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2015年09月18日15:30

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『常識についての一考察』第1話

 意外に需要がありそうなので、『双子女体化ネタ覚え書き』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5783594を作品化してみました。
 プロットの段階ではコメディだったのに、妄想を練るうちにエロエロになりました。妄想力は偉大なり。
 例によってオリジナルキャラが双子と絡んでます。オリキャラの嫌いな方は見ないように。
 アケローオスについては、『ハルモニアの首飾り』『ドナウの白波 黄金の酒』『セクアナの泉』『例えばこんな愛の形』『執着と愛の境界線』を参照。双子のオリジナル少年時代設定については『雪解け』を参照。
 ロスサガでラダカノで、アケローオスとアイオロスとサガが3Pして、アケローオスとカノンとサガが3Pしてます。冥界勢以外、もれなく頭がイカれてます。なんだかんだでアケローオス兄ちゃんの口車に乗せられているサガ。君はもう少し人を疑うことを覚えたほうがいい。

『常識についての一考察』第1話

 よく晴れた秋の一日だった。
 その日、休日だったサガは、一日かけて肉体の鍛錬を行った。聖域の周囲を走ってマラソンをし、筋肉トレーニングを行い、武技の型を繰り返した。そして最後に聖域のはずれにある巨大な岩盤に向き直り、小宇宙を高めた。
「はあああーっ!」
 気合いとともに拳を繰り出す。岩の原子が砕かれ、粉砕された石が飛び散り、砂煙が舞う。それが収まった跡には、巨大なクレーターが残されていた。
「…よし。良い仕上がりだ」
 拳を腰のあたりに構えたサガは、力強くうなずいた。普段は教皇の首席補佐官としてデスクワークを主にしているサガだが、いつ何時、双子座の黄金聖闘士として出撃する機会があるか分からない。技の切れや力に衰えがないことは、戦士として満足すべきことだった。
 そうしてサガは鍛錬を終え、共同浴場で一風呂浴びて家に帰ろう、と帰途についた。
 この時、サガは気がつかなかった。
 聖域には、古くからの神々やニンフを祭った祠があちらこちらにある。聖域の住人たちは代々それを大切に守り、季節の花や焼き菓子などを供えてきた。だが祠の中には、あまりに辺境にあり、規模も小さいがために、人々からも忘れられてしまったような祠もある。そんな祠でも、神々やニンフは住んでいた。
 サガが聖域のはずれにある岩盤をその拳で砕いた時、その衝撃で別の場所で岩が落下した。そしてその岩は、そんな忘れられた祠の一つを直撃し、壊してしまっていたのだった。

 教皇の間の執務室に入った教皇アイオロスは、首をかしげた。彼よりも早く執務室に登宮しているのが常だった首席補佐官のサガが、まだ姿を見せていなかったからだ。サガにしては珍しい、とその時は思っただけだったが、時が経ち、午前十時を過ぎても、サガは登宮してこなかった。
 不審と心配が募ったアイオロスは、執務に従事していた事務官の一人を呼んだ。
「何でしょうか、教皇」
「悪いが、居住区まで行ってサガの家の様子を見てきてくれないか?サガが届け出もなく遅刻するなどおかしい。もしかしたら急病にでもなって動けなくなっているのかもしれない」
「分かりました」
 こうして事務官は十二宮を下り、居住区のサガの私宅を訪ねた。
 玄関の扉をノックし声をかけたが、サガの返事はない。
「サガ様?失礼します」
 鍵はかかっていなかったので、事務官はそのまま扉を開けて家の中に入った。居間や食堂を見たが、人影はない。彼は家の奥に進み、寝室の扉を叩いた。
「サガ様?何かありましたか?」
 やはり返事はなかったので、事務官は不審に思いながら、扉を開けた。するとベッドの上に、毛布をすっぽりとかぶってうずくまっている人影を発見した。
「サガ様?」
「……」
 それでも返事はない。事務官は寝台に近付き、思い切って毛布を剥ぎとってみた。
「サガ様、一体なにが…」
「さ、触るな!」
 毛布の下から現れた人の姿に、事務官は呆然とした。

 最初、事務官に連れられて教皇の間に来たその人物がサガだとは、アイオロスは気づかなかった。サガならば事務官よりも背が高いはずなのに、その人物は事務官よりも頭一つ分ほど背が低かったからだ。マントで全身を覆い、フードを目深にすっぽりとかぶって顔を隠している。
 困惑した表情でその人物を案内してきた事務官は、執務室でその人物をアイオロスに引き合わせると、自分は退室した。
 アイオロスと二人きりになると、その人物がフードとマントを脱いだ。
 そこには美しい女性が立っていた。やや癖のある、青みがかった長い銀髪をしている。瞳は真昼の空を映した泉のように澄んでいた。肌は真珠か象牙のような滑らかで美しい白。手足はすらりと長くのびやかで、肩は小さく、腰は細く、それでも豊かな胸は服の下から存在感を主張していた。衣服は丈長のチュニックを着ていたが、サイズはぶかぶかで、肩があらわになってしまっている。足は裸足のままだった。儚げで繊細な顔には怯えたような表情を浮かべているが、それがかえって保護心と嗜虐欲という真反対の感情をそそられる。
 見覚えのない女の姿に、アイオロスは執務机の前で困惑した。
『この女が、サガの寝室にいた?サガが女を家に連れ込んだ?いやいやいや、ないないない、それはない』
 と、アイオロスの頭の中でぐるぐると思考が回る。
『それに姿がサガに似て…。なら、サガの妹か姉?そんなのがいたのか?それに、そもそもサガ本人はどこに…』
 その時、アイオロスは女から感じる小宇宙が、よく知る人物のものと同一であることに気付いた。恐る恐る、アイオロスは問うた。
「いや…まさか…、サガ、なのか?」
 その名をアイオロスが口に出した途端、女は両手で顔を覆って堰を切ったように泣き出した。
「えええええっ!サガ!?本当にサガなのか!?どうしたんだ、その姿は…!?」
「わ、分からない…」
 泣きじゃくりながら女の姿になったサガが答えた。
「け、今朝、目を覚ましたら、こんな姿になってしまっていたのだ!ど、どうしよう、アイオロス。私は病気か何かになってしまったのだろうか。い、いやだ、こんな姿…元に戻りたい。どうしたら戻れるのだろう」
 アイオロスは執務机から立ちあがり、泣き崩れたサガの傍らに移動した。
「大丈夫、サガ、落ち着いて」
 そうしてサガを長椅子まで連れていき、座らせる。戸棚からブランデーの瓶とショットグラスを取り出し、グラスに少しブランデーを入れて泣きじゃくるサガに差し出した。
「さあ、これを飲んで、サガ。気分が鎮まるから」
「…う、うん…ひっく…うう…」
 涙をぬぐいながら、サガはブランデーを少しずつ口にした。その隣にアイオロスが腰を下ろす。サガの背を撫でてやり、彼が落ち着くのを待った。
「しかし、驚いたな?本当に女になってるのか?」
 ようやく涙が収まり、少し落ち着きを取り戻したサガが答える。
「見た感じでは…多分、そうだと。胸もあるし、体つきも丸くなっているし、その…性器も…女性のものになってしまっているようだ」
「何か心当たりは?」
 ふるふるとサガは首を振った。
「分からない…」
「一夜で女の体になるなんて、超常の力が絡んでいるとしか思えないな。何かの神の悪戯だろうか」
「…あ、そういえば…」
 と言ってサガは話し始めた。
「昨夜、夢を見たのだ。恐ろしい形相の女が私をにらんでいて、今まで守ってやったのにこの恩知らず、力を萎えさせてやる、と私を罵る夢だった。あれは予知夢か、正夢だったのかもしれない」
 アイオロスが首をかしげる。
「神霊(ダイモン)か何かの怒りを買ってしまったのかな?」
「何だろう?私、何かをしてしまったのかな…。でも思い当たることなんて…」
 サガは色々と考え、思い出そうとした。確かに過去に多くの罪を犯したサガだが、だからといって今その罰が「女になる」などという形で現れたとは思えない。最近、何かをしてしまったのだろうかと考えを巡らしたが、やはり思い当たることはなかった。
「とりあえず、来月にはアテナが聖域に来られる。その時にご相談してみよう。アテナがお前の体をご覧になれば何か気付かれるかも知れないし、もしかしたらアテナの御力で元に戻れるかもしれない」
「そ、そうだな。アテナをわずらわさせてしまうのは、申し訳ないけれど…」
「今日のサガの勤務は休みにするから、色々とそろえるといいよ。いつまで女の姿でいるか分からないけど、とりあえず服とか下着とか靴とか、サイズの合った物がいるだろう?それから施療所に行って、健康診断を受けてきて。体のことをきちんと調べてもらったほうがいい」
「う、うむ。そうする。すまない、アイオロス」
「サガが謝ることは何もないよ。大丈夫、きっと元に戻れるから」
 そう言ってアイオロスはサガを励まし、家に帰させたのだった。

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