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2019年09月12日09:42

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本を読みましょ:その6

好きな本、その6です

「愛の生活・森のメリュジーヌ/金井美恵子」
著者の初期の短編を集めた1冊。
少しとっつき難い作品もあるのだけれど、この1冊を選んだ理由は「兎」が収められているから。
この「兎」という作品、変態的でもあり、エロチックでもあり、グロテスクでもあり、スプラッターでもあり、そこらへんのホラーよりも怖いのに、フワフワとした白い兎の如く、どことなく可愛らしい雰囲気もある。
とにかくこの1編だけでやられてしまった(他の作品も面白いですよ!)。

「猫を抱いて象と泳ぐ/小川洋子」
僭越な言い方が許されるのなら、僕にとって小川洋子さんって中距離ヒッターだった。
それがこの「猫を抱いて象と泳ぐ」は代打逆転サヨナラ満塁ホームラン、というとてつもない1発だった。
ジョン・アービングを想起させるストーリーテリング、なんて書いたら褒め過ぎかなぁ。
大きな輪が収まるべき場所できちんと完結される展開。
それになんといっても切ない。

「蛇を踏む/川上弘美」
柴田元幸に「川上弘美は英訳できない」と言わしめたくらいに、ユニークな日本語表現をする人。
これがまたとても魅力的で、一度その世界にはまってしまうと、中毒になる。
表題作の「蛇を踏む」は芥川賞受賞作。
ちょっととぼけた感じのマジックリアリズム、って感じだろうか。
心地のよいウソの世界が広がっている。

「母の発達/笙野頼子」
殺しても死ななかったお母さんが「あ」から「ん」までに分裂、増殖して、再構築されたのが娘のヤツノ、といったお話(訳が判らないでしょ)。
まさに「ギャク」といった感じなのだが、非常に読みごたえがあって面白い。
今年の芥川賞受賞者の今村夏子さんが「太宰」「三島」「芥川」の三冠と騒がれているが、この笙野頼子さんも「野間」「三島」「芥川」の三冠達成作家である。

「契約 鈴木いづみSF全集/鈴木いずみ」
僕と同じ誕生日で、あの阿部薫の奥さんで、首を吊って死んでいった、という女流作家。
間違いなく好き嫌いが別れるであろう、非常に強烈な世界を描いており、文章も上手いんだか下手なんだかわからないけれど、その感性だけで全てが収まっている、といった印象。
本書は全29編からなる短編集で、発表順に収められているので、彼女の作風の変遷を垣間見ることも出来る。
小説以上に異様な世界観が語られている彼女のエッセイも強烈。

Picture Book/The Kinks

In My Book/The Easybeats

Book Of Your Heart/U2


ということで、今回はここまで。
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