争に向かわせたんでしょうか


いい着眼点だと思います。このお考えを出発点にして、いかに戦争に突入したのか調べてみてはいかがでしょうか。
陸海軍の士官学校で純粋培養されたエリートがなにをやらかしたのか。
なぜ軍人が政治に口を出し、制御がきかないほどに暴走したのか。

いずれも大きな題目です。
またご意見をきかせていただけるとうれしいです。
調べていたら「黎明の世紀」は大幅な加筆と修正を加えられ
「大東亜会議の真実 アジアの解放と独立を目指して」という本になっていました。

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