出前の心意気

　人間であれば、所謂或る時にはある物が欲しくなり、また或る時は全く別の物が欲しくなり、その欲求は歯止めが掛からないのではないだろうか？では、その欲求が満たされた先にある物とは何か？それは所謂虚無感である！何故なら、それを得たどころで人間の欲は留まらず！更にもっともっと！と上を目指し！物を要求してしまう。それが人間である！　　　　　　
　では、本稿で取り扱いたい事象とは何か？それは言わば精神的満たしである！では、その精神的な満たしに必要な物とは何か？そして引いてはその精神的満たしの正しい求め方などを見てみよう。
　先ず物に対する欲求であればそれが入手できた際、一時的ではあっても手に入った世転びを感じるものである！
　では、我々が本当に満たされるべき事象とは何か？それが所謂精神的満たしだ！その精神的満たしを経験する為に必要とされる物とは何か？それは所謂譲り合いから生ずる満たしである！何故そう言えるのか？それは自身ばかりが精神的満たしを相手即ち隣人に求め続け、それを絶え間なくしてしまえばその先にあるのは、人間関係の破断である！では、精神的満たしを正しく求めて行くのに我々が為すべき事象とは何か？それは、所謂「出前の心意気」つまり出前の様に、相手の欲求に当意即妙に応じ！そしてそれを満たす上で！真の精神的満たしを経験するとでも言おうか？然り！人間隣人に求めてばかりいてはそれは本末転倒！隣人を蔑ろにしているに過ぎない実に子供じみた考えである！
　では、これに対して隣人の欲求を満たそうと先ず！隣人を第一に念頭に置き！何よりも自身ではなく！実に隣人の欲求に良く傾聴し！それを伺ったら即実行に移す！その隣人の満足を通して、引いては自身がそれを喜びとし！相乗効果により！自身が満たされる。そんな考えが出来ればそれは実に素敵であり！世はもっと平和になるのではないだろうか？では肝心の自身の欲求はどうすべきなのか？それは、やはり！先ず自身在りき！ではなく！隣人の欲求に傾聴し！隣人の満たしを自身の満たしとする！そんな考え方が必要とされるのだ！　
　しかし！隣人の欲求を満たしてばかりで自身からは出て行くばかり！そんな事もあるだろうか？その場合に必要とされるのは、隣人を愛した上で！今度は自身はその隣人に謙遜になり！「〇〇を頂けますでしょうか？」と丁寧な言葉により、相手に少しく要求して行く。そんな姿勢が必要である！
　何故そう言えるのか？それは人間が本来の性質からすれば、所謂隣人に求めてしまうばかりと言う存在故である！
　では具体的にはどうすれば良いのか？それは、まるで出前の様に相手の要求に当意即妙に応じ！相手に譲り渡す！これが出来る事が実は肝要であり実に大切な事象である！つまりは「出前の心意気」だ！
　では何故出前の様に隣人を重んじなければならないのか？それは目の前の隣人は他でもない世界で唯一の存在であり！決して憎しみの対象などではないのだ！
　故にだ！我々は先ず！自身在りきと言う子供じみた考えをいち早く排除し！何よりも先ず！隣人に「貴方が今必要としている物は何でしょうか？」と謙遜に傾聴し！そして傾聴だけに留まらず！実際にその欲求に当意即妙に応じ！是非隣人を幸せにする為に労苦し！必死になってみようではないか！それが所謂「出前の心意気」だ！
　我々は先ず！求める！と言う姿勢を排除し！いち早く隣人の必要とする物を与える心意気で！実際に与える所から始めよう！そして！その先にある隣人の満たされた笑顔を見てそれを自身の幸としよう！
　それでこそ！我々はこの世に生を受けた意味があるのだ！
　如何なものであろうか？そんな事を言われてもやはり先ず自身が隣人に求めたくなるんだろうか？その様であれば実に！その人生には常に！争いが絶えないであろう！故に！我々は是非！先ず隣人在りきで！隣人の欲求に謙遜に応じて行こう！それが我々の真の生きる意味である！
　貴方の心に「出前の心意気」はどれ程有りますか？