今年度京響のベストとして、4月のネステロヴィチさんとどちらにするか悩むが、今は迷いなくこちらを挙げる。
京都 京都コンサートホール大ホール
京響 第674回定期演奏会
鈴木 優人指揮 京都市交響楽団
(コンサートマスター 会田 莉凡)
プロコフィエフ:古典交響曲 作品25
ストラヴィンスキー:弦楽のための協奏曲 二調
ラフマニノフ:交響曲 第2番 ホ短調 作品27
前半は、冷涼な触感の中で色彩を変えていく、北欧を思わせる京響ストリングセクションの魅力炸裂。思い出せば、4月もこのサウンドに魅了されたことを思い出す(
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1982135896&owner_id=28135846)。また、鈴木さんの持つモダンで粋な感覚(この人、古楽出身という思い込みで判断すると、大間違いだと思います)が、この二曲にピッタリ。
そんなもので、後半のラフマニノフ、ぐすたふくんにとっては初めて接する鈴木さんのロマン派交響曲ということで、どうなることかと思いきや・・・これがまた、素晴らしい聴きもの。
ラフマニノフの旋律って、インテンポでやるのではなく、独特の「こぶし」を効かせる必要があると思うのだけれど、第1楽章の第1主題の歌わせ方を聞いた瞬間、やられた、と思いましたね。感傷に溺れず、決して下品にならず、その一方で十二分に歌を乗せていく。時にそれは、「高貴」と言っていい表情すら見せる。
そして、その歌が京響の優秀な木管陣に舞い降りたとき、まるでサイレント映画の感動的な1シーンを見るかのような感興が胸に湧く。その最たるものは言うまでもなく3楽章のクラリネットソロであって、小谷口さんの奏でるその音は、水平線も地平線も超えて、この世界の果てまで真っすぐに延びていくかのようで・・・・この時間、その場所にいることができた幸福感は何物にも代えがたいものでした。
このコンサートを聴いてしまうと、なぜどうして鈴木さんが関西フィルに取られてしまったのだろう、鈴木さんと京響でこそ成し遂げられる音楽があるはずなのにという、嘆息とも嘆きと愚痴ともつかない感情に囚われる僕がいるわけで・・・・望むらくは、藤岡さんのおかげでできた関西とのご縁、京響とも是非とも続いてほしいと思うのでありました。
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