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2022年08月06日20:27

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資本家を喰い殺せ!「ジュラシック・ワールド 新たなる支配者」

このシリーズの1作目である「ジュラシック・パーク」を、本当に久しぶりに観返しました。
さすがスピルバーグ!
唸る様な面白さです。

序盤の、恐竜テーマパークのワクワクするような楽しさから一転、恐竜が暴れ出すと本当に怖い、ホラー映画やパニック映画として本領を発揮します。
実は死人が3人しかいないのに、今観ても怖さを感じる作品です。
その一番の理由は、何と言っても悲惨な目に遭うのが子供だからでしょう。

ここまで子供を痛めつけるか?
これはもう虐待?
そんな、スピルバーグの子供に対するサディスティックな嗜好を感じさせるほどのシーンの連続。
この映画を子供の頃に観てトラウマになったという人は少なく無いみたいです。

でも、そんなトラウマを受けた人の多くが、このシリーズのファンの中心だとも言えます。
楽しい可愛い、愉快な恐竜なんて、クソ食らえ!
人間を踊り食いする恐竜が見たくて映画館まで行くのだ、という人達は、今回の完結編をどう思ったのでしょうか。

4作目の「ジュラシック・ワールド」は、そんな観客の期待に限りなく応えてくれた映画だったと思います。
僕も一番好きな作品ですが、テーマパークで平和に、楽しげに過ごす何の罪も無い人々が突如恐竜に襲われ、ジャンジャン食われてしまうという阿鼻叫喚の地獄絵図!
これが大ヒットの一番の理由だったはずです。

ところが、続編の「炎の王国」は、誰も予想も期待もしていなかった場所へ騙されて連れていかれた様な作品でした。
炎の王国は前半だけ、後半はお家の中で人間と恐竜の鬼ごっこを見せられたあげく、クローン少女が登場して、恐竜を鮎の様に世界に放流してしまうという展開に唖然。
まあしかし、これでめでたく恐竜が人間を踊り食いできる準備が整ったというわけで、その長いプロローグだったと(無理やり)納得したのです。

さあ、遂に踊り食い映画の公開だ!
踊り食いファン達はこの酷暑の中、わざわざクーラーの効いた部屋から飛び出して劇場へ足を運びました。
政治家も資本家もカルト教団も会社の上司も、みんな喰ってしまえ!
そんな、はち切れんばかりのみんなの期待は、上映開始後数分で溶けて乾いてしまいます。

エッ、恐竜って、ただの迷惑系動物だったの・・・!

時々人を襲うけど、私たちは元気です!
そんなお便りをもらった様な、あっさりとした人間と恐竜の共存ぶり。
もちろん被害はあるのですが、迷惑系YouTuberの被害程度で、割と楽しくやっているのです。
バカ言え!
そいつら食べるぞ、人間を!

そして・・・。
今回の映画で、またしても知らない場所へと観客を拉致、監禁してしまうのです。
偽物スティーブ・ジョブズによる、お化けイナゴを使った壮大な世界征服計画を阻止せよ!という、全然恐竜関係ないお話が始まってしまいました。
やられた、またしても・・・!

1作目を予習しておいたのは正解でした。
本作はかなり1作目オマージュが多く、登場人物も再登場するので、これだけでも先に観ておいた方が吉です。
オリジナルメンバー以外にも、たくさんの恐竜があちこちで登場して「気を取り直して楽しんで!生活のためにみんな頑張って活躍するから!」と歓迎してくれます。
見せ場だけならたくさんあって、ポップコーンを食べながら(久しぶりに買いました)楽しむなら十分満足できる作品にはなっていると思います。
可愛い赤ちゃん恐竜も出てくるしね!

問題は完全に脚本でしょう。
まるで全然関係ない映画の企画が先にあって、それを急遽ジュラシック・ワールドとして上から塗りつぶした様なお話。
これを人気長寿シリーズの完結編にするというのは相当厳しいものがあると思います。

金儲けを目的に生み出された恐竜に、しっぺ返しを食らう。
1作目で描かれたシンプルなお話を深堀しても、無理が出るだけでしょう。
4作目のジュラシック・ワールドは、パート1の「もしも完成していたら」バージョンとしてのリメイクだったと思うのですが、あれで完全に終わるべきだったと思います。

まあしかし、無理に続けるなら続けるで、もうちょっとエモーショナルな展開は考えられなかったのでしょうか。
本当に、感動とか怒りとか恐怖とか、そういう感情を揺さぶるものは皆無だったと思います。

みんなで与えられたノルマを無表情で律儀に達成し、とにかくどうにか完成した。
そんな公共事業みたいな映画でした。
巨大資本は恐竜さえも、易々と飼いならしてしまったのでしょう。
新たな支配者はいつまで待っても現れないわけです。

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