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2019年10月08日09:51

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(特許事務所)偽装請負と労働条件の不利益変更

労働条件の不利益変更は、常識的に考えて違法と思えるが、ではどの法律でこれが規定されているのか。私は、労働基準法の中にそれがあるものと思っていたが、どうやら労働契約法のようだ。労働契約法の第9条と第10条は、次のように規定している。

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【労働契約法第9条】

使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

【労働契約法第10条】

使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
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特許事務所経営者が労働者を偽装請負させるとき、特許事務所経営者は、「雇用ということじゃなく、事務所内で就労して欲しい」というようなことを言う。この「雇用ということじゃなく」とはいったいどういう意図から発せられたメッセージであると解釈するべきだろうか。

私の最近の解釈では、その労働者に対して「雇用」から「請負」への形態の変更を「労働条件の不利益変更」のカテゴリーに含まれないようにしたい、という思惑から発していると解釈できるような気がする。

つまり、労働者を事務所内就労させて、指揮命令に服させるような就労形態に置くと、これはその労働者を「雇用」したことになる。従って、この労働者には「雇用主に雇用されている労働者」という法的地位が発生することになる。従って、当然のことながら、労働基準法や労働契約法のような労働法が適用される。ということは、この労働者に対して、「労働条件の不利益変更」は安易にできなくなることは当然である。

ところが、特許事務所経営者は、「雇用」から「請負」という形態変更を、法律に縛られることなく自分の都合だけで行いたいという思惑があるのである。そのためには、最初の「事務所内就労」は「雇用ではなかった」ということにしておきたいのである。そこで、特許事務所経営者は、「雇用ということじゃなく、事務所内で就労して欲しい」というようなことを言うのである。

では、「雇用ではない事務所内就労」とはそもそも何なのか。これは、労働者を事務所内就労させて、指揮命令に服させるような就労形態に置くと、これはその労働者を「雇用」したことになるので、「雇用ではない事務所内就労」とは「雇用ではない雇用」と言っていることになり、まったくおかしなことになるのである。

この就労形態は事実上、「偽装請負」といってもよいと思う。偽装請負は、厳密には、労働者派遣の過程で派遣労働者の派遣元における雇用が崩れることで発生したものを指す。だがこの「雇用ではない事務所内就労」は、労働者が置かれている状態を相互比較すると「偽装請負」と同等とみてよい。必然的に、この内容を契約書にまとめることなどできない。しいて契約書を作るとすれば、偽装請負契約書とでもいうよりほかない。
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