フランス産のコメディーの猛烈なくだらなさを、みなさんはご存知でしょうか。
フランス映画と言うと、アート系のオシャレで抽象的な映画を思い浮かべる人は少なく無いと思います。
また、アートであればかなり過激な表現にも寛容なお国柄のため、ホラー映画なんかでは「屋敷女」や「マーターズ」といった倫理観を破壊する強烈な作品も多く生まれています。
でも同時に、リュック・ベッソンの国でもあるのです。
彼がまともな監督だと思っている人は、タイムマシンで20年以上前から来た人で無ければもういないと思います。
彼が製作と脚本を務めた「TAXi」シリーズをご覧なさい。
最新作のダイアモンド・ミッションではゲロと汚物の噴射だけが記憶に残る・・・良い映画でした。
さらに、少し前にwowowで録画して観た「真夜中のパリでヒャッハー！」「世界の果てまでヒャッハー！」「アリバイ・ドット・コム カンヌの不倫旅行がヒャッハー！な大騒動になった件」という3作を続けて観て、すべて同じフランス人の監督の作品なのだそうですが、あまりの下らなさぶりに戦慄しました。
フランス、おそロシア。
ただ、コメディー映画としてはかなり秀逸な作品で、主人公達の撮影した映像を後で発見した別の人達が見る、というアイデアを非常に有効活用した点に感心しました。
そして、今回のシティーハンターです。
言わずと知れた日本のコミックが原作で、僕も子供の頃にアニメをよく観ていた作品です。
実は一度ジャッキー・チェン主演で実写化された事があるのですが、ジャッキー映画が好きだった当時でも、これは酷いと思いました。
特にスト�兇離灰好廛譴鬚垢襯掘璽鵑�酷すぎるのですが、結果ここしか印象に残っていません。
この時は香港、今回はフランス。
またしても嫌な予感がするのは無理はありません。
ところが！
今回のフランス版は非常に評判が良いのです。
ジャッキーを越えれば何でも良いと思っているのかな？と原作ファンを気の毒に思ったのですが、観れば確かに面白かったのです。
ズバリ、これは傑作だと思います。
ただし・・・。
完全にコメディー映画として振り切っています。
昔アニメを観ていたおぼろげな記憶では、もう少しシリアスな部分もあった気もしますが。
しかも、下ネタが８割のウルトラお下劣コメディーなのです。
冒頭の、全裸のオヤジが裸で寝ている部屋での格闘シーンとかも酷いくだらなさで、まさかこれがずっと続くのかと思ったら、ずっと続くのでした。
嗅がせた相手が確実に自分に惚れてしまうという香水をめぐるお話なのですが、依頼人のオヤジにこの香水を嗅がされ、冴羽獠（主人公）はこのオヤジにゾッコンになってしまうのです。
・・・一事が万事で、こういうネタが汚水のごとく次から次へと溢れ、本当に隙間なくビッシリ詰め込まれています。
香（冴羽獠の相棒）の兄貴が殺される、シリアスにならざるを得ないエピソードの直前直後ですら、こんな感じですから。
子供の頃からドリフを見ている僕ですらどうかと思う様な笑いの連続ですが、不思議と次第に彼らが違和感なく冴羽獠と香に見えてくるのです。
最初はふざけた外人のコスプレによる悪ふざけにしか見えなかったのに。
冴羽獠がカッコ良い！
香が可愛い！
海坊主がそのまんま！
実際は、全員知らない外人なのですが。
このブログを書くにあたって、この映画について少し調べましたが、驚きの連続でした。
まず、この映画の監督は、前述のヒャッハーシリーズの監督と同じ人だったのです。
どうりで・・・。
しかも、冴羽獠を演じているのはなんと監督自身（監督、脚本、主演）！
そして、香役の人は監督の私生活でもパートナーなのだとか！
本当に呆れる事ばかりです。
ほとんどがあまりにも下らなさ過ぎるギャグで埋め尽くされたこの映画が、なぜ好評を得たのか。
それには２つの理由があると思います。
一つは、監督が本当に原作のファンだったという事で、ここだけは押さえないといけない部分についてはきちんと押さえてある点です。
特に冴羽獠と香の関係性の部分は忠実で、最後の方はまさかの感動さえありました。
もう一つは、日本の配給会社の頑張りです。
僕は吹替版で観ましたが、さすがに全員アニメと同じ声優とはいかないものの、まったく違和感の無い仕上がりでした。
そしてエンディングでは当然あの曲があの入り方です。
ほとんどが下ネタコメディーなのに、こうしたちょっとしたこだわりによって「これぞシティーハンターだよ！」とウッカリ騙されてしまうわけです。
日本では相変わらず、漫画の実写化映画がファンにとっては大災害の様に捉えられていますが、ファンに喜んでもらおうという気持ちが1ミリ程度でもあるならば、この映画を参考にして欲しいと思います。
外人なのに冴羽獠じゃまずいよね、とか考えているうちは全然ダメでしょう。
このままだと日本の漫画は次々とフランスで実写化されてしまいます。
「ジャングルの王者ターちゃん」「超人キンタマン」「はだしのゲン」等、フランス人で見てみたい漫画もたくさんありますからね！
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