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2020年03月28日01:47

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ショスタコーヴィッチの前奏曲とフーガ

基本、一部の特例を除き、私はショスタコーヴィッチは聴かない。
交響曲は全くもって自ら聴いた記憶がない。
一生、彼の音楽を聴くことはないと思っていたのだが…

例外があった。
友人からのメールがきっかけ。
バッハ没後200年の1950年、本国ソ連で仕事を干されていたショスタコーヴィッチが
ライプツィヒに招かれ、ニコラーエワのピアノに感動し、彼女に献呈した曲集。

200年以上の時代の隔たり、第一次と第二次大戦を生きた作曲家の屈折と絶望が織り交ぜられてはいるが、ショスタコーヴィッチ版平均律クラヴィアと呼んでも何の違和感もない、多分バッハも喝采を送るだろう傑作だと思った。

本家の平均律とは異なり演奏家の数も録音も少ないけれど、この曲集を献呈され、ショスタコーヴィッチ本人にもアドバイスしたとかしないとか数多くの逸話を持つニコラーエワが別格らしい。
1962年、87年、90年と3回も全曲を録音。
米国サンフランシスコでの演奏旅行中、この曲を弾いた後、異国で客死したというから運命的な楽曲だったのだろう。
私は1987年のメロディア録音、REGISリマスター盤を聴いた。
リヒテルの平均律であれだけ大失敗の録音をやらかしたメロディアにしては悪くない録音。
全体的にクールな響きの中にショスタコーヴィッチの宇宙観や死生観みたいなものが入れ替わり立ち代わり現れる。
全部が全部好みではないけれど、楽曲によっては最も好きな平均律の何曲かに匹敵するクォリティを持つ曲があったのには驚いた。

ニコラーエワの演奏で定評のあるのは1987年盤だが、最晩年に英国ハイペリオンに遺した1990年盤も相当良さそうだ。

ただ、彼女ほどの巨匠格ではないが、
1.豪州のロジャー・ウッドワード、
2.リトアニア生まれのムーザ・ルバツキーテ
3.ロシアのコンスタンティン・シチェルバコフ
4.カナダの俊英デヴィッド・ジャルヴェール
5.ケルン・コンサートとスタンダード・トリオのキース・ジャレット

今でも入手可能なもので主だった演奏がこんだけある。
2は買った。ブリリアント・クラシックという超廉価盤専門レーベルが例外的自社新録した盤でリトアニアの女性ピアニストの解釈は聴き応えがある。

1はバッハの平均律で私が最も好きな平均律全集のピアニストの一人。ただ、70年代とニコラーエワの2回目より大分古い。どんな演奏なのか予測不能。

3は軽く試聴したが悪くないと思った。
4はフォーレのノクチュルヌ演奏で完璧とも思える解釈をした才人。軽く試聴したところ、すごく遠い響きで深みがある感じ。多分、少ししたら入手することになると思う。
5は予想外。バッハとモーツァルトはドヘタなのに何故、ショスタコーヴィッチはこんなに上手いのか!と驚くべき真っ当な解釈と思った。

まずはニコラーエワとルバツキーテをじっくり聴き、曲の解釈を深めよう。
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