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2022年04月23日00:59

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郷古さんに引かれて行った先は・・・・京響定期

予想をはるかに超えた・・・おそらくは、忘れることのできない演奏会体験。

京都 京都コンサートホール大ホール
京響第666回定期演奏会
ミハウ・ネステロヴィチ指揮 京都市交響楽団
(コンサートマスター 泉原隆志)
ヴァイオリン独奏 郷古 廉
キラール:弦楽オーケストラのためのオラヴァ
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
(アンコール バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番から「アンダンテ」)
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 作品68
(アンコール ミロスラフ・スコリク:メロディ・フォー・オーケストラ)

出かける前のぐすたふくんの本音は、郷古さんのメンデルスゾーンが聴ければそれでいいや、オラヴァも聴きたいけど間に合わないかもしれないしなぁ、海のものとも山のものともしれない指揮者のブラ1、どうでもいいから途中で帰ってもいいかも、てな具合の極めて不遜なもの。

それが、帰り道では、偶然お声がけいただいた知り合いのご婦人に、抑えることのできない感動の想いをとめどなく吐露することになるのだから・・・本当に演奏会とは、「一期一会」、わからないものです。

プログラムを開いて、まず息を飲んだのが・・・キラールという作曲家、ポーランド人だがなんと今ニュースでその名を見ない日のない現ウクライナ・リビウの出身であるという記載。このプログラムが組まれた時には、まさかこんなことになっているとは、誰も予想しなかっただろうに。

そして始まる「オラヴァ」・・・これがまた、凄まじい演奏。京響ストリングスの音色の万華鏡。大人数元弓ダウンボウの悦楽、駒近ボーイングの異音の快感・・・それが、ダンス・リズムの高揚に乗っかってクライマックスに突進していく様は、圧巻というほかになんと言えばいいのだろう。僕が渇望していたこの曲のベストパフォーマンスが、まさか今日ここに実現するとは。

一方、楽しみにしていた郷古さんのヴァイオリンは、「何も足さない、何も引かない」「止め、はね、払いをきっちりと決めた」パーフェクト・パフォーマンスの美。まるで、内村航平の鉄棒を見ているよう。そして、それにつける京響のサウンドの熱気もまた半端ない。ただ、もう少し音量を落としてもらった方が、大仰さを排した郷古さんのヴァイオリンが聴こえやすかったかも。

そして、全く期待していなかったブラ1が、強固に鳴らされるベースの上に余分な力を抜いたヴァイオリンを乗せ、馥郁たる響きで堂々と演奏されるに至っては、完全にノックアウト。京響がこんなブラームスを演奏できるなんて、という言葉が思わず口をつく。この指揮者、ハッとするようなダイナミクスの変化も仕掛けて聴き手を飽きさせることがなく、なんとも心憎い限り。

最後は、泉原さんの「マエストロと京響は、ウクライナの犠牲者にこの曲を捧げます」という言葉とともに始まるウクライナの作曲家の「万感の音楽」。その時、僕は「今」「この世界で」「この生を」享受していることの意味をかみしめる。

ただ、言いたい・・・マエストロ、そして京響のみなさん、今日という日を、この時間を、本当にありがとう。

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